【感想・ネタバレ】正法眼蔵入門のレビュー

あらすじ

固定化された自己を手放すとき私は悟り、世界が目覚める。それが生きてある時の経験である──。道元の文章に即し全八七巻の核心を存在・認識・言語という哲学的視点から鮮やかに読み解く。『道元』を改題。
※本文中に「*」が付されている箇所には注釈があります。その箇所を選択すると、該当する注釈が表示されます。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

道元の正法眼蔵は真意を解釈する過程に毎度苦しむ仏教哲学書であるが、初歩の切り口に押さえておきたい要所がわかりやすく述べられており、正法眼蔵理解への大きな助けの一歩になる一冊。言霊学の言霊原理と近い思想で解説しているところもあり、個人的に気に入っている正法眼蔵解説書。

0
2025年11月11日

匿名

購入済み

難解で知られる道元の正法眼蔵を非常にわかりやすく解説しています。「縁起・無自性・空」などそういった思想の面白さもさることながら、道元は言葉をどのように使い、どのように用いていたのかというところにより深く興味を持ちました。読んだ後によく分かった!とは一筋縄ではいきませんが、何度も反芻をしながら自分の血肉としたいです。

0
2024年08月17日

Posted by ブクログ

道元『正法眼蔵』関係書籍で、これほど分かりやすい解説があったでしょうか。

難しい道元の言葉の引用後、必ず分かりやすい解説が入る優しい仕様で、全ての難しい内容の本はこの形式を参考にしてほしいぐらい。

表紙の『正法眼蔵入門』の入門の文字だけフォント色が白色で、強調されていますが、ふつうに捉えれば、『正法眼蔵』の『入門』書のところ、道元の修証一等(修行し続けることがさとりの在りよう)の視点からは、ゴールは同時にスタート(入門)でもあるので、なかなか味わい深い良いタイトルです。

0
2020年03月03日

Posted by ブクログ

道元の代表作の入門書。哲学的に書かれていて硬派。道元の「さとり」を中心に述べられている。この仏性は修行者の日常生活に現れている。かつ、固定的ではない。彼は常識的な認識を覆す。本書は参考文献が充実している。その略説が嬉しい。

0
2020年10月20日

Posted by ブクログ

読み終えました!まさに禅問答のような書であったが、意外とすんなり読み終えた。頭に入ったかどうかは別にして、ハイレベルの入門書としては良かったかも。

0
2025年05月24日

Posted by ブクログ

道元の「思想」に焦点をあてて、わかりやすく解説した本です。

著者はまず、「一切衆生悉有仏性」に代表される、道元の言語戦略について考察をおこなっています。とりあげられるのは「青山常運歩」ということばで、これによって道元が日常的なことばとものの結びつきに対する疑いへと読者を突き放し、世界のありようそのものに対して目を向けるようにせまっていることが明らかにされます。

ついで、「修証一等」や「身心脱落」などにかんする考察がおこなわれており、世界のありようを道元がどのようにとらえていたのかが解明されています。自己や世界の諸存在は固定的な要素ではなく関係のなかで成り立っており、「空」を体得することでこうした世界の真相に眼を見開かれることになると論じられています。同時に、こうした「解脱」は「解脱」のままに終わることなく、世界のあるがままの「現成」へとつながっていくと著者はいい、「身心脱落」の体験はやがて「脱落身心」というしかたで世界と歩み出ていくことにつながっていきます。

さらに、こうした道元の思想が時間論として展開されている『正法眼蔵』の「有時」巻の解説がおこなわれます。そのままでは流れ去り断片化してしまうものを「排列」し、相互に関係づけることで、存在は「時」化されると道元は考えます。そのような「時」は、流れて消えてしまう「去来」の相の「時」ではなく、「而今」、すなわち現在のこの一瞬として考えられなければならないと著者はいいます。非連続的な「而今」において、意味をもった諸存在から成る「尽界」が現成するのであり、こうした「非連続の連続」が、道元の「有時」の考えだと著者は論じています。

文庫化に際して付加された「補論」では、『正法眼蔵』における「仏性」の概念について、文献学的な検討もまじえつつ、その意味を解明する試みがなされています。

0
2020年04月17日

「学術・語学」ランキング