あらすじ
オバマ、ブッシュ、安倍晋三など、世界を動かす大物の演説を支える「スピーチライター」。日本でも彼らの活動の場は広まりつつある。国際会議出席者や上場企業経営者をサポートしている著者が、その内実を明かす。
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スピーチライターとはどのような仕事かを知る第一歩として良い本だと思う。文章も読みやすく一気に読めた。前半はスピーチそのものについての考察が書かれている。欧米と日本での違いが面白い。後半に実際のクライアントワークを例として2つ掲載しているので、具体的なイメージが湧きやすかった。単にクライアントが望む原稿を書くというよりも、戦略に入り込むようなイメージだ。様々な分野の造形が深くないとできないだろう。10年ほど前に書かれているので、AIが発達してきている今日、業界のトレンドがどのようになっているのかは興味深い。
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スピーチライター 言葉で世界を変える仕事
著:蔭山洋介
出版社:KADOKAWA
角川新書 D-57
スピーチライターとは、人にかわってスピーチ原稿を用意し、スピーチの指導するゴーストライターのことです
多忙な政治家や経営者にかわって、重要な発表原稿を用意することがかれらの仕事であり、現在その仕事は認知されています。
スピーチとは、人々を熱狂させ、行動に駆り立て、常識を書き換える働きがあります。
よくもわるくも、非常に大きな力があるものが、スピーチです
スピーチライターは、ホワイトハウスでも欠かせない存在になっており、日本でも、政治家に利用されています。
スピーチライターが用意するものは、読み上げ原稿と、暗記原稿です
①クライアントとの打ち合わせを通じて、どのようなスピーチがしたいのかをヒアリングします
②ヒアリングをもとに、アウトラインを作成します
アウトラインは、あいさつ、アイスブレイク、フレーミング、事実、意見、まとめ です
③アウトラインができたら、内容にそって、仮原稿を作成します
④仮原稿を確認してもらって、修正事項をもらい、その内容をもとに、本原稿を書き上げます
⑤本原稿が仕上がったら、実際に声を出して原稿を読み上げて、もう一度文章を確認します、その修正をおこなって、納品となります。
話し手にとって一番恐ろしいことは、聞き手に反応がないことです
スピーチにとって必要なこととは、浅い共感を徐々に積み上げて深い共感を形成していくことです
共感は、そうだそうだ という感覚
感動は、そうなのか! よくやった という感覚
読み上げ原稿ができたら、スピーチトレーニングを行います
①まず、つまらずによめるようになること
②スピーチの最初と最後、聞き手に印象に残したい部分を暗記し、原稿をみないで言えるようにします
③ある程度話せるようになったら、発声、視線、身振り手振り、小道具の使い方などに注意します
スピーチとは、演劇とも演出のしかたが似ているため、演劇の経験があった方が有利である
目次
はじめに 注目を浴びはじめた「影」の存在
第1章 世界を動かすスピーチライター
第2章 スピーチライターの役割
第3章 スピーチライターの仕事
第4章 スピーチライティングの実際
第5章 スピーチライターとして活動するために
おわりに スピーチライターは世界を変えられるのか?
ISBN:9784041028438
判型:新書
ページ数:208ページ
定価:800円(本体)
2015年01月10日初版発行
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☆つながりの絶たれた社会こそスピーチが求められる。これから必要となるスキルとなる。
☆「スピーチライターのスキルを身につけるには」
・演劇の素養はとても有用。映画、落語、弁論も。
・講演会やワークショップにはできる限り参加
☆活躍するスピーチライター
・安倍晋三を支えたジャーナリスト谷口智彦
・オバマ:ジョンファブロー、アダムフランケル
・「本日はお日柄もよく」原田マハ
「学校のカイダン」日本テレビ
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スピーチライターを仕事とする著者が、スピーチライターとはどういうものか、具体的な仕事の内容、スピーチライターになるために必要なことについて書かれている。
スピーチライターという職業すら知らず、なりたいとも思わないがスピーチのための参考にはなった。
スピーチに関して詳しく掘り下げたければ「パブリックスピーキング 人を動かすコミニュケーション術」がいいとのこと。
以下、読書メモ。
p64 聞き手の共感を得ることが大切。共感を得るには小さな共感をコツコツ積み上げていく。スピーチの基本的な戦略は広く浅い共感を徐々に積み上げなから深い共感を形成していく試み。
p81 シナリオのアウトライン「あいさつ」「アイスブレイク」「フレーミング」「事実」「意見」「まとめ」
p87 聴き手にとって無難な表現を、聴き手にとって印象深くなるように、サウンドバイトにしていく。
p91 演出もスピーチの要素の一つ
p114 リーダーはビジョンを語ることが大切。ビジョンの魅力と手段を語る。
p140 メディアが求めているのは商品ではなく時代の潮流。
p202 理想こそが行動の源泉。理想そのものに働きかける、理想を達成できるという希望を与える。
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スピーチライターにはコミュニケーション能力が重要。
先日「英国王のスピーチ」を観た。この映画は吃音の英国王がスピーチできるようにする医師(?)と英国王の交流を描いた映画だ。この映画で印象的なのは、医師と英国王の関係ではなく、訓練(コミュニケーション)を通して、「かけがえのない友人」になっていくところだ。この本の中にも、スピーチライターの蔭山さんと新社長に就任する加藤さんの就任演説ができるまでの会話がフィクションで書かれている。スピーチライティングはコミュニケーションを通し、本人が言葉にできない思いを探り、表に生んで行く作業だということがわかる。
誰しも自身のストーリーを持っていると思う。それをはなか
ら話すような内容ではないと切り捨ててしまっていたり、うまく表現できなかったりするだけかもしれない。我々の多くはスピーチライターを雇う余裕はないので、印象に残ったティップスをいくつかメモしておきたい。
・共感を積み上げる。「今日は暑いですね。」→「外を歩くのが億劫になりますね。」→「ビールを飲みたくなりますね。」大多数は今日は暑いと思うが、ビールを飲みたくなるのは少数かもしれない。いきなり「ビールを飲みたくなりますね。」から入ると反感を買う可能性がある。
・知っていたことが、別の見え方をした時に人は感動する。
・共感を積み上げる方向はゴールに対してまっすぐでなければならない。例)亡くなった戦友や大義を通して、兵士を奮い立たせる。
・話のつなぎを自然に。
・リアリティを持たせる。例)「自然が豊かで癒されました。」ではなく、「日本の自然とマレーシアの自然は異なり、荒々しく・・・癒されました。」
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Yes We Can、バイマイアベノミクス、実はこれ全てスピーチライターが書いたもの。本書を通してはじめてスピーチライターなるものの存在を知った。空気で物事を決める日本人にとってスピーチは空気をかき乱すだけのものであり、集団の意思決定技術としては有効ではなかった。論理ではなく深夜まで飲み合う「つきあい」が重要であり、つきあいで築かれた強固なつながりの前ではスピーチは所詮、言葉遊び。ところが、バブル崩壊以降、終身雇用が崩壊し仲間の転職が当たり前となり、付き合いのリソースが役に立たなくなってきている。つながりの薄い社会で本領を発揮するスピーチは、つながりが薄くなり続けていく現代にあって益々その重要性を増している。本書ではスピーチライターの役割、仕事、スピーチライティングの具体的事例が縷々紹介されている。スピーチライター恐るべし。
Posted by ブクログ
あとがきからもうかがえるが、けっこう急がされて書いたのではないだろうか。例やたとえに「共感」できないところがいくらかあった。
ただし、スピーチライターというのがどういう仕事なのか、ということはよくわかるように書かれている。スピーチライターと呼ばれる人がなぜ必要で、どんなことをしているのかを知るにはとてもよくまとまったいい本だと思う。