【感想・ネタバレ】にんげん住所録のレビュー

あらすじ

「でこ、今日はちょいと出かけようか」と小津安二郎と行った「お茶の水」、木下恵介が胸ポケットから取り出した一枚の写真、そして美智子妃より思いがけぬ一筆など、大切な人々とのとっておきの記憶を、端正で歯切れのよい語り口で綴るエッセイ集。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

2012.1.29-2012.1.29
昨年末に亡くなつた「往年の大女優」の本。単行本が出たのは平成14年7月だから、十年ほど前になる。
世を去つた人の思ひ出話が多く、最後には「私の死亡記事」まであつて、雑誌に載せられた文章を集めたものだが、自分の人生の締め括りをしてゐるやうにも見える。
高峰秀子さんの本は初めて読んだが、立派な文章で感心した。

0
2012年01月29日

Posted by ブクログ

この かろやかさ が
たまらなく
心地良い

この かろやかさ の奥に
どれほどの 叡智が含まれているのだろう
と思うのも
また 心地よい

高峰さんの
すぐそばに
現れては去っていく
その
「風景」や
「人」や
「本」や
「モノ」たちの
なんと すてきなことか

人生の達人とは
このような人のこと
言うのだろう

0
2017年10月11日

Posted by ブクログ

「私の渡世日記(上・下)」に続き、映画女優の高峰秀子さんによるエッセイ集。女優を引退して70代になってから、それまでかかわった人たちとの思い出をつづっている。ここに紹介される人たちの多くは故人であり、彼女自身が人生の総まとめ・備忘録的に書いたようだ。
子役で学校に行かれなかったから本人は「学が無い」というが、読書家であったこともあり教養があり、文章はこなれていて読みやすい。また、大女優だったという尊大さが全くない。黎明期の日本の映画業界の裏話や、誰もが知る有名な映画監督や演出家たち、芸術家や作家や政治家とのやり取りも興味深いが、一番面白かったのがタイに住む知人の話だった。
彼女は独身のころ、今でいう毒親ともいえる養母との関係に悩んだようだが、晩年は素晴らしい伴侶と幸せに暮らせたようだ。彼女の人柄が良くわかるエッセイ集である。

0
2024年02月05日

Posted by ブクログ

「高峰秀子」のエッセイ集『にんげん住所録』を読みました。

「高峰秀子」作品は昨年10月に読んだ『おいしい人間』以来ですね。

-----story-------------
大切な人々とのかけがえのない思い出

「小津先生」と行った御茶の水、「クロサワ」が手の甲に置いた「蚊」、「美智子妃」からの一筆など、極上の思い出を端正な語り口で綴った一冊
-----------------------

「高峰秀子」が、かけがえのない想い出… 「小津安二郎」と行った「お茶の水」、「黒澤明」が手の甲に置いた「蚊」、「木下恵介」が胸ポケットから取り出した一枚の写真、「佐藤栄作」夫人の「寛子さん」からの電話、そして「美智子妃」より思いがけぬ一筆など、大切な人々とのとっておきの記憶を、端正で歯切れのよい語り口で綴るエッセイ集です。

 ■あなた食べます
 ■店仕舞
 ■もうすぐ春です
 ■住所録
 ■人間スフィンクス
 ■クロさんのこと
 ■老いの花道
 ■私だけの弔辞
 ■私のご贔屓・松竹梅
 ■たけしの母と秀子の母
 ■栄作の妻
 ■五重塔と西部劇
 ■美智子さまへのファンレター
 ■呼び名
 ■身辺あれこれ・年金化粧
 ■私の死亡記事「往年の大女優ひっそりと」
 ■あとがき

『私のご贔屓・松竹梅』で、「沢木耕太郎」作品の愛読者で、自分がテレビ局のCMスポンサーなら「スカッと爽やか耕太郎」というキャッチフレーズで登場してもらいたいと思っていたことと、自らの死亡記事を書いた『私の死亡記事「往年の大女優ひっそりと」』が印象的でしたね… 結果的に本作が遺作となってしまったんですから、ご自身の死を意識して書かれたんでしょうね、、、

-----------------------
女優・高峰秀子さんが三ケ月ほど前に死亡していたことが判明した。
生前「葬式は無用、戒名も不要。人知れずひっそりと逝きたい」と言っていた。
その想いを見事に実践したようだ。
彼女は十八歳の時、盲腸炎の手術を受けて以来、その死までの数十年間、医師、病院の手を煩わすことは全くなく、健康保険証には一字の記載もなかった。
故に死因は不明。
死亡診断書を認めた医師は「病名はわかりません。強いていえば天寿でしょうね」と言った。
昭和五十四年にスクリーンを退いたが、その死に至るまで多くのファンの親切と厚意に支えられ、高峰節といわれた達意の文章で随筆集を重ねてファンに応えた。
「死んでたまるか」という文章も書いたが、相手が天寿では以って瞑すべし、しあわせな晩年であった。
-----------------------

これが全文です… 実際はひっそりと亡くなることはできなかったようですが、幸せな晩年を過ごされたんでしょうね。

亡くなられたのは残念ですが、柔らかでユーモア溢れている文章は残りますからね… これからも時々、読ませてもらおうと思います。

0
2022年12月09日

Posted by ブクログ

女優と作家の2足のわらじを履いての作品かと思えば、引退後のエッセイストとしての読み応えのある作品だった。中身は大女優だった頃の大物との交流がふんだんに書かれてある。特に興味深かったのが佐藤栄作総理大臣の妻の項である。大物を身近に感じさせるエピソード、親しみやすい文体は読むものをひきつける。

0
2014年06月10日

「エッセイ・紀行」ランキング