あらすじ
風のように爽やかな幸田文、魅力の英雄・周恩来、ぼけた妻に悩まされる谷川徹三、超変人の木下恵介、黒澤明……そして無名の素晴らしい人たち。何気ない日常にキラリと光る、人間模様の数々を柔かなユーモアで生き生きと描いた、心温まるエッセイ集。
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Posted by ブクログ
「高峰秀子」のエッセイ集『にんげんのおへそ』を読みました。
「高峰秀子」作品は3年前に読んだ『巴里ひとりある記』以来ですね。
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晩年の暮らしと感慨を達意の筆で掬った名随筆集。
「高峰秀子」が大切にした「日常という宝物」。
撮影所の魑魅魍魎たちが持つ「おへそ」とは何か?
そして、四十代から考え始めた「人生の店じまい」の心得とは?
肉親との永年の苦闘の果てに手に入れた夫「松山善三」との穏やかな暮らしを守る中で、女優にして名文筆家の「高峰秀子」が自らの歩んだ道を振り返りつつ示した矜持と鋭い人間観察眼。
人生を味わい尽くす達人による、ユーモアとペーソスあふれる珠玉のエッセイ集。
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醒めた目をした人気子役時代、撮影所のヘンで素敵な人々、人生の店じまいの仕方…… 心に残る事々が爽やかな筆で綴られているエッセイ集です、、、
1988年(昭和63年)から、1998年(平成10年)に書かれたエッセイが収録された作品です。
■四十三年目のウェディングドレス
■オッパイ讃歌
■おへそ
■ひとこと多い
■馬よ
■梅原龍三郎と周恩来
■風の出会い
■午前十時三十分
■ウー、うまい
■きのうの「人間」きょうの「人」
■アコヤ貝の涙
■ただ今自分と出会い中
■死んでたまるか
■ピエロのおへそ――文庫版のためのあとがき
元銀幕の女王が、イチ女性として、気取らずに日々の暮らしや、思い出を綴っているので、好感が持てるというか… 親近感を感じることができて、「高峰秀子」という女性の魅力を、さらに感じることができた作品でしたね、、、
風のように爽やかな「幸田文」、魅力の英雄「周恩来」、ぼけた妻に悩まされる「谷川徹三」、超変人の「木下恵介」、「黒沢明」、漬物と味噌のない夫「松山善三」との食生活、画家「梅原龍三郎」や作家「谷崎潤一郎」とのお付き合いや別れ、そして無名の素晴らしい人たち等々… 一歩退いた場所から周囲を観察して、何気ない日常にキラリと光る部分を見つけだし、人間模様の数々にスポットを当てて、柔らかでユーモア溢れる無駄のない文章で生き生きと描かれています。
淡々と批評する部分もあるけど、それが嫌味にならないところが、本人の魅力であったり、文章を描く才能だったりするんでしょうねぇ、、、
読書好きな「高峰秀子」が、帝国ホテルのグリルでのランチ後にラウンジに席を移してカプチーノをすすりながら「沢木耕太郎」の短篇集を読むシーンが、妙に印象に残りました… 個人的には大好きな「高峰秀子」と「沢木耕太郎」ですが、二人には接点がないと思っていたから、何気ないシーンでもインパクトがあったんでしょうね。
新しい発見もあり、愉しく読めた一冊でした。
Posted by ブクログ
高峰秀子さんが養女にはいって、養母に苦しめられたり、親類縁者が金を無心に来たりという話を読んで、夏目漱石と境遇が似ているなと思いました。 このエッセイを書かれたのは御年70歳頃でしょう。なんと瑞々しいこと。それにまず、徒な文が一行も無い。けれんみがない。わたしもこのような文章が書けたならと思いますが、生きざまは違いすぎるは、感性はとてもとても及ばないはで、とても無理な話ですね。