あらすじ
一九一〇年の併合以来、日本の支配下にあった朝鮮。済州島で暮らす少年・金宗烈の夢は、天皇のために立派な軍人になることだった。だが終戦を迎え、次第に朝鮮人としての自覚が芽生えてきた宗烈は、済州島虐殺事件に巻き込まれてしまい……。時代の荒波に翻弄されながらも、生きることを諦めない人間の死闘を描いた、傑作『血と骨』前夜の物語。
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Posted by ブクログ
1910年の併合以来、日本の支配下にあった朝鮮。終戦を迎え、次第に朝鮮人としての自覚が芽生えてきた少年・金宗烈は、済洲島虐殺事件に巻き込まれてしまい…。「血と骨」前夜の物語。
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激動の時代を生き、歴史に翻弄された朝鮮人青年の物語。それは想像を絶するほどの過酷なものであり、青年の明と暗を描く。
第二次大戦中の日本の植民地支配時代から終戦後の混沌とした時を経て、命からがら生き延びてきた。
前後半で物語の雰囲気も変わるけど、青年の視線からは思想や歴史を変えようとする気鋭と小さな希望の光を見出だして終わる結末。その後が非常に気になる。
あくまでも小説の中での物語に過ぎないが、今も続く日韓問題を考える何かにはなりそう。
Posted by ブクログ
著者の友人である詩人の金時鐘をモデルにした作品。
日本の植民地であった朝鮮での出来事が綴られている。
朝鮮の人たちに日本語や日本文化を強制する日本も、戦争に負ける。
そこから、終戦を迎え、日本文化を刷り込まれてきた主人公の金宗烈は朝鮮人としての自覚を取り戻す。
しかし、その際に暮らしていた済州島での虐殺事件に巻き込まれることになる。
そこから、日本へ密航して死を免れるが、暮らしは楽ではなかった。
詩作も始め、在日朝鮮人の詩人たちと同人誌を創刊するが、組織からの圧力に反発し続けたことで廃刊となる。
生きるために親も故郷も捨ても、生きたいと願う強い思いと自らの意志を捨てない強さは読み応えあり。
2024.2.10