あらすじ
サントリーの部下が描く、山口瞳の原風景。
日本の高度成長が始まる昭和33年、失業中の山口瞳は、寿屋(現・サントリー)に入社し、宣伝部でコピーライター・PR誌「洋酒天国」編集担当者として多忙な日々を送ることになった。そして37年、著者が新卒社員として寿屋に入社すると、直属の上司は、「宣伝技術課係長・山口瞳」だった。サラリーマンとしてマジメに勤務しつつ、「江分利満氏の優雅な生活」で直木賞を受賞した山口瞳は、会社員として、社会人として、男として、人間として、そして作家として、どう生き、どう身を処したのか。『「洋酒天国」とその時代』で第24回織田作之助賞を受賞した著者が生き生きと描く、作家・山口瞳の原風景。
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Posted by ブクログ
サントリーの宣伝部で、山口瞳の部下として働いた著者が、作家と勤人という二足の草鞋を履いた山口の風貌を記したエッセイです。
山口にかんするいくつかの興味深いエピソードがありましたが、タイトルになっている「山口瞳の〈処世〉術」については、それほど立ち入った考察が展開されているわけではありません。それでも、現在のビジネス・シーンとは大きく異なる当時のサントリー宣伝部の雰囲気を知ることができるという意味で、おもしろく読めました。