あらすじ
【競馬シリーズ】「おれはおまえの父親だ」ロイヤル・アスコットの初日、ブックメーカーを営むネッドの前にやってきた男は、三十年以上前に自動車事故で死んだと聞かされていた父だと名乗った。にわかには信じがたい話に混乱するネッド。だがその直後、突如出現した暴漢が父を刺殺してしまう。なぜ父は今頃になって現われたのか? ネッドは否応なしに錯綜する謎の渦中へ巻き込まれてゆく。スピーディかつスリリングに描くサスペンス巨篇!
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Posted by ブクログ
競馬シリーズ42作目。
そう言われてみればブックメーカーが主人公になったことはなかった。
この競馬シリーズ、様々な職業の主人公がいたが、
こんなに競馬に身近で。
必須ともいえるブックメーカーが主人公になっていなかったのは、
あまりに犯罪に関わりありそうな職業だからなのだろうか。
ブックメーカーのネッドの前に突然現れたのは、
幼い頃に自動車事故で死んだと言われていた父親。
驚きながらも、少し話をした矢先に暴漢に襲われ、
父親は刺されて亡くなってしまう。
しかも持っていたのは違う名前の運転免許証だった。
本当に父親なのか。
父親の泊まっていたホテルを探し当てて手に入れた謎の物体、
その荷物をよこせと知らない男が迫ってくる。
さらに、馬の発送予定時効間際にインターネットと携帯電話が
不通になる事故が続き、
見の周りがあわただしい中、
それでも精神疾患で施設にいる妻のソフィには毎日会いにいくネッド。
だが、父親と一緒に事故で死んだはずの母親は殺されたと知る。
容疑者は父親。
仕事上の相棒であり、途中で共同経営者となるルカ、
「かみそりのように切れる数学的頭脳を持つインターネットの天才」が、
いい味を出していた。
複雑なオッズを操つり、ネッドが忙しい時には店を任せることができ、
電気機器にも詳しい。
インターネットと携帯を不通にさせるぐらいには。
恋人と付き合っている途中からその妹にちょっかいをだし、
最後には乗り換えてしまうのはどうかと思うが。
新しく雇った「電気クラブ」の少年も良かった。
警察沙汰になったこともあるが、あっという間に、
生まれつきのサービス精神と頭の回転の良さで、立派に助手を務めていく。
怪しげな男たちが脅迫に来たときは、
きっぱりとした物言いで追い払っていたし、
ネッドの敵への仕返しに、電気クラブの仲間を働かせてたし。
仕返しが上手く行ったことも良かったが、
ソフィが元気になって一緒にオーストラリアへ行き、
ネッドの妹たちに会う場面が感動的だった。
見た瞬間に兄妹とわかり互いに涙を流し、
同じく涙を流すソフィが待ち望んでいた妊娠を告げる。
この競馬シリーズの愛読者にはわかってもらえると思う。
このシリーズ、
最後の1ページでこんなに幸せな気持ちになることはまず無い。
フェリックス・フランシスのおかげなのだろうか。