あらすじ
サブプライム問題が起こってから、オバマ大統領就任まで。その間に吹き荒れた、原油の高騰暴落、円高、金融危機…、この一冊を読めば、45分でそのすべてがつながってスッキリ理解できます。タイトルは“14歳”としていますが、ビジネスマンの方もぜひ! ここ数年の世界経済を一つの体系として、シンプルに理解できる内容になっています。いま起きているのは「世界恐慌」/大原則は「リスクは他人に押しつける」/格付け会社が安全だって言ったから…/まぜれば安心、金融商品の「福袋状態」/実のところ、闇鍋だった…/第三次世界大戦とイラン/原油先物市場とガソリン価格の関係/共和党政権だったことがリーマンの不運/世界中が、円で住宅ローンを組んでいた/なぜ原油は高騰して暴落したのか?/ドバイはもはや、砂上の楼閣/地方銀行に融資申し込みが殺到している/景気の悪いときだけ大声をあげる産業界/史上最低の大統領ランク、ついに変動/オバマの手法はルーズベルトにそっくり…というわけで、私たちはどうすればいいのか? その回答も示されます。45分で世の中がスルスルわかる、Magazine House 45 Minutes Series の第一弾です。
●著者紹介
池上 彰(いけがみ・あきら)
1950年長野県松本市生まれ。
慶應義塾大学卒業後、1973年、NHK入局。2005年まで32年間、報道記者として、さまざまな事件、災害、消費者問題、教育問題などを担当する。1994年から11年間は、「週間こどもニュース」のお父さん役としても活躍。『14歳からのお金の話』(マガジンハウス)をはじめ、著書多数。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
以下本書よりお気に入りのフレーズです。
〇「リスクは他人に押し付ける」 (お気に入りというよりは、考えさせられたフレーズ)
〇金融商品の「福袋状態」
〇自分への投資が1番確実
本書では複雑な金融危機を本書ではサブプライムから始まり、ノンリコースローン、不動産バブル、投資銀行、証券化、原油価格の高騰及び下落、リーマン破綻、自動車産業のの失速、金融機関への公的資金の注入といった大事なキーワードは外さずに、複雑に絡み合った糸を紐解くように実にわかりやすく解説しています。
さらに「リスクを他人に押し付ける」といった強欲資本主義の考えにも言及しています。
以下、気になった箇所の引用です。
上司に追及されたら、「だって、格付け会社がトリプルAをつけていたましたから、安全だと思いました」と言い訳が出来ますね。トリプルAになっているから安心して買えたのです。
金融危機から株価が暴落したことで、投機資金は原油先物市場、そして穀物先物市場に流れ込み、国際的な価格上昇をもたらしました。
アイスランドでも同じことが起きました。こちらでも「円建てで住宅ローンを借りませんか?」といわれて、「はいはい」と言われる通りにやっていたら、「円高になったので返済額が増えました」と言われて、びっくり仰天。
大手企業がお金を借りに来るようになれば、地方銀行にしてみれば、地元にある中小企業にお金を貸すよりは、東京に本社のある大手企業にお金を貸したほうがいいということになるでしょう。
結果的に、これからは地方の銀行が地元の会社にお金を貸してくれなくなる可能性があります。そういう悪循環がこれから起きる可能性があります。
以下の項目、最近の出来事のように見えますが、実はすべて1929年前後に起こった事なのです。
<住宅バブルが発生していた/
アメリカ人の「借金体質」がエスカレート/
自動車会社の過剰生産/
共和党政権が愛想を尽かされた/
レバレッジ取引が急増した/
アメリカに世界中の資金が流入/
底だと思ったらまだ底じゃなかった/
銀行が次々と倒産/そして全米からお金が姿を消した/
保護主義という大失敗/
政府紙幣発行の議論/
農産物の生産調整/
高額所得者に対する反感強まる/
日本でも政権交代が実現した>
・・・あまりに今と似ていて驚きます。ということは、80年前に何が起きたのか見ていくと、これからどんなことが起きそうか、予想がつくと思いませんか? 何が失敗だったかを知れば、その失敗をまた繰り返さないですむはずです。
1929年前後をザーッと45分でおさらいできるように、簡単明瞭にまとめたのが本書です。この一冊でも十分わかりやすいのですが、ベストセラー『14歳からの世界金融危機。』も併せて読んでいただくと、理解は一層深まります。