あらすじ
わたしはスルタンの完璧な愛人。
決して彼の花嫁にはなれない。
「最後に、この週末を二人きりで過ごそう」ムラトの提案にケイトリンは黙って応じた。彼は砂漠の国クルハのスルタン。その命令は絶対なのだ。勤め先のホテルで見初められて1年あまり、彼のロンドン滞在中、ケイトリンは常にベッドを温める愛人として尽くしてきた。けれど、もう限界だった。心が悲鳴をあげていた。ムラトは隣国の王女との間で政略結婚の話を淡々と進めながら、ケイトリンには結婚後も会いたいと残酷にも申し出たのだ。愛されないなら、せめて最後に一度だけわがままを聞いてほしい。ケイトリンは対等の恋人としてスルタンのもとを去ると決めていた。■砂漠の国クルハのスルタン、ムラトの完璧な愛人として
身も心も捧げてきたケイトリンの切ない心情に揺さぶられます。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白かったし、良かったと思う。
「冷たい瞳のスルタン」というタイトルから、ヒーローが傲慢で冷酷なのかと思ってしまうけれど、蓋を開けてみれば、そんなことはない。むしろ、これまで読んだハーレの「砂漠の国王」よりはよほど情理を備えた男性だと判る。
またヒロイン側も「愛人」として流されるだけだった自分自身や過去を悔い、ヒーローの抗いがたい魅力の呪縛から解き放たれようと懸命に努力する姿は健気で、好感が持てた。
重たいテーマではあるが、最初から最後まで安心して読めたように思う。