あらすじ
▼第1話/蟲たちの家▼第2話/目▼第3話/ロウソク▼第4話/きずな▼第5話/螺旋階段▼第6話/首▼第7話/夏の終わり
●あらすじ/ある日、不倫相手の羽奈子に、妻がいることを打ち明けた男。彼はさらに「妻は、今はもう人間ではない」と告白すると、いぶかる羽奈子を自宅へと連れて行く。その家はいつも真っ暗で、掃除もされていない室内はクモの巣だらけ。男が言うには、仕事が早く終わったある日、前もって知らせずに家へ帰ったところ、妻が男と密会していて、動転した彼女はクモに姿を変えてしまったというのだが…(第1話)。
●本巻の特徴/男女の心に潜む「恐怖」を描く傑作短編集、表題作「蟲たちの家」ほか全7編! 巻末には、映画監督・黒沢清が綴る「私のUMEZZ体験」を収録。
感情タグBEST3
切なくて、過酷で、深いです。
特に、ロウソク、夏の終わり、きずながよかった。ロウソクは本当に泣けました。
泣けたし、時代性や人間の内奥をこんなふうに表現できる事がすごい。
世の中には生い立ちに起因したやりきれない事件が沢山あるから、これが実話でないのがせめてもの救い。
全作品どれも不思議な読後感で、いろいろな思いが湧いてきます。
Posted by ブクログ
精神的にジンワリと来る、イヤ~な感じの短編集。
選択肢は二つ、でも、結局どちらを選んでも
幸せになれなかったことを確認してしまう
「夏の終わり」が一番キツイ。
それにしても、装丁が凝ってて素敵( 人´∀`)♪
Posted by ブクログ
男女の嫉妬・欲望・打算にまつわる短編が集まっているようだ。
好きなシーンは「目」の中の,「春は自分の顔を夫の肩と敷布の間にうずめると… そのまま声一つあげぬのが常であった。」という部分。ストーリーと強く関わってくる部分ではないけれど,貞節な女の表現のしかたとして関心した。そしてそういうのいいなあと思った。
それによく考えるとこの本に収められている男女の短編の中で,ノーマルに愛し合っている状態をあらわす数少ないシーンの一つでもあった。このあと事件が起こり二人の関係は歪みだしてしまう。この他には,「ロウソク」の中のろうそく以後と「きずな」の事故以前だけ。