あらすじ
【陽炎の章】吉原の門をくぐった少女のあの日、胸に小さく灯った恋は……。/【稲妻の章】客(おとこ)を手玉にとって何が悪い。世間知らずの若侍は絶好の相手だったはずが……。/【水の月の章】もう一度あの頃に帰れたように、ままごとのような恋をした……。江戸・吉原を舞台に、生涯に一度、すべてを捨てて貫いた恋の物語3編と、シーボルトと遊女・お滝を描いた『長崎慕情』を収録。
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Posted by ブクログ
吉原と長崎を舞台にしたビタースイートな恋物語。
『陽炎の章』『稲妻の章』『水の月の章』『長崎慕情』の4編。
絵がきれいなので安心して読めます。
「想い」の陽炎・「繋がり」の否妻・「夢幻」水の月、そして最後の長崎で救われました。
Posted by ブクログ
4作品収録された短編集。吉原遊郭を舞台にしたものが3作、長崎を舞台にしたものが1作、すべて遊女が主人公。…そこからして、やはり結ばれることのない悲恋の物語だろうな、という予想に違わずの内容ではありましたが。とはいえ、逆にそれはそれで、当の本人たちは幸せなんだろうな、とも思える、幸せな恋物語にもなっているように感じます。そこまでグッとくるワケじゃないけど、やはりしんみり切なく哀しい気分にはなりますね。いずれにせよ、江戸時代の遊女の悲哀を描いた一冊、といえるんじゃないでしょうか。
長崎のものは、シーボルトとその妻・滝を主人公にしたもの…で、上手いこと結ばれるまでの物語だったから、厳密には悲恋とは言えないんではと思うけど。…でもゆくゆくはシーボルト帰国にともなって別れが待っているのだと思うと、やっぱりちょっと切なくなりますね。
Posted by ブクログ
遊郭恋愛もの。言ってしまえばほぼ悲恋ですが、でも、実際、ハッピーエンドは数少ないんだろうと思える立場ですよね、花魁って。なので、悲恋でもおかしくはないし、きゅんと切なくさせる話ですので私は満足。