【感想・ネタバレ】働かないオジサンの給料はなぜ高いのか―人事評価の真実―のレビュー

あらすじ

会社の人事評価に理不尽さを感じ、不満を持つ人は多い。働かないオジサンが高給を取る一方で、仕事に追われる中堅や若手が安月給で使われていたりする。なぜ、このように不条理に思える事態が生じるのか。大手企業で人事畑を歩いてきた現役の社員が、日本企業の人事評価のメカニズムを丁寧に解きほぐす。併せて、人事評価とサラリーマンのキャリアの望ましいあり方についても提言する。

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Posted by ブクログ

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働かないオジサンの給料はなぜ高いのか: 人事評価の真実 (新潮新書) 単行本 – 2014/4/17

常に評価者である上司の期待を上回れ
2016年11月13日に日本でレビュー済み

楠木新氏による著作。
1954年神戸市生まれ。
京都大学法学部卒業後、日本生命相互保険会社に入社。人事・労務関係をはじめ総合企画、営業などを経験。50歳から勤務と並行して、「働く意味」「個
人と組織の関係」をテーマに取材を続け、執筆、大学の非常勤講師、講演などに取り組む
2015年3月に定年退職。朝日新聞be(土曜版)に、会社から独立した中高年の生きざま
を紹介した「こころの定年」を1年余り連載。
著書に『人事部は見ている。』『知らないと危
ない、会社の裏ルール』『サラリーマンは二度会社を辞める。』(以上、日本経済新聞出版社)『働かないオジサンの給与はなぜ高いのか』(新潮社)、『働かないオジサンになる人、ならない人』(東洋経済新報社)、「就活の勘違い」(朝日新聞出版社)など、多数。

以上のような経歴を持っている著者。
巨大企業の出身で、人事部がかなり強い権限を持つ金融系出身なので他の業界の人だと若干違和感もあるかもしれない。
ただ低パフォーマーのおじさんが生まれる原因、分析は納得感があった。
長期雇用、終身雇用を守る大企業・・しかしポストは限られておりそのポストにあぶれた層が多く滞留しているのが原因。
城繁幸氏も指摘しているような問題だ。
賃下げも出来ず、かといってポストがない。
これが低パフォーマーが生まれる理由。
ただ今後は定年延長などの影響もありますます若手社員の昇給が抑えられる時代になる。
そうなると低パフォーマーだけど高賃金はなくなっていくものと思われる。

本書で貴重なのは題名の働かないおじさんの件以外の出世する要件やメンバーシップ社会についての洞察だと個人的には思う。

印象に残った分を列挙してみたい。

大切なのは誰が評価者であるかとつかむ(会社によって異なる)
課長クラス未満の社員が評価を得る要件は、評価者である課長、支店長の期待値を常に上回ることだ。
課長のこの程度だろうと思うレベルを超えることが、
高い評価を得るポイントである。

信頼される人になるための行動基準(土光敏夫氏 新訂経営の行動指針)
相手の立場にもなって物を考える
約束をきちんと守る
いうことと行うことを一致させる
結果をこまめに連絡する
相手のミスを積極的にカバーする

上司を説得したり、自らの意見を通すためには、どちらが正しいか、間違っているかではなくて、自分と上司との信頼関係が作れるかがポイントである。
注意を要するのはこの信頼関係は相手に好かれているかどうかとは直接には関係しないことだ。
異なる概念ということである。
サラリーマンの最大のリスク要因は病気でも怪我でもなく、上司であるというのが実感。
安定的な大企業では部下から人望があり業界の中でも影響力を持つ人物は必ずしも次のトップには収まらない。
そういうケースでは現在のトップの
望んでいる能力の範囲に収まらない仕事をしてしまっていることが少なくない。
⇒上司の望む枠内に収まる能力。
波風を起こさない人の方がいいじゃん。
自分の立場を覆す可能性のある人物は
後継者に選べないという発言・・・人間の心理ではあるだろうがそういった企業から革新や新しいものが生まれる予感はしない。
個人的には織田信長的な人物を意図的に選ぶくらいでないと国際競争の激しい分野では生き残れないと思う(G型のメーカーなど特に)
まあ、インフラ系の企業ならこれでもいいのかもしれないが・・・
公私混同と思えるような経費の使い方をしないこと。
文字通リ品性を疑われる。
逆に言えば業務上かどうか不明瞭な場合に
ポケットマネーから払ったり、身銭を切るとその効果は大きい。
業務上の打ち合わせと言えるよな状況でもいつも自分のポケットマネーから支払う上司のことを部下は決して悪く言わないものである。

偉くなる人と長く一緒にやっていく能力
=上司と接触を持つ ヒキが大事 上司との関係を紡ぐ力 
上司の望む枠内に収まる能力 他部課との調整力

自分の働く会社の出世のメカニズムをつかむ
社内報と職員名簿は人事評価を知るバイブル
バイブルを読み込むポイントは社内組織の力学の確認と個々の社員の社内経歴の変遷、および社員同士、特に上司ー部下の結びつきの3点である。
ここから会社の評価、出世の仕組みが見えてくる。
部長、課長登用者と未登用者を比べてみる

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2021年12月13日

Posted by ブクログ

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日本企業の人事評価について。

「正解を外部に求めてはいけない。まずは自分自身の適性を知ろうとし、自分が働く組織のルールを熟知することだ。」(10頁)

「毎年毎年、ところてん方式で社員が順繰りに押し出されてくる。「働かないオジサン」を生み出す構造を形作っているのは、毎年の新卒一括採用とピラミッド型の会社組織である」(148頁)

「典型的なサラリーマンとバリバリの芸人との間には、数多くの目盛が刻まれている。自分にとっての一番良いポジション(目盛)がどこかを見極めることだ。」(218頁)

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2017年03月20日

Posted by ブクログ

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リンクトインの”アライアンス”を読み、現状の日本の長期雇用システムがどのような弊害を生んでいるのか調べている中で見つけた。

「まとめ」
・長期雇用前提の日本の企業と就労者の関係は、「メンバーシップ契約」である。つまり、個人と企業の1対1の関係ではなく、企業という排他的な集団の仲間入りをしその属する集団のために仕事をする概念である。
それが、時間外労働や、上司が帰らないと帰れない文化、余分な飲み会などに表れている。

・そうした会社で必要なのは”自分の後輩として一緒に働けるかどうか”という評価基準を理解していることである。。

・そのため会社で偉くなるのは、偉くなる人とうまくやれる人。
→そういう意味で他人任せにはなってしまうが、常に自分の直属の上司の期待を超え続ける必要がある。

「感想」
・働かないオジさんの給料が高いのは、長期雇用に基づくMPとWの関係(人的資源管理論にも書かれているような)を考慮すれば当然生まれる弊害である。とすればある種アライアンスの方が各人とのコミットメント期間を決め(もし解雇になったとしても)終身信頼関係が続くぶん、会社にとっても個人にとっても幸せなんじゃないかと感じた。

・また働かないオジさんは会社の中の大きな既得権益であり、メンバーシップ契約に入っている以上、コンサルを持ってしても解雇という意思決定の難しさも理解した。

「学び」
・まず、自分個人としては、一言で”向かない”と感じた。直属の上司のために一生成果を上げ続けられるか(もちろん、社内での”成果”だが)わからなく、それで評価されても虚しさが残る気がする。

・では関係ないか、というとそうでもない。自分の取引先として考えた時、なかなか変わらない(かわろうともしない)旧態依然とした企業文化について理解して置くことで、関係をうまく保つことができる場面も少なくないだろう。

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2016年11月19日

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