あらすじ
空飛ぶ車が欲しかったのに、
手にしたのは140文字だ
「もし本気で長期的な人類の発展を望むなら、
ただの140文字や“永遠の15分”を超えた未来について考えなければならない。
ZERO to ONE はシリコンバレーを教科書に、
難題を克服してこれまで存在し得なかった偉大な物事を築きあげるための本だ」 by Peter Thiel
たとえば、日本が「失われた20年」と言われている間に、世界のイノベーションを引っ張っているのはアメリカ、特に西海岸のシリコンバレーだ。アップルやフェイスブックといった名前がすぐに思い浮かぶけれど、数多のスタートアップが起業しては消えていく世界でもある。
そんな中、次々と成功する企業を立ち上げる起業家集団がある。
オンライン決済サービス・ペイパルの初期メンバーとして繋がりが深く、現在もシリコンバレーで絶大な影響力を持つことから「ペイパル・マフィア」とも呼ばれる彼らは、ご存知ユーチューブ(YouTube)をはじめ、電気自動車のテスラ・モーターズや民間宇宙開発のスペースXからイェルプ(Yelp!)、ヤマー(Yammer)といったネットサービスまで、そうそうたる企業を立ち上げてきた。
本書はそのペイパル・マフィアの雄、ピーター・ティールが、母校スタンフォード大学で行った待望の起業講義録である。
■日米同時発売■
ピーター・ティール with ブレイク・マスターズ=著
関 美和=訳
日本語訳序文=瀧本哲史 推薦!(ビジネス書大賞『僕は君たちに武器を配りたい』)
[目 次]
日本語版序文 瀧本哲史
はじめに
1.僕たちは未来を創ることができるか
2.一九九九年のお祭り騒ぎ
3.幸福な企業はみなそれぞれに違う
4.イデオロギーとしての競争
5.終盤を制する―ラストムーバー・アドバンテージ
6.人生は宝クジじゃない
7.カネの流れを追え
8.隠れた真実
9.ティールの法則
10.マフィアの力学
11.それを作れば、みんなやってくる?
12.人間と機械
13.エネルギー2.0
14.創業者のパラドックス
終わりに―停滞かシンギュラリティか
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Posted by ブクログ
『Zero to One』は、キャピタリストや起業家にとって重要な視点を提供している。特に、従来の競争優位性を否定し、「独占」を目指すべきだと強調している点が特徴的である。
ただし、本書が示す「成功」とは、単に小規模なサービスや事業を数億円で売却することではなく、社会を大きく変革するレベルのものを指している点に留意したい。
感想としては、多くの"中小企業"にとっても独占は理想ではあるが、完全な独占を継続するのは現実的に困難である。そのため、本書の視点を参考にしつつ、リタ・マグレイスの理論(競争優位性を一時的なものと捉え、変化に適応し続けるアプローチ)と組み合わせると、より実践的な戦略が立てられるのではないかと感じた。
学び
① 競争優位性の持続性に関する視点
・従来の「競争で勝つ」という発想ではなく、「競争せずに独占を築く」ことが重要。
② バックキャスティング的思考
・ 「独占的な未来」を描いた上で、そこに至る戦略を逆算して考える。
③ その他、今後意識したい点
・既存市場の破壊を目的としない
新規事業を考える際、つい「既存市場を壊すこと」に意識が向きがちだが、本質は破壊ではなく、新たな価値創造にある。理想は、既存市場も含めた全体の発展。
・「タイムマシン経営」のリスク
これも案として思い付きがちであるが、他国・他市場の成功モデルを持ち込むビジネスは、一見新規性があるように見えても、大企業が本気になれば模倣可能であり、持続的な競争優位を築くのは難しい
⭐︎ベンチャー企業を就職先、転職先の候補に入れている場合には、本書の投資家目線を自分ごととして取り込むことで、良い企業を選ぶきっかけになりそう
Posted by ブクログ
イーロン・マスクらと肩を並べるIT世界の大物ピーター・ティールが、
2012年にスタンフォード大学で行った起業講義をまとめた本。
独占的企業こそが繁栄を生むこと、
隠れた真実を見つけることで、
ゼロからイチを生む独占的企業になるスタートをきれることといった、
本書の中盤の箇所が特におもしろかったです。
独占的企業といえば、たとえばgoogleがそうであり、
そういった企業は研究開発や社会貢献に
お金をつぎ込むことができたりもします。
隠れた真実を見つけることは容易ではないかもしれないですが、
たとえば会社から離れて考えてみれば、
文学といったものも、隠れた真実をあぶりだすものであったりしますから、
それほど珍しいものでもないことがわかります。
また、人間と機械に関しては、
置換と補完がある、といいます。
発達したAIなどの機械が、人間にとって代わる、
つまり仕事を奪うのが置換ですが、
人間の助けになる形で発達する補完の方向もあります。
技術が人間を補完する例だと、
パラリンピックの選手たちの義足がそうですが、
あんなふうに、AIや機械が人間を補完するように
発達していく方向はあるのでしょう。
また、これがキーとなる「モノの見方」であり、
起業して成功するにしても最重要なんじゃないかと思える考え方なのですが、
それはなにかというと、
未来がどんな世界になっているかを意識すること、なんですね。
未来を正確に予測できる人はいないけれど、
未来は今と違う形になっていることを想像できる人は強い。
多くの人は、「未来はどうなっているか?」と問われると、
異なる視点で現在をみているだけの答えを返すそうです。
未来は今とは違うが、
だけど未来は今の世界が元になっている、と著者は言います。
未来を見る感覚、
そして、バックキャスティングで考えていくことが大事なのかもしれないです。