【感想・ネタバレ】日本十六景 四季を旅するのレビュー

あらすじ

時代とともに季節感が薄れてきていると言われる。しかし今の日本でも、春・夏・秋・冬、いたる所で季節を感じることはできるのではないだろうか。本書は、旅の思索家である著者が、十六の地方を訪ねる。「見果てぬ吉野」「空知川の岸辺」「柳しだるる柳川」「まぼろしの隠岐」「柳生の里」「宮島の秋」「越後の山里」「冬の日の伊良湖岬」などなど……。人びとを旅に誘い出すのは、「空」ではないかと著者は言う。なぜなら、人間がさまざまな生を営み、人生ドラマを演じ、悲喜こもごもの歴史を綴ってきたのは、他ならぬ空の下だったからである。だが、機械文明の中で暮らす現代人は、空を仰ぐことをほとんど忘れてしまった。そんなことを思うとき、著者は、「山のあなたの空遠く」に出かけて、心を空にあずけ、あらためて人間の営みを顧みたいという衝動に強く動かされ、旅に出た。それぞれの地に行き、季節に接し、歴史をたどり、人に思いを馳せ、人生を考える名紀行。

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匿名

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 著者は1925年(大正14年)生まれ、2014年に没している。戦中戦後に青春時代を過ごした世代である。
 作者が旅の対象とするのは過去の文人たちの足跡への憧憬である。昔の人の旅に対して、あこがれをもっている。作者はあこがれから各地に赴いているが、そこにあるのは「歴史への回想」である。
 平成も終わり令和に変わったこんにち、隔世の感は大きくなるばかりである。私は古典への憧れがあるので、古典へいざなう作者の文章は示唆にとんでいる。どこも観光地化している現代にて古へのガイドブックになろう。

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2019年11月27日

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