【感想・ネタバレ】魔群の通過のレビュー

あらすじ

内戦の末に賊軍の汚名を着せられ、上洛に唯一の活路を見出した天狗党の千余名は、愛すべき水戸の町を後に、京へ向かって苦難に満ちた大行軍を開始した。執拗な追手の攻撃、行く手を阻む厳寒の山河、続出する怪我人や病人。「京へ行けば逆賊の汚名を晴らせる」一途にそう信じて進む彼らの前に、絶望的な道程が待ち受けていた……。幕末に起きた天狗党の悲劇の顛末を、全編一人称の語りで描いた著者入魂の力作長編!

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Posted by ブクログ

時代は幕末。尊王攘夷を掲げた水戸藩は、幕府派の田沼や市川といった有力者に家族を幽閉され、何人も殺害されるという憂き目に有っていた。そこで、水戸藩にいた武田の末裔たち天狗党約1000人は、京都にいる徳川(一橋)慶喜および天皇に惨状を訴えるべく水戸から京都への行軍を開始する。行軍に先立ち、まだ10代の少年だった武田金次郎、源五郎たちは、ある男にそそのかされ、敵の市川の娘をかどわかし、連れて行くこととするが…。

サラッと読めるかなと読みかけたものの、武田源五郎の講談調の語り文と、水戸藩に誰がいて誰が敵でくらいわかっとるよな?という書き口で進むので、序盤は文字の上っ面をなんとかなぞっていくのが精一杯で進まず、半ばをすぎると今度は酸鼻な切ったり処刑だったりが続くため、これまた進まなくなる。

もともと歴史小説が苦手なのもあり、個人的には超大作として読んだのだが、慣れている人にはいつもの山田風太郎だな、位の文章だったのかもしれぬ。

話は戻って、幕末の天狗党事件という数百人数千人単位で獄死、処刑、家族郎党斬殺と、これ以上ないレベルの史実にある惨殺事件を描いたものであり、脚色されたものではないことを断っておく。読む前にWikipediaで調べておくべきであったな。

歴史者が苦手とはいえ、さすがに誰をどう見ればよいのかがわかってくる中盤以降は理解が早くなる。また、この手の話では男同士のぶつかり合いという部分は多くなるものの、市川の娘の登勢と、謎多き大人の女おゆんが男たちの足並みを乱したり、島崎藤村などがさらっと登場したりと、歴史と関係なく注意をひく話も含まれる。

また、作者自身が取材のために行軍ルートを進んでみた体験談が挟まれたり、普通に「チャンス」などのことばがいちびり無しで使われているのに気がつくと、ちょっとした親近感を覚える。

終盤ラストは気持ちの良い終わり方は全くしないし、人が人でなくなる様子を描いているというストーリーなので、読後感には期待しないこと。

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2026年07月01日

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