あらすじ
第一次世界大戦の開戦から100年。戦争とは、自らの意思に関係なく巻き込まれることがある――。オーストリアとセルビアによる「限定戦争」のはずだった戦いは、なぜヨーロッパ文明を破壊するに至る大戦争となったのか。ドイツを軸にした各国の動きを、軍事史の鬼才が存分に描く。尖閣、西沙諸島における中国との緊張、ロシアとウクライナの衝突を目の当たりにした今、第一次大戦の起源を考えることは、日本の外交や安全保障を考えるうえで多くの示唆に富む。集団的自衛権に関する世界史の教訓、最良のテキスト。
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Posted by ブクログ
安定の読みにくさです。この著者の文章はクセが強くて好き嫌いがはっきり分かれると思います。しかし私にとっては読ませる文章なので、別宮本は大抵目を通しています。
第一次大戦は一見してよくわからない戦争です。サラエボ事件をきっかけにオーストラリアがセルビアに宣戦布告したが、この戦争はあくまで局地戦です。
しかしその後なぜかロシアが総動員を発令する。セルビアはどの国とも攻守同盟は結んでいないにも関わらず。
これに対してドイツが反応する。ロシアとともになぜかフランスにも最後通牒を突きつけ、挙句に宣戦布告する。
しかしドイツ軍の飛び込んだ先はなぜかベルギーで、これになぜかイギリスが反応してドイツに宣戦布告する。
知らない人から見れば「なぜ?」のオンパレードですが、本書を丁寧に読み解けばおおよその事情がわかってきます。
はっきり言えることは、サラエボ事件は原因ではなく単なるきっかけに過ぎず、それまでには長い長い布石がいくつもあった、ということです。サラエボ事件だとか同盟、協商間対立など学校で習った説明がいかに薄っぺらいものかがわかるでしょう。
大戦勃発前夜の各国外交官らの緊迫のやり取りは本書の大きな見所です。同時に当時の在外駐在大使の権限がいかに大きかったがわかります。
また本書だけでなく、他のWW1本も合わせて読むことをお勧めします。両者が補い合うことが多々あります。個人的にはバーバラ・タックマンの『8月の砲声』がオススメ。
Posted by ブクログ
第一次世界大戦の発端として、サラエボ事件は有名ですが、この一見小さな事件が、なぜあのような大きな戦争を起こしてしまったのか。第一次世界大戦が起こるまでの背景を、その重要な要素であるドイツの歴史的背景からサラエボ事件の詳細、外交官達のやりとりなどを中心に書かれています。
事態は想像以上に複雑で、いちど読んだだけでは分かりにくく、またある程度の前提知識を要求されます。ちょっと難しいです。雰囲気だけでも頑張って読み通せば、この世界大戦は、だれも起こしたくなく、得もしなかった戦争だったのだと、改めて戦争の愚かさを感じずにはいられませんでした。争っている方々に言いたい、外から見たら喜劇ですよと。
シンプルな内容
良くも悪くもないという感じでしょうか。第一次世界大戦に向かって進んでいく各国の思惑が分かりやすく記載されています。
ただ、簡潔に記載されている部分が多いだけに、ある程度の予備知識がないと話がボヤける可能性はあるのかもしれません。