あらすじ
結婚式当日、何者かに襲われた祥子。婚約者のユウ君と手分けをしながら、祥子は真犯人を目指した。鍵となったのは、あるビデオに関わる猟奇殺人と、母が遺したウェディング・ドレス。そしてユウ君と再会したとき、不可解なジグソーパズルは完成する。全編に謎と伏線が鏤(ちりば)められた第16回メフィスト賞受賞作。
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よくできたミステリー
物理トリックと叙述トリックが組み込まれており、ミステリー好きの方でしたら無難に楽しめるよくできたミステリー小説です。
ただ、裏を返せば、ミステリー慣れしていない方には少しややこしく感じたり、展開に納得いかない部分があるかもしれません。
したがって、より細分化した評価をするなら、ミステリーとしては良作、しかし、ミステリー的な部分以外は平凡な、あるいはそれ以下の作品となります。
いろいろと偉そうなことを書きましたが、散りばめられた伏線とその回収、大胆な物理トリックなど魅力はたくさんありますので、一読の価値はあると思います。
Posted by ブクログ
大掛かりな装置やいかにも叙述トリック的な名前使いもありましたがが、程よい緊張感を保って最後まで楽しめました。ちょっと途中であれ?と思うこともありましたが、最後の種明かしはなかなかすっきりしました。
Posted by ブクログ
序盤の伏線、違和感を見事に回収。
無駄がなく綺麗にまとまっています。
まあ双子や顔が似てるって言うところで、中々怪しかったですけどね笑
時系列がずれているのも少しづつわかるようになっていて面白かったです!
Posted by ブクログ
メフィスト賞受賞作品。
キワモノかと思ったけど、意外と正統派ミステリーだった。あっという間に読み終えて、それまでモヤモヤしていたことが、きちんと繋がるのは醍醐味。ただ、同じような顔の人が何人も出てきたり、やたら大仕掛けなトリックだったり、ちょっと都合良すぎ?と思える面も。
男女それぞれの話が交互の章で語られる。それぞれ素敵な2人だったと思っていたのに、結婚式を境に離れ離れになり別の時空で生きてるかのように相手に出会えない。その前の雑談でパラレルワールドの存在を話していたこともあり、ミスリードを招く。今まで一緒にいた相手は本当の姿だったのか?お互いがお互いを探して見つけられず、当初の幸せだった頃の人物像からかけ離れてく。誰が悪で何が2人を遠ざけてるのか、結末まで目が離せなかった。
Posted by ブクログ
黒田研二のデビュー作であり,メフィスト賞の受賞作。「私」という女性視点と,「僕」という男性視点から描かれる男と女の出会いから結婚までのエピソードと,結婚式の直前に発生する悲劇。そして,「私」の章と「僕」の章で描かれている内容が少しずつずれてくる。
プロットは,よくある時間のズレを利用した叙述トリックである。「私」の章で描かれているのは,「僕」の章で描かれているより1年前の話であり,「私」の章の主人公である祥子を襲ったのは,祥子が1年前に結婚しようとしていたフィアンセである三笠勇紀だった。
祥子は,勝田という小説家の隠し子であり,勝田が祥子の母がウェディングドレスに残した秘密を隠すために,三笠勇紀を利用して祥子を襲う。祥子はその復讐のために,一年後に「僕」を罠にハメる。
叙述トリックとしては,ややことば足らずの部分があり,よくできていると感心させるより,純粋にオチで驚かせようという感じの作品である。
登場人物の性格の悪さは好み。黒田研二の作品は,基本的に一癖も二癖もある人物が出てくるのがたまらない。
なお,建物の中が回転していたので,既に死亡していた死体が動いたと感じたという,アリバイ工作に使われた物理トリックはバカミスっぽくて結構好き。とはいえ,全体的に見ると,評価は★3くらいになるかな。
Posted by ブクログ
3-
どうやら時間を錯誤させる叙述トリックには全く驚けない体質であるらしい。他作の例を挙げるのは、それだけでネタバレになてしまうので控えるが、今まで読んだ中では特に面白いと感じたものはなかった。楽しめない一番の理由は、読み始めるとすぐに「あ、時間を錯誤させようとしているな」とわかってしまうからである(大概1年ズレているパターンが多い)。それがわかると他の謎にもある程度推測がついてしまう。そう思わせておいて実は…、となってくれればいいのだが、大抵は読み手が課したハードルを越えてくれない。それでも話自体が面白ければ、ある程度は楽しめるので、無理にその手の小説を避けるようなことはしない。しかし、わかっちゃった時点で心の準備は完了なのだから、その後の展開にはあまり期待できない。
それは本作を読み終わっても変わらない感想、変わらない認識であった。更に本作には大掛かりな物理トリックによる犯罪も行われるのだが、これも少しでも映像制作をかじったことのある者にはバレバレなのであった。だがこの手のトリックを用いようとした発想自体は大いに好感が持てるし、共感もできる。