あらすじ
アベノミクスによって、いま日本は大きなチャンスを迎えている。同時にこのチャンスを逃すと、日本は大変なことになる――。本書は第2次安倍政権「産業競争力会議」メンバーの一員である著者が、日本を再起動させるためのプランを提示したもの。2002年~2007年、日本経済は明らかに回復していた。ところがその後、日本は改革に背を向けた。自民党は野党に転落、民主党政権はあまりに無策……日本経済が緊急事態に陥った諸要因の分析を通して、アベノミクスの三本の矢、とくに成長戦略のあり方について熱く語る。「アベノミクスは理論的に一〇〇パーセント正しい。問題はそれをほんとうにやり切れるかどうか……これが私の問題意識です」
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Posted by ブクログ
アベノミクス賛成派、反対派の両者の書籍を読み比べています。
本書は、経済やニュースにそれほど慣れ親しんでいない方でもすらすらと読める入門書だと思います。
竹中先生がPHPに寄稿したものを再編集したとのことです。第2章がリズミカルで気持ちが込められている感じがしました。「ニッポン再起動への道」という章です。
主に成長戦略についてですが、TPPや特区、イノベーションについて語られています。
TPPや特区は、アベノミクス反対派と真っ向から対立する論点ですが、両者の立場を読み進めながら、同調する部分もあることに気づきました。
政府のお金の使い方つまり財政の中身についてです。特殊法人に分配する資金が多いので、財政悪化を食い止めるために真っ先に手をつけるのはここだという点です。
竹中先生は、特に自由競争促進を掲げる方です。競争に負けた人へのフォローつまりセーフティネットがどれだけ行き届くかがアベノミクス成功のカギになるのではないでしょうか。
自分の判断で、努力してリスクを取ってチャレンジする、という選択をした人がチャンスを手にする―――という考え方は、私も大好きです。
途中、銀行がリスクをとらなくなったという点は大変興味深く、それが日本経済を弱体化した原因ではないかと思います。
印象として残念なのは、随所に小泉政権への批判を弁明する記述があり、それが頻出したところでしょうか。過去の事例を紹介するのは分かりますが、現在の経済環境における政策として、過去の弁明は余分かな、と。