【感想・ネタバレ】待っている男のレビュー

あらすじ

人は人生において、三回真剣に待つことがあるという。いつ来るか。いつ来るか――。男を待っている女がいる。女を待っている男がいる。大人の男女の微妙な駆け引きと打算。そこに、男と女の妖しい関係が見えてくる。不気味な恐怖とユーモア。阿刀田高が描く、男と女のこわ~いお話。

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Posted by ブクログ

星新一死後の第一人者的存在って言われてるだけある、待っている男紙の女藁の人形ありふれた誘拐が好きだった。

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2015年11月15日

Posted by ブクログ

阿刀田高氏の短編集。単行本は1984年に刊行。

阿刀田作品らしいブラックユーモアは、それほど強烈ではありません。初出誌、初出時期は不明ですが、エロティックなシーンを描いた作品が多く、幻想味がある作品も目立ちます。
阿刀田高作品集・エロスと幻想篇、という感じです。


以下は簡単に各作品の感想を↓

待っている男
携帯電話も無い時代、待ち合わせ客が多くいる喫茶店で、読者を待ち合わせ客と設定して、同じく待ち合わせ客として相席になった中年男性から一人語りを聞かされるという叙述スタイルをとった一編。
男性の過去が語られるこの叙述スタイルに、何かトリックがあるのか、と期待しましたが、そんなことはなく、オチの落差も、阿刀田高作品にしては弱いですかね。

朱いドレス
妻のいる男と不倫関係のホステスが、何かに導かれるように訪れた不思議な雰囲気の洋品店で、朱いドレスを購入する物語。
不倫関係相手の妻が自殺したと聞かされ、その妻と洋品店の女が瓜二つだったことから、朱いドレスに死んだ妻の恨みがこめられているのではないかと不安になる心理を描いたスリラー。
阿刀田高作品にしては、結末が明確
でない、不思議な雰囲気のまま終わります。

紙の女
精密機器会社の設計課の社員が主人公。ある晩、酔っぱらって自宅の団地に帰ると、自室に妻ではない見知らぬ美女がいて、という話。
『ウルトラセブン』の「あなたはだぁれ?」と導入部はほぼ同じ。
翌日、男が帰宅すると、昨日は実家に帰っていた妻が友だちからもらったという、絵を飾っていて、絵に描かれた女が昨夜の女にそっくりで、という展開。
平面図から物を立体的に見ることに優れた男と、平面に描かれた女との、平面を超えて立体、更には時間も超えた不思議な展開が待っています。

俺と同じ男
自分と瓜二つの男がいると知った男が、その男を巡る殺人計画に巻き込まれるサスペンス。
最後に生き残ったのが誰なのか、わからないままなのが、物語に余韻を残します。

西瓜流し
会津若松から新潟への山間の道を、クーラーのない自動車で通り過ぎる男が、喉の渇きに耐えかねて立ち寄った民家で、若く美しい女性に、供養のためにと川に西瓜を流してくれと頼まれるという物語。
5年前の出来事を、同じ道で回想するというちょっと変化球的な構成です。
のどかな田舎だと思っていたのに、厭な人間関係が浮き出てくる、ブラックでありながら抒情的な一編。

鈍色の眼
妻の浮気現場を見て欲情する夫と、浮気現場を見せて燃える妻。
一度、浮気相手を務めた男が、三年後、未亡人となった女と再会、再び体の関係を持つと、夫は死んだ筈なのになぜか視線を感じて、というエロティックなスリラー。
一筋縄ではいかない意外な結末を迎えます。


妻子ある男性と肉体関係を持っている女性が、ふとしたきっかけである若い青年と体の関係を持つ。その青年は、以前、鳥になって空を飛んだという記憶がある、という幻想的な一編。終わり方も幻想的ですが、ややグロテスクさもあります。

藁の人形
新婚旅行に出かける夫婦が乗る新幹線の窓に、発車間際に何者かに藁人形の写真が貼られる。
東京から名古屋までの間、二人共に恨みを抱いていそうな男女関係を思い出す、という内容。
それだけで特に何も起こらない話ですが、最後にちょっとした奇跡のようなことは起こります。

ありふれた誘拐
誘拐にご用心、と占われた男を描いた一編。
男には妻との間に子供は無いため、誘拐サスペンスとはならず、むしろ半年前に出来た愛人から借金を迫られる、という愛人が出来た喜びと金を無心される苦しみが主に描かれます。
急な終わりを迎えるラストで、やっとタイトルの意味がわかります。

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2025年03月19日

Posted by ブクログ

短編集ですべて男女におこる不思議や恐怖を描いた作品。
ユーモアとエロスを中心にして、物語は展開していく。
直木賞や吉川英治文学賞を受賞し、星新一に続くショートショートの第一人者とされている文豪だが……実は読むのは初めて;

1984年の作品で、描写にちょっと古さを感じる。
が、時代がもう少し過ぎてもっと古くなると、逆に気にしなくなるかもしれない。

切れが良くてかなりブラックですが、新鮮味はあまり感じません。
それだけ展開が、手本とするべき古典として広まっているということかも。

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2011年04月27日

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