あらすじ
『残念だけどアンタは――』「違う、僕じゃない!」
橋上教授の死体発見現場から無我夢中で逃走した悠太は、自分への嫌疑を晴らすために真犯人を探すことを決意する。
その事件をキッカケに廻り始めた9人の運命――。
父の死の真相を追うサライ。手を下した犯人を訝しむ亞里亞と悪魔。独自調査に向かう記者の桐子。彼らにまとわりつくダイイングメッセージ「CODE」の意味とは?
事件の謎に迫った時、井の頭公園での更なる大事件が彼らを襲う!
9人の変わり者たちが紡ぐ超常科学NVL(ノベル)、謎が謎を呼ぶ第2弾。
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Posted by ブクログ
超常科学NOVELの第2弾。前作よりオカルト色が濃くなっており、「ニゴロ事件」と称される怪奇事件や「コトリバコ」などの恐怖的モチーフが満載で、ラノベでありながら描写や体裁はホラー小説のそれに近く、キャラクターの一人称の語りがそれに拍車をかけている。今回でメインキャラクターがそれぞれ邂逅を果たすことで、ようやく物語が動き出した感じがある。作中の事件はどれも血生臭く陰惨ではあるものの、この個性的なキャラクターのおかげでトーンが暗くなりすぎていないのは素晴らしく、ホラーの本質である「怖いもの見たさ」を忠実に守っていると言えよう。前作の難点の一つであった、まとめブログ管理人という、あまり共感できない主人公のクズニートぶりは本作でも健在だが、それらの立場を取り去ってしまえば、ただのビビリのひ弱な高校生なので、ホラーとの相性は良く、やや薄かった人間味もあったので個人的には満足である。加えて、まとめブログ管理人という顔の無い代弁者めいた立場は事件ともフィットしており、主人公であることを強く意識せざるを得なかった。結局はやや特殊な立場ではあるものの、一般人のそれと変わりないというのが認識できたのが良かったのかもしれない。ラストも衝撃的で、続きが非常に気になる展開である。