あらすじ
元恋人との仲を嫉妬した暁(あきら)が家を出ていき、独り暮らしに戻った諒一(りょういち)。仕事だけが自分を裏切らない――激しい喪失感を抱え編集作業に没頭していたが、ついに大失敗をしてしまう!! しかもある晩、家を訪れた暁に突然別れを告げられて…!? 過去の恋に傷つく臆病な男が、もう一度を愛を選択する――。仕事に全力を懸ける若きカメラマンと編集者、二人が見つけた不変の愛の物語、感動の完結!!
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Posted by ブクログ
同居していた暁と元恋人であったオビさんと会ってたことがバレてけんかをして、独り暮らしに戻った諒一。
諒一は、暁が出て行ってしまったことで生じた自分自身の変化を埋めるかのように、仕事量を増やし、まるで仕事に溺れるかのように日々仕事に追われる生活へと変化した。暁がいなくなってしまった穴を仕事で埋めようとしたのだ。
当初こそ、それはうまくいったかに見えたけれど、次第に諒一は余裕をなくしていき……
そんな時にふらりと立ち寄ったのは、まだ諒一が若い頃から行きつけにしているバーだった。その店にはそっちの気のある人間が集まる店、として有名な店なのだが、今日はそんな気分でもなく、ついうっかりそこで会った同じ職場であるも、同じ職場に諒一が就職する前から先輩である男に全てを話してしまう。
どうして自分は割り切ることができないのか、自分はどうしたらいいのか、暁のために何が一番いいのか、過去の失恋から立ち直れずにいた諒一が今、ゆっくりと動き出す……
という感じの話でした。
実はこれの前作を読んだのが大分前だったので、内容を思い出せるのかどうか、大分不安だったんですが、それは余計な心配でした。
読み出したらあっさり、この人の作品の世界に入ってしまって、けんかした原因なんて些細なことのように思えて、過去の恋愛に縛り付けられてる諒一がどうするのかが気になってしょうがなくなって。
で、最後のハッピーエンドにほっとため息をつきました。
人間には誰にでも矜持があって、それを成すがために働いているのだな……と思わされて、ちょっと働くことの価値を見失っている私には思い宿題を突きつけられたような気もしましたが、基本的には読んでよかったと思いますし。
プライドと今のしっかりある男だからこそ、それを折ってまでやり遂げないといけないことがある、と教えてくれた作品だったように思います。
簡単なことで譲ってあげられなくなった大人の恋愛話を読みたい方にオススメします。