あらすじ
なぜテロにはしるのか。なぜ「正義の使者」タリバンは世界の敵になったのか。アメリカ、ビンラディン、タリバン――“運命の三角関係”を読み解く、渾身の現地取材。
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Posted by ブクログ
ニュースだけの報道を見るだけでは
彼らの本心は決して見えてこないのです。
そもそも、メディアは悪いところを誇張しますからね。
でも、別に読んだ本を
この本を読む前に読んでいたので、
彼らが悪の権化ではないことは
分かっていました。
彼らは、大国に踏みにじられた
国を守りたかっただけ。
隣国の不条理に立ち向かっただけ。
だけれども、かの二大国は
それを認めません。
愚かなものですね。
人の欲がいかに人を追い詰めるか
分かる一冊です。
Posted by ブクログ
2001年9月11日のアメリカのテロ事件直後に発行された本。当時は田中宇さんのメールマガジンを毎週きちんと読んでいたのであえてこの本は買わなかった。日本ではアメリカから流れてくる情報を垂れ流しで「タリバン」=過激派みたいな報道のされ方だったけど、アフガニスタンの問題を歴史的な流れの中で位置づけながら理解するにはとても良い本だと思う。また隣国パキスタンとアメリカの関係も踏まえて地理的な繋がりの中でこうした問題をとらえることの大切さも学べる。周りを海に囲まれた日本にいると「陸続き」に行き来できてしまうことからくる「関係の複雑さ」がなかなか理解できないから。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
いまや世界の敵になった感があるタリバンは、20年以上続いたアフガン内戦を終結させた「正義の使者」だった-。
現地取材を元に、アメリカ、ビンラディン、タリバンの運命の三角関係を読み解く。
なぜ、テロにはしるのか。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
フリー・ジャーナリスト、田中宇氏が「911」の直後に出版した本。なので一応さわり程度には911の話題は出ますが、基本的には当時のアフガニスタンのルポ本です。政治的にどーとかそんなのはとりあえず置いておいてとにかく現地は今どうだ、民衆はこんな話をしていた、とか、地味だけど素朴でストレートに『あの頃のアフガン情勢』を分かりやすく説明してくれています。タイトルと内容がいまいちあっていない気がするので☆4つ。アフガン入門書としては最適だと思います。
Posted by ブクログ
「タリバン」というタイトルから何かいつもの様な得体の知れない恐怖や危険を感じてしまうが、内容はアフガニスタンとそれを取り巻く米ソおよびパキスタン間の情勢に関するものだ。ご存知の通り米ソ冷戦時代にはソ連からの干渉を受けたアフガニスタンと、それを防共目的で支援したアメリカ。アメリカはベトナム戦争後の国民感情があるため、容易にアフガニスタンへの派兵ができず、パキスタンを通じてアフガンゲリラを武器の供与などで支援する構図となった。その後は言うまでも無くアフガニスタンに混乱を招き、アメリカ支援を受けた組織の中からビンラディンがいよいよ西欧の脅威となって台頭していく流れだ。この自分自身の敵を育てるアメリカのやり方が、イスラム世界の住人から見れば非常に滑稽に見えるし、現にそう考えるのが正しい。なぜこの様な複雑な背景になるかといえば、アメリカやソ連だけで無くパキスタンなどの大国・周辺国の利害関係が複雑に絡み合う地理的な要素であると考えられる。ソ連(ロシア)からすれば旧ソ連邦諸国であるアジアを通過してアラビア海・インド洋への出口となるし、それを防ぎたいのがアメリカ。さらにパキスタンはインドの脅威に常に晒されつつ、北からの圧力には耐えられないから、北方面での混乱は却って都合が良い。パキスタンに至っては、混乱したアフガニスタンからの難民(実質的にはただの労働移民)による労働力や武器・麻薬の密売は国家経済を支える重要な要素となっている。よって経済的にも地政学的にも重要な位置にあるアフガニスタンが、文明の十字路として平定されない理由はそこにある。
時を逸せずスーダンから亡命してくるビンラディンをタリバン側が受け容れ、同氏の強力なカリスマ性が組織内に浸透していくには時間を要さない。ビンラディンの厳格なイスラム主義は古い体制の農村部にも受け容れ易い考え方だし、本来的にはイスラム世界は平和で人々が支え合う社会であるから、混乱したアフガニスタンが支持するのは必然の流れだ。
2001年9月11日の同時多発テロは無辜の市民を聖戦に巻き込んだ非難の対象としては明らかだが、要因を作ったのはアメリカそのものであり、その攻撃対象を作ったのもアメリカ自身であると考えれば、何かもっと大きなアメリカの描くグローバリズムのシナリオがあるのではないかと感じる。
アメリカの繁栄を非難するわけでもないし、彼らが世界に与える平和的な要素や人道支援的立場も評価されて当然だとは思うが、世界の動きを掌の上で思い通りに動かす力も彼らは持っている。
イスラエルとの関係を見ていても明らかだが、手綱を緩めたりムチで強く尻を叩いたりと、目的地へ向かうための腕の使い方、それ自体に世界が翻弄されているという言い方がしっくりくる。
その煽りを受けたアフガニスタンは、その地理的重要度の高い位置にあると言う理由で、混乱して平穏なき日常が延々に続く羽目になっている。
ただ一方で弱い側の立場にある人々が徐々にその生活や経済に依存していく一面もあり、中々双方がその状況を打開し辛い状況になり、問題は更に複雑化する。
そして積年の恨みを果たせとばかりにイスラム教の様々な勢力がこの地を聖戦の足がかりとして強大化していく。宗教・経済・社会問題が二重三重にも複雑な多層構造で成り立つこの地域に真の平和が訪れるのはいつになるだろう。
Posted by ブクログ
2001年発行なのに、ちょうど歴史が一回りして、アフガニスタンは再びタリバーン支配下に。大国アメリカと隣国パキスタンにいいように利用されてるのだね。
最近の著者は自分のサイトで「コロナワクチン注射でHIV感染する確率が高まる」などというトンデモ説を書き散らしてるよ。3.0
Posted by ブクログ
【ノート】
・南郷の古本屋で。と思ったら千夜千冊でも。何かちょっと嬉しい。
・タリバンってのは「学生」って意味だそうな。何だか冷戦の構造やらその後の経緯を知っていくと切なくなっていく部分がある。今頃になって「虐殺器官」が説得力を持って迫ってくるような感覚がある。
Posted by ブクログ
・内戦の続くアフガニスタンの紛争に歯止めをかける役割をアメリカ・パキスタンに背負わされ期待を受けていたタリバンが、如何にしてイスラム原理主義を標榜するテロ集団としてアメリカに烙印を押されたのか、9・11事変に至るまでの複雑な前史を示してくれている。
・国際情勢についての勉強不足が再認識できたが、それ以上に日本のメディア視点から得られていた断片的で表面的な知識からさらに踏み込んだアフガニスタンの歴史、内情を知れた。その意味合いでは、厳然として起きている事実を脚色無しにルポルタージュしている本書はどちらの立場にも偏重しすぎることなく書かれていてとても読みよいものであった。
・グローバリゼーションの名の下、一局支配を試み紛争地域への内政干渉までおこなうアメリカの覇権主義の生み出した結果の一つとして、その終着点を9・11以後に求めてもよい結末へと導かれないと感じた。次は、パレスチナ、セルビア・モンテネグロについても同様の視点から眺めてみると共にアメリカ視点から描かれた9・11についても学ぼうと思う。