あらすじ
日本は「成熟国家」のトップランナーであり、世界に誇れる「環境」「安全」「健康」の“資源”を生かす成熟戦略を考えるべきと説く。
【主な内容】
序 章 会社は変わらなくても、働く人は変わる
第一章 デフレがなぜ恒常的になったのか
第二章 アベノミクスと日本経済の成熟
第三章 下がり続ける日本の賃金
第四章 格差の拡大は避けられるのか
第五章 伝統的経済学の限界
第六章 成長のない経済
第七章 資本主義はこのまま続くのか
第八章 江戸時代を考える
第九章 「成熟戦略」の時代
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Posted by ブクログ
「失われた10年」「失われた20年」と、ただ年数を重ねて定義しなおすだけでは、能がないですよね。今頃振り返ってみて、「そういえば、そうだね」と腑に落ちたのは、本書にあったこの記述。
成長が鈍化したのではなく、成熟。
「前進するのが善」を疑うこと。
江戸時代が成熟時代のお手本だという指摘に、ハッと我に返った思いがしました。経済が成長をやめ、成熟期に入ったところで文化の花が開いたとのこと。
本当ですね。これからが、本当の心豊かな時代なのかもしれません。
ところでつい最近、1ドル=110円に届く水準まで円安が進み、これまで円安を歓迎していた産業界から、円安を懸念する声が上がりました。
本書にあるように、実態は、輸出企業でも利益が減少する構図なのでしょう。海外への直接投資が進み、海外で組み立てた完成品を日本企業が輸入しているからです。
なお、本書に記載されている「未熟な債権国」の「成熟した債権国」の対比が非常に分かりやすかったです。本書から引用させて頂いた秀逸な表現とことわった上で、国際収支統計の解説などをする際に、使わせて頂きます!