あらすじ
熱の舌しびれるように人を恋う ぬけがらの私が妻という演技 男の嘘に敏感なふしあわせ 妻ですという美しき怒り見し こちらあなたの夫と死ぬる女です ~本文より~ いまだかつて、これほど烈しい恋の句集があっただろうか? 有夫恋(夫ある女の恋)。狂おしい生命の叫びを五七五に鋭く切り取り、一大センセーションを巻き起こした、珠玉の川柳句集。
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Posted by ブクログ
時実新子さんの川柳(5・7・7の歌の事)が大好きです!
と、のっけっから告白してますが。
皆さんは時実新子さんの川柳を読まれた事はありますか?
私は彼女の川柳を初めて読んだ時、「川柳というものは、こんなにも鮮烈なものなのか!」と新鮮な驚きを感じた事を覚えています。
それまで国語の教科書にあるようなものしか読んだ事が無く(いや、それも好きですけれども)、まったりとしたイメージしか持っていなかったのです。
しかし、時実さんの作られる川柳は、まるで血で書かれたかのように生々しくリアルな「情」というものを感じさせる作品でした。
「有夫恋」というセンセーショナルなタイトルの単行本を出されており、話題になったそうですので(当時はまだ知りませんでした)覚えておられる方も多いと思います。
時実さんの川柳は、特に女性に「これは私!?」と錯覚を覚えさせるほど身近に感じられるのではないでしょうか。
正直男性には分かりにくい世界かもしれません。
とても深いドラマを感じさせてくれるのです。
たとえば、
嫁ぎ来て十年恋はまだ知らず
箸重ねて洗う縁(えにし)をふと思う
永遠の愛誓わせて何になる
人は言う簡単に言う邪恋の名
覚めている人を想うて覚めている
など。
どうかしたらクールなのに、青く見えても温度の高い炎のような烈しさを彼女の歌に感じます。
まだ秀句がたくさんあるので、是非一読をお勧めします。