あらすじ
『経済表』を考案したケネーはルイ15世寵妃の侍医であり、『国富論』の著者・スミスは道徳哲学の教授だった。興味深い経済学草創期からリカード、ミル、マルクス、ワルラスを経てケインズ、シュンペーター、ガルブレイスに至る12人の経済学者の評伝と理論を解説。彼らの生きた時代と社会の発展をたどり、現代経済学を支える哲学と思想を再発見する。(講談社学術文庫)
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
経済学の大きな考え方を産み出した人物12人を、短い伝記と共にその産み出された考え方について紹介している本。
取り上げらえている偉人はケネー、アダム・スミス、リカード、ミル、マルクス、メンガー、ワルラス、マーシャル、ケインズ、シュンペーター、スラッファ、ガルブレイスの12人。それぞれがどういう過程を経てどういう理論をどういう目的で産み出したかが示されている。
経済学で使われている考え方は多種多様でありいろんな人がいろんなところで利用しているけれど、その多くは歪められて使われているように感じる。そんな歪みが無いように偉人の生きた時代背景や生い立ちなどを抑えたうえでわかりやすく理論解説をしている本で、とても読みやすくかつ整理されててわかりやすいものだった。
単なる理論の紹介や解説でなく伝記も含めて考えることでどういうモノを考えてきたのか、どういう考え方をしていたのかといったことが読み取りやすく、巷で溢れているような”歪んだ”理論にならないように配慮されているように感じとても好感が持てた。彼らの求めたものは基本的には真理の探究であって発見ではないと思われるが世の中には彼らが真理を発見したものとして捉えてる人が多すぎなんだろうと思う。
全体の感想としては、かつては食糧生産が圧倒的に足りず必然的に経済は土地に縛られていたので、求めるべき真理もあるべき理想も比較的単純であったがゆえに生み出された理論も追い求めるべき理想も”身近”であったが、時代が立つにつれて経済を取り巻く環境は複雑化した結果、経済学者はいかに現実と理想とを近づけるかといった事よりも「完全」な理論を追い求める姿勢が強くなっていったのかなと思え、結果、理論と現実とが乖離しているのが現代の経済学なんだろうなと感じた。今の時代に必要なモノは彼らが生み出した「理論」ではなくその理論を作り出した「考え方」でもって現代社会を分析して解決策を新たに作り出すことなんだろう。
Posted by ブクログ
経済学史において最も重要な学者を12人を選び抜き、
彼らの人物史と時代背景、思想、理論を解説した類のない名著
歴史の話はともかく理論の話は初学者には理解が難しい水準
Posted by ブクログ
12人の経済思想史の偉人の思想を400ページ近くの文庫版で説明しようとする本。著者は、経済思想史の本が多い根井氏。
フランソワ・ケネー、アダム・スミス、リカード、J.S.ミル、マルクス、メンガー、ワルラス、マーシャル、ケインズ、シュンペーター、スラッファー、ガルブレイスの12人。個人的にはこの後の著作を見ても、根井氏らしい人選だとも思う。
1人の人物の思想に平均30~40Pとなるが、人物の略史があるので思想に入る前にわかりやすい。機会あれば、また読み直したいと思った。
Posted by ブクログ
フランソワ・ケネーから始まって、アダム・スミス、J.S.ミル、マルクス、マーシャル、ケインズ、シュンペーター、そしてガルブレイスなど12人の経済学者の経済理論を解説し、経済学史の流れを非常にコンパクトに分かりやすくまとめた力作。
それぞれ小伝が紹介されているので、当時の時代背景と生い立ちから、12人の経済理論はもちろんのこと、彼らの思想、哲学の核となる部分まで辿ることができる。
筆者の言うとおり、「現代経済学の背後に隠されている古の哲学や思想の痕跡を再発見し、現代理論を盲信する危険性を防ぐ」ということが、経済学の歴史を学ぶ理由の一つであり、本質を発見できることも一つの大きな魅力なのではないかと思う。
また、12人の経済学者としての才能に留まらない教養、知性、人間性から、J.S.ミルをはじめ、「名文家」として通ったガルブレイスなどの著者としての作品も興味をそそられる。
Posted by ブクログ
・1700年代にケネーから始まった経済学の変遷を、1900年代のガルブレイスまで辿った経済学史サマリ
・各経済学者の生い立ちや社会的背景含めて完結にまとめられている良書
・ざっくり纏めると以下の様な流れか、、、
-農業をベースに経済循環をモデル化/まだ農業主体(ケネー)
-農業と商業が価値を生み出す/自由市場で上手く回る(スミス)
-生産手法は土地毎に規定される/貿易で成長出来る(リカード)
-資本主義の危険性/労働者のキツ過ぎる環境(マルクス)
-価格は供給でなく需要で決まる/限界革命(メンガー)
-価格は需要と共有の均衡点で決まる(マーシャル)
-貨幣にも限界需要を適用/有効需要→投資→生産→雇用の循環/政府が積極的に介入すべし(ケインズ)
-経済学の静的前提を動的なものに捉え直し/新結合が成長を生む(シュンペーター)
-資本の定義を再定義/もう一回供給主体に議論に戻そう、古典を再評価(スラッファ)
-大企業中心の組織体テクノストラクチャーが経済を回している(ガルブレイス)
・この1冊で腹落ちさせるのは難しいが、これを読みながらAIに具体例を聞きながら理解を深めるととても効率良く学べそう