あらすじ
そこは、蒸機と神秘、怪人の街。
時は1961年、アメリカ。
正体不明の霧・ミアズマによって発展した街ビザーバーグは、蒸気天国の異名をもつ世界有数の工業都市である。そこでは、ミアズマを重蒸気に変換し動力源としたクラフト技術が発達し、ミアズマの影響で超能力に目覚めた新人類《ミスティック》や、体細胞の変質を遂げたクリーチャーなどが跳梁する“何でもあり”の街として名を馳せていた。
ビザーバーグで何でも屋を営むスチームシーカーコンビ、《奇術師》ニコラスと《真鍮男》ザジは、あるとき怪しげな探偵の依頼を受ける。それは、かつて世界を闇に陥れた悪の秘密結社《ディスコルディア・リーグ》に関わる、とある男を保護することだった。だが、男の確保に乗り出したとたん、ディスコルディアの遺産を狙うマフィア、世間を賑わすクラフト犯罪者とぶつかり合うことに。さらにはビザーバーグ市警や、この街を守る正義の少女ミスティック・チーム、《トライデント》まで動き出し――!?
いま“夢の街”を舞台に、盛大で壮大なバカ騒ぎが幕を開ける!
第8回小学館ライトノベル新人賞にて“優秀賞”を受賞、怪人跋扈のスチームヘヴン・ファンタジー!!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
特殊な力でマッドサイエンティストとかの悪から街を守る活劇もの
部分ごとの描写はわるくないが
全体としてこれという売りがなく半端
すごくガガガ文庫らしいというかジャンプ掲載作品にはなれない二級感
緩急が足りない
Posted by ブクログ
本格スチームパンク風のライトノベル。まず目を見張るのはその世界観の構築ぶりだろう。ピストンの音や歯車の軋みが聞こえてきそうなほどの描写力に加えて、専門用語は多いものの、その説明がストーリーに溶け込んでいるため説明臭さはほとんど感じなかった。雰囲気を盛り上げるための用語と、話に関わる設定としての用語を上手く切り分けて扱えていた感じがする。ストーリーテリングの力量も高く、伏線も丁寧に張っているのは好感が持てる。しかし冒頭で少女を助けるキャラクターが実は主人公ではないというミスリードは、ラノベ特有のイラストと人物紹介のせいで台無しになってしまったのが非常に残念。イラストも好みが分かれる上、いまいちイラスト化する場面と作中の盛り上がりが噛み合ってなかったように思える。また、キャラクターも平凡ではないものの、魅力は乏しく、設定による書き割りめいた感じは拭えなかった。総じて、ストーリー、世界観、構成力は群を抜いて素晴らしいものの、キャラクターとイラストという、ライトノベルのお家芸の所でかなり割りを食った作品であるといえよう。