あらすじ
「魔法使い」「魔女」「魔術師」などと呼ばれる魔界の使者達は身近に存在する。彼らは通常、黒い布をまとうこともなく普通の人間として暮らしながら悪魔達を人間界へ送り込むチャンスを絶えず狙っている。そう………たとえば君の後ろに座っている大人しいクラスメイトのように……。尚美は受験生だが勉強がうまくいかず、さらに生まれたばかりの弟のせいで集中できず精神的に追い詰められていた。そんな彼女にJackは悪魔・ネビロスを紹介し、「受験に合格できるように力を貸す、代わりに魂を渡せ」と契約を持ちかける。初めは断った尚美だが、「身代わりは弟でもいい」とそそのかされ……。収録作「Nebiros(ネビロス)」ほか「Astaroth(アスタロト)」「Schiele(シーレ)」「Glasialabolas(グラシアラボラス)」「Amon(アモン)」「Buer(ブエル)」の全6話とオマケページ「CHIBI JACKにしつもん」を収録。
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とにかく読んでみて!という感じ
表紙で損してるんじゃないかなぁ…(^_^;)
中身は1話完結で何話も収録されているから、面白い上に読み応えがある。
何十年か前に好まれた感じの絵なので、それが気にならないなら絶対楽しめる。
悩みや欲を抱えた人間が、悪魔の力を借りて望みを叶える話。
望みが叶ったら、代償として自分もしくは他人の魂を悪魔に捧げなければならない。自分が死ぬか、自分の手で誰かを殺すか。
その条件は悪魔との契約前に説明され、別に契約せずに終わらせても良い。けれども各話の主人公は悪魔と契約する方を選択し、事態が進んでしまう。
望みは確かに叶う。契約者はぬか喜びする。だけど悪魔が魂を寄越せとやって来る。自分が死にたくないなら誰かを殺さなければならない。殺人なんて…とそこで初めて恐怖に陥る者もいれば、嬉々として殺す者もいる。あるいは…
各話の主人公は高校生だけど、悩みや欲は年齢に関係なく似たようなものなので、大人も普通に話に入り込めるのでは。
悩みが解決し、もしくは欲求が満たされたなら、そりゃ誰だってそのまま生き続けて人生を謳歌したい。仮にもし「悪魔に支払う代償は本人の魂(命)のみ」だったなら、各話の主人公は悪魔と契約しなかったかもしれない。
けれども「他人の魂でも良い」というルールだったせいで、「誰を犠牲にするかは後で考えれば良いこと、まずはとにかく自分の望みを叶えたい」と問題を先送りして目先の利益を優先し、後で取り返しの付かない事態になる。自分が誰かを殺さなければ自分が死ぬという契約内容だと分かっていても、契約してしまう。とても人間的。
(※ただこの設定、最初は結構揺らいでいて、「自分の命か、自分と血の繋がった人間の命」だったり「自分で殺すのではなく悪魔が自分で人間を殺す」だったりする。読んでる内に設定が少しずつ変化…)