あらすじ
医療の是非は死ぬ時までわからない。本書には自らの選択を後悔しない賢い患者になるために、知っておきたい医療の事実が満載。著者は、マウスにオペラを聴かせるという独創的な手法で「病は気から」を科学的に実証し「イグ・ノーベル賞」を受賞した臨床医。日本初の保険診療によるセカンドオピニオン外来を開設し、西洋医学に飽き足らず漢方を学び、移植免疫学研究の分野でも活躍する著者が、多様な経験から見いだした大前提の事実は「医療は常に“壮大な人体実験”の途中」ということ。何が正しいかは誰にもわからないからこそ、患者は自分にとって最善の選択をしてほしいという思いを込めた1冊。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
とても誠実なお医者さんだと感じました。裏も表もなくご自分が感じられたことをそのままを書かれていて、同感する部分が多くあり、それがまた真摯に患者の立場に立っての思いであることが伝わってきます。とてもいい本だと思います。
Posted by ブクログ
この頃特にお医者さんの書く本が多い気がする。スピリチュアルな人まで出てきたし。けれど本書は、医療否定本でもスピリチュアル本でもない、いい塩梅の本である。
著者自身も、否定本の代表的存在、近藤誠医師を、当初は困ったと思っていたが、今では6割ぐらい賛成だという。この6割位、半分以上というなんとも突き抜けない数字、だがそれがいい。
「運と縁」という言葉が度々出てくる。疾患をアナログとデジタルにわけて考えると、医療に対する期待の目も結構かわるなあ。
現代医療はそれなりに歴史と根拠を重ねてきていて、効果のあるものだ、という矜持もある。
ただ、医療=医師ではないし、人の身体もひといろではない。医療は一種の人体実験の連続でもあるが、そのことで、自身も含め救われる人がいる。そうでない人もたまにはいる。まったくもって、「運と縁」である。
医師と患者の双方が、そういうつもりでいたらよいのにな。大抵の場合、どっちかだけなんじゃないだろうか。そういう面では、医者から見たら「患者必読」であるし、患者としても、過信や盲信や疑いを整理する面でもよい。
Posted by ブクログ
医療は壮大な人体実験。
高カロリー輸液とビタミンで食事が取れなくても栄養が取れる。
PSAが陽性でも70%は前立腺がんではない。
1型糖尿病の人はやせている。2型とは異なる病気。
骨粗しょう症の治療薬は、破骨細胞の機能を抑制している。古い骨が残るだけで骨折しやすくなる。
骨粗しょう症の薬を売るために、検査機器を配って病気を作り出した。
ピロリ菌を除去すると、胃酸が増えるので食道がんが増える可能性がある。
風疹、はしかはかかったほうがいい。
「麻黄湯」で解熱できる。
杉田玄白の患者のうち7割は梅毒の患者だった。
ストレプトマイシンは結核の特効薬、難聴が副作用。結核は排菌している間は、隔離する。
25年前は、輸血でC型肝炎にかかった人が多かった。
ステロイドの難航は内服薬に比べて安全。
リウマチにステロイドは奇跡の薬だった。
自律神経失調症はゴミ箱診断名。
腰痛には、芍薬甘草湯と柴胡桂枝湯を合わせて飲むと効く。
V2ロケットの燃料回りの仕事をする人はテンションが高い=ヒドラジンがうつ病の治療に使われるようになった。
今の睡眠薬は、死ねない。
不眠は健康にはさほど問題ない。脳を休めるには目をつぶればよい。
睡眠導入剤と睡眠薬の違いは効き目の時間。
オキシトシンは、陣痛促進剤として使われる。
治療は4段階=最初は日常生活の管理、次が漢方薬、第三段階は、ジェネリック医薬品が出ている薬品、最後は新薬。
ジェネリック医薬品は、元のものと同じではない。
インドは、かつては製造方法が違えば特許を侵害しなかった。
OTC医薬品は、薬局で買えて処方薬と同じものもあるので、お手軽。
とりあえず漢方。
医療従事者は、人間ドックを受けていない。
遺伝子検査=23アンドミー。唾液を検査するだけ。
バランスボールに座ると運動になる。
アル中はヘビースモーカーより危険。