あらすじ
驚異の記憶力を持つ東堂は昭和十七年一月、対馬の要塞重砲兵連隊へと配属。そこでの三カ月の教育期間に彼が体験したものは何か?漫画化絶対不可能と言われた日本文学の金字塔ついに出現!
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Posted by ブクログ
「巧いマンガ」ってのは、
ぱっと読んで「面白くない」。
丁寧に作られていると「普通で平凡」な感じがするし
「作画が嫌いだから」って理由で
せっかくの面白いプロットや
心にぐっと来るセリフに触れる機会を失ったり。
(勿論「読ませる事、楽しませる事に特化して巧く書かれたマンガ」もあるんだけど)
この作品は間違いなく「巧いマンガ」だと思う。
知る人ぞ知る「神聖喜劇」をマンガ化した!
って時点でまずかなり購入者を減らしていると思う。
(実際僕も何度か本屋で手に取ったけど情報密度の高さがキツかった。)
まあ、「神聖喜劇」を知らない、
って人にとっては「あーこの表紙の絵は何世紀前のマンガですか」&値段を見てノックアウトだと思う。
(お世辞にも作画が上手いとは思いません。)
じゃあ、なんだよ!
なんでお前は買ったんだよ!
って話しになるんですが妙な引力を感じて思わず買ってしまいました。
読んでみて納得。これは「ニオイ」がするはずです。
舞台は太平洋戦争に突入したばかりの日本。
虚無主義の主人公、東堂太郎の兵役訓練での生活が描かれます。
戦争云々、軍隊云々ではなく
そこにいる人々が考えている事
がくどくどと描かれ
誰もが「戦争のバカバカしさ」ってのを理解しているけど
建前で戦争に向き合っていた戦中日本の風景が上手く描かれているように思えます。
まさに「喜劇」です。
単価は高いですが、それに見合ったボリューム、読み応えがあると思います。
Posted by ブクログ
好きな作家、三浦しをんさんのおすすめで読んでみた。文字数多く、少々くどい、いろいろしんどくて3巻で断念。
「知りません」禁止、「忘れました」強制。なぜそうなるのか、の人間心理を考察する結果にあるあると感じる。
大根汁は軍事機密、軍隊の読み方、上官がカラスは白いと言えば白いなど、軍隊がしょうもないことでこんなに揉めていたことには驚いた。理不尽、ハラスメントの骨頂、残虐差別、性虐待、ひどすぎる。
戦争が人の心を攻撃的に、閉鎖的にしていく
そんな状況にありながらも持ち前の記憶力を活かして抗っていく東堂さん、かっこいい。
どんな場にあっても自分の長所や能力を武器に闘えるといいな。最悪状況下でそういう力が僅かな希望、ゆとりであり、少しずつでも何かを変える力になるのでないか、と思った。
時代は変わっても同じ人間。単純に共感することも多い作品だと思う。