【感想・ネタバレ】ウは宇宙船のウのレビュー

あらすじ

ぼくたちはロケットが大好きだった。土曜日の朝の宇宙空港、爆音とともに大空へ消えゆく光点。いつかあのロケットで星の海を渡っていくことを、ぼくたちはずっと夢みていたのだった…。少年たちの宇宙への憧れに満ちた表題作をはじめ、深海の闇にまどろむ恐竜を100万年の時を越えてよびさます「霧笛」、万聖説の宵は妖魔たちの饗宴「集会」など、レイ・ブラッドベリの傑作短編を萩尾望都が描く、珠玉のSFポエジー全8編。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

■ウは宇宙船のウ 31p
抒情たっぷり。
「ポーの一族」がひと段落し、「百億の昼と千億の夜」で弩級のSFと戦ったあとに、これを原作に選ぶのがいい。
歴史的にはどうかわからないが、最早ブラッドベリ+萩尾の組み合わせが至上と思える。

■泣きさけぶ女の人 22p
これは恐い……読んだ年齢によっては永遠に引きずるかも。
というのも自分しか知らない埋められた女の人を、どれだけ訴えても大人が真面目に取り合ってくれない、その無力感と、実際的な怖さと。

■霧笛 32p
抒情……失われたものへの愛惜……人生……恐竜。
灯台守が、恐竜の内情を想像するところに、人生が重ね合わされて……いい。

■みずうみ 18p
溺死した永遠の少女。アナベル・リーか。
「ポーの一族」のメリーベルの系譜。

■ぼくの地下室へおいで 30p
こりゃ怖い。
ジャック・フィニイ「盗まれた街」プラス、本多猪四郎「マタンゴ」。

■集会 31p
ハロウィーンのオバケたちの中で、落ちこぼれの少年が視点人物。
オバケ目線でも孤独なのだ。

■びっくり箱 32p
「屋敷に閉じ込められる子供」モノ。
なんと命名すればいいのか分からないが。
ヨルゴス・ランティモス「籠の中の乙女」、服部まゆみ「この闇と光」など。
もう少し場所を拡げればルシール・アザリロヴィック「エコール」「エヴォリューション」も入れていいかな、と考えたところで、あー寄宿舎モノと繋がっているんだな、と気づいた。

■宇宙船乗組員 23p
これはつらい……「ウは宇宙船のウ」と対になっており、本の最初と最後で美しい構成になっている。
ところでラスト1コマについて、ごく最近似たオチをどこかで見たような気がするのだが……思い出せず……ひょっとしたら他の作品ではなくてこの作品を思い出しているだけなのかもしれない。

◇エッセイ―ねえ、君たちは今どこにいるの?:谷村志穂(作家) 4p

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2021年09月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

さすが……さすが萩尾望都先生です。しっとりした雰囲気がブラッドベリにピッタリじゃないですか! しかもこんなにページ数が少ないのに原作の雰囲気壊さないまままとめてるー!! すげえよ! これが職人技か!!

「みずうみ」の奇麗さがたまらーん。
「びっくり箱」はたしか原作は男の子だったはず。でもドーナ可愛いしいいや! 
「万聖節」10月のじっとりした霧の匂いが漂ってくる!!

小説の漫画化としてはすごい再現度じゃないでしょうか。ブラッドベリの文章と、萩尾先生の童話的な絵の相性があやしすぎて頭グラグラする。そのグラグラに酔っていたい、と思えるような短篇集です。

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2015年07月10日

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