【感想・ネタバレ】新版 万葉集 二 現代語訳付きのレビュー

あらすじ

全首を歌群ごとに分けて現代語訳を付し、新版として見やすく生まれ変わった伊藤博訳注角川ソフィア文庫版の万葉集が四分冊で装いも新たに登場!まさに故博士の最後の仕事となった渾身の一書。二では巻六~十を収載。

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Posted by ブクログ

万葉集 2
新版
現代語訳付き
訳:伊藤 博
角川ソフィア文庫

日本最古の和歌集

天皇、貴族、官吏、防人、芸人、農民、東歌など、さまざまな階層の人々の歌の集大成である
万葉仮名という漢字で記載されてており、のちの仮名につながっていく
原本があり、時代の歌集が追加されて成立した傾向があり

由来 さまざまな説がある
①万の言葉、②万年続いていく、③万人の歌、③万頁の歌集  等々

構造
20巻、漢文1,漢詩4,重出歌3,和歌4541(含む長歌)
収録 仁徳朝~奈良淳仁帝天平宝字3年(759年) 350年 編者 大伴家持が有力
各書では、歌がイベントごとに群としてまとめられている。その前後に解説が付記されている

大きく2部に分かれる
1部は、744年までの歌の集合であるが、2部は746年以降の歌
1部は、部立(雑歌、相聞、挽歌等)があるのに、2部にはない
1部には、様々な資料による校合(突き合わせ)があるのに、2部にはない

1部(巻1~巻16)
 <作者記名の部:巻1~6>
 巻1・2 白鳳の歌 巻1:雑歌、巻2:相聞 古歌巻という
 巻3・4 白鳳からもれた歌、奈良朝の歌 古今歌巻という
 巻5・6 奈良朝 雑歌 今歌巻
 <作者無記名の部:巻7~12>
 巻7・9 三部立(雑歌、相聞、挽歌)
 巻8・10 四季区分
 巻11・12 古今相聞往来歌集
 <無記名部:第13~16>
 巻13 大和圏の長歌
 巻14 東国の短歌
 第15 特殊な歌、長編歌物語
 第16 特殊な歌、由縁有る雑歌
2部(巻17~巻20)
 巻17~20 時系列的、部立なし、古今意識無し、歌日記的歌巻

部立(ぶだて)等

雑歌 相聞歌・挽歌以外の歌
相聞歌 男女の恋、親子の情
挽歌 死者を悼む歌

反歌 冒頭の長歌に、応じる短歌
譬喩歌 人間の姿態、行為、感情を事物に例えて述べる歌
旋頭歌 初句をめぐらす歌
東歌 東国の歌
防人歌 巻13,14,20に収録

<万葉集2>

今歌巻の巻6、柿本人麻呂の歌集巻7、四季の巻8,10,人麻呂、高橋虫麻呂の巻9
天の川と、彦星と織女、桜、ほととぎす、紅葉、梅、霜、美しい日本の自然を、四季を詠う

巻第六(0907-1067)
0956 やすみしし我が大君の食す国は大和もここも同じとぞ思ふ(大伴旅人)
0964 我が背子に恋ふれば苦し暇あらば拾ひて行かむ恋忘貝(坂上郎女)
0972 千万の軍なりとも言挙げせず取りて来ぬべき男とぞ思ふ(高橋虫麻呂)
0975 かくしつつあらくをよみぞたまきはる短き命を長く欲りする(阿倍広庭)
0978 士やも空しくあるべき万代に語り継ぐべき名は立てずして(山上憶良)
1009 橘は実さへ花さへその葉さへ枝に霜降れどいや常葉の木(聖武天皇)
1014 一昨日も昨日も今日も見つれども明日さへ見まく欲しき君かも(橘文成)
1018 白玉は人に知らえず知らずともよし知らずとも我れし知れらば知らずともよし(よみびと知らず)

巻第七(1068-1417)
1239 大海の礒もと揺り立つ波の寄せむと思へる浜の清けく(よみびと知らず)
1411 幸はひのいかなる人か黒髪の白くなるまで妹が声を聞く(よみびと知らず)

巻第八(1418-1663)
1420 沫雪かはだれに降ると見るまでに流らへ散るは何の花ぞも(駿河釆女)
1430 去年の春逢へりし君に恋ひにてし桜の花は迎へけらしも(よみびと知らず)
1489 あしひきの山霍公鳥汝が鳴けば家なる妹し常に偲はゆ(よみびと知らず)
1511 夕されば小倉の山に鳴く鹿は今夜は鳴かず寐ねにけらしも(舒明天皇)
1519 久方の天の川瀬に舟浮けて今夜か君が我がり来まさむ(山上憶良)
1601 めづらしき君が家なる花すすき穂に出づる秋の過ぐらく惜しも(石川広成)
1608 秋萩の上に置きたる白露の消かもしなまし恋ひつつあらずは(弓削皇子)
1620 あらたまの月立つまでに来まさねば夢にし見つつ思ひぞ我がせし(坂上郎女)
1646 ぬばたまの今夜の雪にいざ濡れな明けむ朝に消なば惜しけむ(小治田東麻呂)
1649 今日降りし雪に競ひて我が宿の冬木の梅は花咲きにけり(大伴家持)
1658 我が背子とふたり見ませばいくばくかこの降る雪の嬉しくあらまし(光明皇后)

巻第九(1664-1811)
1664 夕されば小倉の山に伏す鹿の今夜は鳴かず寐ねにけらしも(雄略天皇)
1712 天の原雲なき宵にぬばたまの夜渡る月の入らまく惜しも(よみびと知らず)
1784 海神のいづれの神を祈らばか行くさも来さも船の早けむ(よみびと知らず)
1805 別れてもまたも逢ふべく思ほえば心乱れて我れ恋ひめやも(田辺福麻呂)

巻第十(1812-2350)
1885 物皆は新たしきよしただしくも人は古りにしよろしかるべし(よみびと知らず)
1938 旅にして妻恋すらし霍公鳥神なび山にさ夜更けて鳴く(よみびと知らず)
1982 ひぐらしは時と鳴けども片恋にたわや女我れは時わかず泣く(よみびと知らず)
2025 万代に照るべき月も雲隠り苦しきものぞ逢はむと思へど(柿本人麻呂)
2032 一年に七日の夜のみ逢ふ人の恋も過ぎねば夜は更けゆくも(柿本人麻呂)
2195 雁がねの声聞くなへに明日よりは春日の山はもみちそめなむ(よみびと知らず)

目次

 万葉集1 巻1~巻5
◎万葉集2 巻6~巻10
 万葉集3 巻11~巻16
 万葉集4 巻17~巻20

ISBN:9784044087029
出版社:KADOKAWA
判型:文庫
ページ数:496ページ
定価:1000円(本体)
発売日:2009年11月25日初版発行
発売日:2019年05月01日4版発行

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2023年12月14日

Posted by ブクログ

落丁があった。
梅と雪、ほととぎすと橘など、漢詩に影響を受けた類想が目立つ。しかし、ときたまそれを越えてはっとさせられる歌があり、しかもますらをぶりで、短い言葉にぐっと気持ちが凝縮されている。

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2019年11月29日

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