【感想・ネタバレ】アンネの日記 増補新訂版のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

アウシュビッツから生還した心理学者フランクルが収容所での生活とそこから得た見識を書いた「夜と霧」をまず読みました。
フランクルはその人生哲学を主眼に読んで欲しかったようですが、どうしても収容所生活のあまりの苛酷さに目を奪われます。読んでいて眩暈がするほどでした。

そして直後にこの日記を読みました。
あとがきに日記に登場した人の後日がごく簡単に記してありますが、収容所生活の予備知識ができてしまったために想像が膨らんで止まず、嗚咽が止まりませんでした。

Wikipediaによると、隠れ家に保安警察が入り、アンネ達が連行された後、ミープさんとベップさんが散乱したこの日記を拾い集め、保管しました。そして、ただ一人収容所から生還したオットーさんに渡したそうです。

日記を読み、これを世に出そうと決意するまでにどれ程の思いが巡ったか。オットーさんの父として、生存者としての葛藤を想像する中で、ふとフランクルとの交流は無かったか?帰還者同士もしかすると、と思い検索しましたがそういった話は見つかりませんでした。

夜と霧の出版が46年、日記が新聞に掲載され出したのも46年の4月なので、夜と霧の前向きなメッセージが日記の公開に影響を与えたのでは?という妄想もおそらく的外れです。親戚からの勧めやホロコーストに関するものを公にしようという全体的な機運を受けて、そして何よりアンネ自身がそれを望んでいたから、というのが実情に近いようです。

これを調べる中で、ホロコーストに関して日本語には翻訳されていない世界的な書籍が多数あることを知りました。まだこれらを読むだけの語学力がありません。
ホロコーストの規模感や大戦直後の社会が求めていた精神性など、知識が浅いために自分の持ち合わせの情報を安易に結んでしまった。学ぶことをやめなかったアンネに習い、知るべきことを知ろうとする努力をいつまでも続けようと思いました。

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2023年07月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 10年ぶりに読み返しました。小学生のときはドイツ語やオランダ語が分からなかったのですが、今では分かるのでそういった楽しみ方もしながら読みました。
 また、小学生のときは作者は年上の存在でしたが、今は年下の存在になっています。今再読していくうちに「これぐらいのときはこう考えたくなっちゃうよねえ」と、作者の書いていることが分かるような気がして、共感しながら読めました。

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2023年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 アンネが不幸になったから私たちは彼女を知った。アンネがもし生きながらえて、普通に生きていたら、幸福だったら、私たちは彼女を知らなかったかもしれない。
 私は戦争やナチスによって不幸な結末を迎えた少女としてまたは戦争の悲惨さを代表する人物としてアンネを知った。あのときは彼女を「悲惨だ」「悲しい」と思った。社会の問題用紙に彼女の名前を問う問題が出て、あの悲しい少女のことだと思ってアンネフランクと書いた記憶もある。しかしそのときは、私は彼女を一つの事実としてしか捉えられていなかったのだろう。つまり、彼女は人間なんだということを本当の意味では理解していなかった。本書はそれを教えてくれる。
 彼女が生きている間は彼女には当然私たちと同じような連続的な時間が流れていて、悲しみだけでなく喜び、親に対する不満も恋もあった。そして間違いなく彼女は私たちよりも何倍も幸福のことをよく知っていた。
 少なくとも私は、いまからアンネが生きていたときと同じような状況に陥って、彼女のように幸福を見つけられると思わない。絶望しきらず、幸福を想像し、それを願えると思えない。彼女は強い女性だったんだ。
 本書の不自然な終わり方は、アンネが予期せずこの日記を終えなければならなかったことを暗示していた。この日記が続かなかったことがとても悲しい。


p358.ただ彼に会えたら、そしてふたりでいるときにお日さまが照っていさえしたら、それだけで満足です。

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2022年12月03日

ネタバレ 購入済み

わずか15年の生涯を

ヒトラーが自殺したのは1945年の4月30日と言われている。アンネが亡くなったとされるのは同じ1945年の2月から3月の間、収容所でチフスにかかり、わずか15年の生涯を終えた。もう少し隠れ家が見付かるのが遅ければ、彼女は生きていたかもしれない。
日記の内容は、13歳から15歳まで2年間の隠れ家での生活、10代の少女の思春期の心情が赤裸々に書かれている。彼女は日記の他に物語りも書き残している。

日本語訳の「またぞろ」って表現だけ、マジ意味分からんかった☆

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2022年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

普通の女の子
言いたいことは我慢できなかったり、人のことを見て悪口を言ったり少し反省したり
恋もしてみたかったり
何十年も前の話で、アンネが美化されて認識されてたりするけど、いたって普通で今でもいそうな女の子
そんな女の子が、酷い目にあったんだという事実は胸が痛むし、そのことを知った上で読んでいるのはつらかったけど
つらい死を迎える前のつらい生活だとみなされるような期間にもちゃんとときめきや楽しみを見出していて、すごく生きる力を感じた。

生き抜く力。
死んでからも生き続けることが夢だと言っていたけど、大きく変わった現代でも大切だとされてる生き続ける力強さを、アンネは考え抜いた上で身につけていたし、その姿から学ぶことはたくさんあった。幸せな今を生きる私が、くよくよなんて言ってたらいけないなと思った。ちゃんと前を向いて図太く生き抜かないと。

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2022年09月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かなり若い頃に『アンネの日記』を手に取ってみたことがあるが、それが何のきっかけだったか覚えてない。
一度読みかけて、日記形式が馴染めなくてすぐにやめてしまった。

今更読んでみたのは、『夜と霧』を読んだ流れだ。

ナチスの強制収容所内の関連であれば、例えば映画の『ライフ・イズ・ビューティフル』『シンドラーのリスト』『愛を読むひと』『サラの鍵』などなど、映画でも観ている。

『アンネの日記』はとても評判が良い。

前半は、母親への悪口、周囲への愚痴
中盤は、ペーターとの友達なのか恋なのかの揺れ動く心
後半、自分や周囲への見直しと批判、情勢

何度か読むのをやめようかと思った。
特に前半は、文章は達者だが、まさに女の子の日記で、愚痴だらけ。
これが、日記で続く。日記だから仕方ないものの、うんざりしてしまう。

そして、中盤に突然ペーターを意識し始める。
あれだけペーターの文句書いてたのに不思議なもんだね、恋は!

後半になって、大人になりだしたアンネ。
愚痴ばかりでなく、周囲の人を分析しつつ、自分についても分析する。
自分も悪いが、周りはもっと悪いというところは相変わらずだが。
情勢についても書かれている。

全般的には、食べ物があまりないこと、静かに暮らさなくてはならないこと、泥棒が何度か入りヒヤヒヤすること、戦争の怖いこと。

その時のユダヤ人の生活がわかる、また、そんな中少女の瑞々しい感性がわかる、ということなどで評価されているようだ。

この最後の日記の日付から4日後に捕まる。
そのあと、環境の悪い収容所でチフスで姉が先にその後アンネは亡くなってしまう。

こんなことがなければ、生きて、作家かジャーナリストになっていたかもしれない。

夢を持っていたのに死んでしまった少女、そこまで含めてこの日記は、人々に何か残すのだろう。

それはわかるのだが…
私には心に大きな何かを残すことはなかった。
『夜と霧』や映画からの方が、何か心に残った。

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2022年02月10日

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