【感想・ネタバレ】テルミー1 きみがやろうとしている事はのレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年02月06日

 主人公級の24人が事故死してしまう時点から始まるという、凄まじくインパクトのある設定。生き残った少年と少女が、亡くなった彼らの残された想いを果たして行く過程で、二人も少しずつ変化していく。

 修学旅行中の月之浦高校二年三組の生徒26名は、突然の土砂崩れに巻き込まれて死んでしまう。生き残ったのはた...続きを読むだ二人。奇跡的に事故から生還した鬼塚輝美と、旅行前のアクシデントでバスに乗れなかった灰原清隆のみだ。
 クラスメイトと、そして恋人だった桐生詩帆と運命を共に出来なかったことに罪悪感を感じ、生きる気力をなくしていた清隆は、合同葬儀で再会した鬼塚輝美に違和感を感じる。これまでまともに会話したこともなかった彼女が、まるで詩帆の様に見えたのだ。そんな違和感を裏付ける様に、今度はケンカ好きの高畑哲郎の雰囲気を纏った彼女は、月之浦高校の番長と決着をつけるためにタイマン勝負を始める。

 その後、桐生詩帆となった鬼塚輝美の告げる詩帆の最後の言葉に救われた清隆は、輝美の中に死んだ24名の想いが生き残っていることを知る。そして、彼女が彼らの最後の想いを実現するため奔走していることを知り、彼女の手伝いを申し出るのだった。

 他の全員が死んだ中でただ一人生き残った少女に遺された、死んだ少年少女の最後の望み。この巻で明らかにされるのは、ライバルとの決着をつけることにこだわった高畑哲郎、恋人に悲しんで欲しくなかった桐生詩帆、家族に誤解されたくなかった松前孝司、母親に感謝を伝えたかった湯坂絵里、最後のライブをやり遂げたかった檜山蘭の願いだ。
 そんな想いを託された鬼塚輝美自身は、実家に問題を抱え、誰とも関わらないために月之浦へと出て来た人間だ。しかし皮肉なことに、そんな彼女が普通の誰よりも深く人間と関わり、自身を変えられていく。

 死んだ人間は決して生き返らない。そして突然若くして死んでしまうことは、本人にとっても不幸だが、それによって欠けた人間関係を抱えなくてはならない親しい人々にも不幸をもたらす。
 この本で描かれる物語は、全ての希望が断ち切られた場所から始まる。しかし普通と違うのは、そこからの最後のアンコールが許されることだ。そしてそれが許されることで、死んだ者も、残された者も、心の区切りをつける時間を与えられれることとなる。

 この停止から始まる変化の物語。きっちりと描き切るチャンスが与えられることを祈る。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年08月20日

表紙の淡い幻想的なデザインが印象的。
物語自体はこれから1人ずつ幸せになって消えていくスタイルなので、暖かな気持ちになりたい時にはオススメです。

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