【感想・ネタバレ】年収は「住むところ」で決まる ─ 雇用とイノベーションの都市経済学のレビュー

あらすじ

<浮かぶ都市>の高卒者は、<沈む都市>の大卒者より給料が高い――。
気鋭の経済学者が実証した「ものづくり」大国にとっての不都合な真実!


「いい仕事」はどこにあるのか?なぜ「いい仕事」は特定のエリアに集中するのか?
アメリカではシアトルなどの都市で
労働人口増加、投資増加、雇用増加の好循環が生まれている一方、
かつて製造業で隆盛を極めたデトロイトなどの都市は
過去20年以上にわたり人口流出、失業率の上昇に悩まされている。

両者の格差はそのまま平均賃金格差に反映されており、
成長する都市の高卒者の給料は衰退する都市の大卒者の給料よりも高い。
沈む都市周辺にいる限り、スキルアップの努力は大部分が無駄になる。

なぜ特定のエリアに雇用が集中して平均賃金が上がるのか。
本書ではこれを「イノベーション産業の乗数効果」で説明している。
イノベーション系の仕事1件に対し、地元のサービス業の雇用が5件増えるというのだ。
この乗数効果は製造業の2倍。ゆえに富める都市はさらに富み、沈める都市はどんどん沈む。

《本書は、日本が、世界が、そしてあなた自身が
「イノベーションの世紀」という大海原へ飛び出すための、心強い羅針盤となるだろう。
本書を手に、一人でも多くの日本の読者が、過酷なこの航海をぜひ成功させてほしい》
(大阪大学経済学部准教授・安田洋祐氏による本書解説より)

日本人の働き方、ものづくり重視の産業政策、雇用政策に一石を投じる一冊。


【目次より抜粋】
◆第1章 なぜ「ものづくり」だけではだめなのか
高学歴の若者による「都市型製造業」の限界
先進国の製造業は復活しない

◆第2章 イノベーション産業の「乗数効果」
ハイテク関連の雇用には「5倍」の乗数効果がある
本当に優秀な人は、そこそこ優秀な人材の100倍優れている

◆第3章 給料は学歴より住所で決まる
上位都市の高卒者は下位都市の大卒者よりも年収が高い
隣人の教育レベルがあなたの給料を決める

◆第4章 「引き寄せ」のパワー
頭脳流出が朗報である理由
イノベーションの拠点は簡単に海外移転できない

◆第5章 移住と生活コスト
学歴の低い層ほど地元にとどまる
格差と不動産価格の知られざる関係

◆第6章 「貧困の罠」と地域再生の条件
バイオテクノロジー産業とハリウッドの共通点
シリコンバレーができたのは「偶然」だった

◆第7章 新たなる「人的資本の世紀」
大学進学はきわめてハイリターンの投資
移民政策の転換か、自国民の教育か

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Posted by ブクログ

年収、雇用、イノベーションは全て住むところで決まる

知らないと気づかない年収と場所の関係性を提示する
ありそうでなさそうな良書

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2023年05月28日

Posted by ブクログ

都市集積の経済、特にITの集積による都市活性の話。
クリエイティブな議論を巻き起こすリアルな空間と、それに伴って発達するサービス業他の産業による都市の膨張について、アメリカの実例を元にした研究。

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2021年08月09日

Posted by ブクログ

日本語版のタイトルのインパクトである。 英語版を直訳するなら「雇用の新しい地理学」だろうか。しかし日本語のタイトルは極めて本書の要旨を抑えていると思う。

年収を得るには雇用が必要だ。経済が活発な地域では、平均的な収入は高く、また雇用も多い。経済が活発であるとは、そこに産業があるということだ。かつて産業とは製造業だった。今でも製造業が重要であることにはかわりはないが、その形は大きく変わってきている。本書でまず理解すべき点の1つ目は「製造業」と「イノベーション産業」の違いである。アメリカ国内での製造業は、その多くが海外に拠点を移しているせいで没落している。日本も例外ではない。日本のメーカーでもあっても製造拠点は中国へ、また中国の人件費が上がってきた昨今では東南アジアなどのさらに人件費が低いが良質な労働力のある国へ移っていく。一方、アメリカではどういった産業が発達しているか?周知のとおり、インターネットやソフトウェア、それに関わるビジネスをおこなう企業が成長している。こういった産業をイノベーション産業と呼んでいる。

製造業とイノベーション産業の地理的な違いはなんだろうか?製造業は伝統的に、市場や生産投入物への距離が重要だった。つまり、売り先が近いほうがいいし、一方で原料が近くで手に入るほうがいい。こういった地理的要因が製造業が成長する位置を規定していた部分が大きい。

しかし、イノベーション産業はそういった物理的制限が少ない。ソフトウェアの輸送コストはただみたいなものだ。ではなぜ、サンフランシスコ近辺(ベイエリア)やシリコンバレー、またシアトルなどがイノベーション産業の集積地となっているのだろうか?

それは「アイデア」がイノベーション産業の源泉であり、アイデアは人とコミュニケーションすることで生まれるからだという。伝統的製造業が中心だった頃は生産プロセスが差別化の肝だった。しかし、今重要なのはどのような製品やサービスを生み出すかというアイデアが最も肝になっている。そういった生産性と創造性が重要な産業が地理的な拠点を選ぶときに、3つの恩恵があるところを選ぶという。それは
1.厚みのある労働市場(高度な技能を持った働き手が大勢いる)
2.多くの専門のサービス業者の存在
3.知識の伝播
である。

労働市場の厚みとは、文字通り、高度技能者が多くいる労働者のマーケットが存在することだ。同じような技能を持ってる人が10人いる市場と1000人いる市場では、労働者と企業のどちらの立場から見てもよいマッチングの結果が得られるのは後者だ。そして、厚みのある労働市場があれば、さらにイノベーション産業と高度技能労働者の両方を惹きつけることができる。

専門サービス業者の存在は、産業が育つために重要だ。イノベーション産業が成長するには、資金調達や法律関係など様々なサービスを利用することが必要になる。一見、イノベーション産業は製造業よりもかんたんに海外移転ができそうだが、「イノベーションは適切なエコシステムに身を置くことが重要」であると著者は説く。シリコンバレーのベンチャーキャピタル業界では、20分ルールというものがあり、オフィスから車で20分の距離に拠点がない会社には投資しないという。学術研究でも、ベンチャーキャピタルと新興企業の地理的な距離が広がると、投資される確率が急激に落ち込むという。ベンチャーキャピタルはただの投資家ではなく、エンジニアなどアイデアを生み出す起業家にビジネスとしての方向づけを行う役割もある。そのためにも地理的な近さが緊密なコミュニケーションに役立っているのだろう。たとえば、シリコンバレーには会社の法人化のための手数料の代わりに、その会社の株式を受け取る法律事務所があるという。多くの会社と同様の契約を行えば、一つの会社が大当たりすれば、割に合うというビジネスモデルである。多くのイノベーション・スタートアップがある場所だからできるビジネスモデルであるが、一方で何千ドルもする手数料をすぐに払えない若いスタートアップ会社からしてもニーズがある。

知識の伝播とは、これだけインターネットによるコミュニケーションが標準化した現在でもなお、むしろ今だからこそ、対面のコミュニケーションが重要視されているということである。創造的な人同士が対面でコミュニケーションすることで新たなアイデアが生まれる、ということが認識されているのである。例えばWeWorkのようなコワーキングスペースの需要はこういうところになるのだろう。本書の中には「わが社には最新鋭のテレビ会議システムがあり、いつもそれを使ってインド側と会議をしていますが、直接顔を合わせて話をするのと同じようにいきません。一ヶ所に集まってホワイトボードの前で議論を戦わせる経験は何者にも代えがたい」。今これを書いているのはコロナ騒動の真っ最中なので、いささか的はずれな感じもするが、これは心理だと思う。

「年収は住むところで決まる」というが、これは高技能労働者だけではなく、一般的な労働者にも当てはまる。コーヒーショップの店員、レストランのウェイター、美容師など地域でサービスなどに従事する労働者の生産性には、大きな地域差はないはずだが、サンフランシスコのウェイターと、中西部の田舎のウェイターには収入に大きな差がある。これは、大きな収入を得ている高技能労働者が利用するがゆえのスピルオーバー効果だが、この差はどんどん開いていく一方である。

最後に、本書は経済学で言う人的資本、つまり教育の重要性について議論する。イノベーション産業の成長が、それぞれの地域、ひいては国家全体にとって便益生み出すことが議論された。政府が税控除などの形で補助金を出すのはそういう側面があるからだ。これは教育でも同様で、教育を受けた高技能労働者がもたらす社会的便益に対して、教育を受ける本人が支払う私的費用が大きすぎる。また教育を受けた移民が起業する確率は高く、それもまた国家に恩恵をもたらす。こういった研究結果から、政策として高技能の移民を受け入れを拡大するのか、落ち込むアメリカ人の教育を強化するのか。こういった政策判断が求めらえるという。これは日本にとっても他人事ではなく、むしろ切羽詰まった問題と言えよう。

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2020年03月30日

Posted by ブクログ

めちゃくちゃ面白い。お金増えると格差が増える、、ではなく、お金持ちが増えると、周りも裕福になる、というのを示したのはとても胸に残る。
あらゆる人間はお金でつながっており、損得勘定で見ても、どんな人間でも大事だなぁとひしひし感じてとても豊かな気分になれる。

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2019年07月17日

Posted by ブクログ

 題名からは、煽りの入った挑発で話題をとるような本かと思っていたが、そのなものとは全く異なるまともな経済学の本である。
 イノベーション産業は、従来の自動車などの産業よりも乗数効果が大きく、レストランや美容室などの地場産業への賃金上昇などの波及効果が大きいとか、イノベーション産業ほは高学歴社員を必要とするとか、実際に会って議論することが大事とか、現在の状況を示し、それらが一部の都市に集中していることの理由と説明する。
 今後の繁栄は、相互につながる高学歴層が大勢いる都市がリードするイノベーションに依るというものだ。その都市に住めば、生活産業など非イノベーション産業の人でも、賃金は上がっていくのだ。それが本書の題名の由来である。もっとも都市間格差は広がってしまうのだけど、現実をよく説明していると思う。
 本書を読むと、良いとか悪いとかではなく、現状をよく説明していてとても納得がいく。政治家に読んでもらい、今後の政策を考えてほしいと思う。

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2017年07月10日

Posted by ブクログ

ここ1年で読んだ本の中で一番のアタリだったかもしれない。

本書の大筋はイノベーション産業が「都市」を活性化させるというもの。
ひとつのイノベーションがあれば、その街のイノベーション産業に関わる業種はもちろんそれ以外の例えばサービス業(医者・弁護士からウエイターや新聞配達員まで)の年収もUPする。
なので、イノベーション産業を活性化させることこそが都市を発展させる手段なのだ。
そして、インターネットで物理的な距離が縮まっているように見える今日だがやはりイノベーションが起こるのは知識人たちが物理的に近い距離、立ち話したり飲んだりできる距離にいることが大事だそう。実際、ネットで繋がるのも顔を実際合わせた人たちが多いそうだ。

これを読んで、私も大阪を関西を発展させたいと願った。
東京1点集中が激しい日本だが、関西もイノベーションハブを作り発展させたい。
関西の人たちを繋ぎ、良い相乗効果をたっぷり起こし、想像以上の未来を創っていきたいと思った。

今の私にできることは、
①自分自身が多くの人と繋がること
②自分がつながった人たちを繋げていくこと
この2点だと思う。
もっともっとできることはあるだろうけど、今の私にできることはココだと思う。
少しずつ、頑張っていきたい。

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2016年12月12日

Posted by ブクログ

ハイテク産業と地域経済や格差のつながりを経済学的・統計的なエビデンスをもとに示している。本書を読めば、教育、研究開発、ハイテク産業への投資、そして地理がいかに大切かが分かる。
原題『THE NEW GEOGRAPHY OF JOBS』に対して邦題がアレなせいで損している。

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2016年06月12日

Posted by ブクログ

刺激的なタイトルにひかれ、手に取った一冊。非常に興味深く読みました。
確かに当然だと思える内容かもしれませんが、近年の格差拡大の原因が大きく変わってきていること状況が見え、またこの格差もこれまでの常識とは異なるものが生まれている状況も垣間見られました。それだけ、最近の産業の影響は大きいものだと感じます。

著者は「アメリカがどう変わりつつあるかは、日本の未来を見通すうえで大いに参考になる」と述べていますので、確かに近い将来の姿として意識することは必要。

一方で、アメリカが、ヨーロッパはじめ他国とは異なる歴史的な特徴があることを指摘しているため、どの程度同じ現象が日本で見られるのかが個人的には分からない部分です。
アメリカのように国土も広く各州に大きな権限がある国家と日本とはどうしても状況は違うような気がしてしまいます。

いずれにしても日本ではまだまだ企業誘致を進めていますが、ただその企業を誘致するだけでなく、雇用やその影響なども考慮したうえで進めなければ、将来にわたった発展した都市にはなりえないでしょう。

一朝一夕でできるものではありませんが、将来を考えながら、進めていく必要性を痛感します。

<目次>
1. なぜ「ものづくり」だけではだめなのか
2. イノベーション産業の「乗数効果」
3. 給料は学歴より住所で決まる
4. 「引き寄せ」のパワー
5. 移住と生活コスト
6. 「貧困の罠」と地域再生の条件
7. 新たなる「人的資本の世紀」

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2016年02月17日

Posted by ブクログ

20151120 2015年で面白かった本の1つ。フリードマンが言っているようにフラット化する社会で住む場所はそこまで重要ではなくなった。しかし、いま住んでいる所に住み続けないといけない選択しかとれないのは低学歴のほうが高い傾向にある。イノベーションの産業に移住することで高収入が望める。また、イノベーションの産業地域では沢山の人が集まるが地元の人の職を奪っているわけではなく、雇用を生み出しているのが興味深かった。

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2015年11月22日

Posted by ブクログ

死ぬ都市と生き残る都市について。
アメリカの産学連携マンセー感強いけど、実際最強である。
まぁ、賢い人が集まる場所が存在して、そういう場所の所得や物価は高くなりがちで多様性も担保されやすいという話が延々と続くが。まぁ、これを読んだら(極端な話)日本には東京、名古屋、京都(と大阪)、福岡,etc... くらいしか産業地域は残らないなぁと思います。

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2015年07月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いい所にいい人がいる。
出会う人、一緒に仕事をする人は重要。
仕事は雇う雇われる相互に場所が一致。
高学歴は都会に行く、流動する。

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2024年06月22日

Posted by ブクログ

2023/06/04
2023年12冊目。また邦題のミスリード感のある良著。都市経済学の本であって、年収(所得)は一つの分かりやすい指標でひかないのに、あたかもそれが全てのような捉え方をされかねないタイトルを付けるのはどうかと思った。読む価値のある本だと思います。

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2023年06月04日

Posted by ブクログ

タイトルからヤバい自己啓発本かと警戒したが、内容はしっかりしている。アメリカローカルの話題が多く、タイトルの主張を本文でも繰り返しているので読むのはしんどい。

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2022年06月11日

Posted by ブクログ

何がキーとなって、都市に発展をもたらすのか。都市の発展は個人に何をもたらすのか。「年収=個人の生産性」と思いがちだし、実際そういった面は少なくないと思うが、環境要因を考える上で、本書に示された事実やデータは参考になると思った。地の利を得ること重要だ。

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2022年01月18日

Posted by ブクログ

経済学者による、地域による繁栄の度合いについて述べた本。イノベーションをキーワードに、現在成功している企業が多数存在する地域が豊かであることをデータを用いて主張している。論理的で面白く読めた。
「ある土地に大学卒業者が多くなれば、その土地の経済のあり方が根本から変わり、住民が就くことができる職の種類と、全業種の労働の生産性に好影響が及ぶ。最終的に、そういう土地では、高度な技能をもっている働き手だけでなく、技能が乏しい働き手の給料も上がっていくのだ」p24
「ハイテク分野の企業が成功できるかどうかは、従業員の質だけではなく、地域の経済環境の質にも左右される。ハイテク産業の盛んな土地にさらに多くのハイテク企業が集まってくるのは偶然ではないのだ」p27
「生産性が向上すると、消費者にとっては商品の値段が安くなるし、労働者の賃金も上昇するが、最終的には雇用が奪われる。雇用の喪失というマイナス面を強調する論者は多いが、労働者の生産性が高まることは、社会が豊かになり、生活水準の向上が実現する主たる要因だ」p54
「雇用の大半は非貿易部門が占めているのに、そうした産業は国の経済的繁栄の牽引役になりえない」p80
「(ザッカーバーグ)「本当に飛び抜けた人材は、まずまず優秀な人材より少し優れているという程度ではない。100倍は優れている」」p92
「(イノベーションのハブ都市の)共通点とは、教育レベルが高く、そのおかげできわめて生産性の高い貿易部門を擁している」p121
「高技能の働き手の数が増えると、それ以外の労働者の生産性も高まる」p134
「格差は拡大しており、そのペースは拡大している。好調な州や都市はますます好調になり、低迷している州や都市はますます低迷するケースが多い」p137
「都市が栄えるためには、充実した文化とリベラルな気風が欠かせない、ひとことで言えば「クール(かっこいい)」な町でなくてはならない」p249
「政府が産業に補助金を支給する政策は、アメリカでもヨーロッパでもあまり成功していない」p272
「変化には、かならず痛みがともなう」p281
「大学進学は、最も割のいい投資の一つだ」p297

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2018年10月30日

Posted by ブクログ

 目を引くような題名になってますが、金払いのいい人が集まっている都市なら、サービス産業でもそれなりの所得になれるということです。
 都市部なら生活コストも上がりそうですが、それ以上に所得の上昇の方が大きく、それはハイテク産業の乗数効果が大きいからだそうです。

 都市が発達する条件は、地理的条件が大きかったけど、ハイテク産業が市場を引っ張るようになってからは人的条件が最も影響しています。日本で言えば、渋谷にIT企業が集積してビターバレーと呼ばれていたことが近いです。
 優良企業が市場を作り、いい人材と刺激的な交流を求めてさらに企業が集まりそこに雇用が生まれ、ハイクラス人材がやりがいのある仕事を求めて引っ越し、金払いのいい人にサービスを提供するために低学歴も惹きつけられる。そんな流れが都市発達での普遍性あるプロセスになっています。

 日本における地方創生を考えてみると、イノベーティブな企業を地方に誘致できるかが鍵になるというところでしょうか。
 稼いでいる法人を優遇する政策は一般ピープルから抵抗に遭いがちですが、芸術祭や移住促進じゃなくて、やるべきは優良企業の誘致ってことなんですけど、それって難しいですよね。

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2018年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

製造業から、より優秀な人的資本が必要なイノベーション型産業への変化。産業集積的な効果は高く、経済波及効果も高い。製造業よりもより多くの雇用を生み出す。高技能労働者と低技能労働者は相互補完的関係にある。
ただし、比較優位が必要であり、絶えず優秀な人材を集めなければ国・都市として劣後する。そのために優秀な移民受け入れ・高度な教育が必要。
イノベーションハブをいかにつくるかが重要。

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2016年01月06日

Posted by ブクログ

ようやく読み終わった。

アウトソーシングによって職を失うこと
アウトソーシングによって、職を失う職種の人々が一番打撃を受ける一方で、一番恩恵を受ける。
➡より安いものが手に入る
➡スキルの持った人が集まる地域にいれば、その会社周辺の町が繁栄し、それによって、新たな雇用が生まれる。しかも高給取りたちから頂くお金であるため、多くのお金を手にできる。

能力のある人のところに仕事が集まるし、お金も集まる。
これを拡大すれば、能力のある人が集まる会社には、お金が集まる。そして、その会社のある地域にはお金があつまる。雇用が生まれる。町が潤う。

能力のある人々はどうすれば生まれるのか。
それは、教育と移民の受け入れである。
移民の受け入れの場合、能力のある人の移民と出稼ぎの移民では、地域に与える影響は大きく変わる。

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2015年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イノベーションのあるところには、上等なのからそうでないのまで雇用機会がある。イノベーションのあるところに移動するのはむしろ失業者ではなく知識のある労働者の方。

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2015年06月13日

Posted by ブクログ

タイトルがあざといが、中身は都市の発展に必要な要素を解説したもの。成長する都市と没落する都市、富裕層と低所得層の格差がはっきりし、かつその差はどんどん拡大している。世界はぜんぜんフラット化していないし、都市のピーク化も一時的な現象かもしれない。地域活性に取り組んでいる人や産業政策に関っている人にとても参考になるし、起業家や経営者も知っておくと良い知識だと思います。

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2015年10月27日

Posted by ブクログ



アメリカの話。

製造業が衰退しても問題ない、イノベーション産業は製造業よりも、自身だけでなく周辺産業を含めた雇用力が強い。故に引き寄せ力が働く。たくさんの人が集まると雇用の選択肢が広まり、エコシステムが生まれる。地元にとどまったままでは年収も抑えられ、良い所にいけば収入も増え、またその土地での住宅の資産価値も向上する。

という話を読んで、考える。

日本では、住宅を建てた時の経済波及効果が2倍ほどあるとされ、新築住宅の補助などがずっと行われてきた。一方で中古住宅の流通は極めて少ない。つまり、一回家を建てたらずっとそこに住め、景気対策には、賃貸の人に家を建ててもらおう、という政策である。「自分」なんて環境で変わるので「自分を変えたかったら」環境を変えろ、とこの前何かで読んだ。移動することが向上の秘訣なのかもしれない。アメリカとは都市の規模感も違うけれど、それでも我が国は、どうも「留まらせる」ことに力を入れ過ぎのような。ただバンバン引っ越せばいい、というのは、プチ・グローバル化の始まりのような気もして、あんまりいい気分ではない。そうして留まれば落ち込んでいく、と。やっぱりさっさと動いた人の勝ちか。

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2022年06月01日

Posted by ブクログ

この本がまるっと10年以上前に書かれている事がまず衝撃だった。原著が2013発行らしい。恥ずかしながら自分がどんだけ何も知らぬのかと。しかも2024年の今読んでも全く古くない、むしろ今を正確に予見していないですか?私の知識がアップデートされていないだけですか!?

タイトルが、、、まぁ、たしかにそういう内容なんですが、どう考えても経済学の本。どこに住んだら金持ちになれるのか?とかいう類いの本ではありません。

会社を取り巻く環境でエコシステムっていうワードを初めてきいたのが2017年。イノベーションハブも同時。サイエンスの現場で生態系とかハブとか何の話?ってその当時よくわからまま突然この言葉に巻き込まれたけど、2014年にこの本に出会っていれば(笑)

アメリカは私の思っていた国ではなかった。テクノロジーの世界でのトップランナーであり続けているのは優秀な移民が集まってきているから。大卒者の割合がビックリするくらい低いこと。地域間格差も日本の比じゃないくらい大きいこと。本当に優秀な人はそこそこ優秀な人の100倍優れているというのは、確かに!!っと膝を打ちましたよ。そういう人がゲームチェンジャーたる人なのよね、そんな人ゴロゴロいるわけなくてその人を得るためにまるっと会社を買うなどザアメリカと思いました。

いやぁ、アメリカって恐ろしい国だ、ほぼほぼ単一民族の島国が勝てるわけない。

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2024年01月01日

Posted by ブクログ

ちょっとむずい。

海外学者が書いてるので、日本に当てはめながら読もうとすると。。。

めーちゃ、簡単に書くと

経済発展している都市は、やはり収入がよくなる

高卒でも都市部や経済中心部で働くと収入があがる

優秀な人材ほど、独立し、それを引き止めようと会社も必死になり、さらに発展するという上々効果が生まれる


ということ。

良いところで働けば、人も性格もよくなる

ってことで。

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2022年01月29日

Posted by ブクログ

20世紀の米国の発展の要因は教育の質を起因とした労働力の質。米国人の教育レベルが低下した現代でもアメリカがイノベーションの最前線であり続けているのは、アメリカンドリームを目指す高技能の移民の流入。1990年以降のIPOの4社に1社は移民が創業者。高技能の移民は、米国人と競合ではなく相互補完関係。生産性向上、経済波及、雇用増加を通じ好影響。犯罪の増加にもつながらない。
日本の移民政策も、安い労働力としての受け入れではなく、高技能人材の受け入れに移行すべき。ただし法律、文化、言語に加え報酬制度等が壁。

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2020年09月30日

Posted by ブクログ

技術を持つ人の雇用が、地域の発展を促進する。言い換えればイノベーションの発信地になれれば、その地域の人の収入は、イノベーションと関係ない、マッサージや床屋さんまでもあがる。万能ではないにしても、地域活性化のヒントがこの本にはある。

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2018年11月12日

Posted by ブクログ

 過激なタイトルだったので気になって購入しました。
 今住んでいるこの場所から動けない、ということは、引っ越しをするだけのお金や時間の余裕がない、ということであり、それがひいては貧富の差を如実に表しているのだ、ということが書き連ねてありました。
 上位都市の高卒者は、下位都市の大卒者より、給与が高い、とあって、それは高卒大卒とかじゃなくて仕事の年季とかじゃ……?と思ったけれどそれは違うらしいです。ふうん。就くことのできる職業が増えると生産性が向上し、生産性が向上するから学歴の低い人でも給与が上がるだとか。

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2016年05月08日

Posted by ブクログ

ロジックとデータに立脚した科学的アプローチにより、イノベーションと地理的要因の関連に切り込んでいる。イノベーションが雇用を生み出すというのは斬新。もう少々ユニバーサルな観点の分析を期待していた点は残念であったが、そもそもこのような分析が可能なのは、質の異なる広大な豊かな土地によりやり直しの機会をいくらでも提供可能な米国ならではの話であるのだろう。それにしても、日本に関する分析で言及されている「文化的・言語的要因」という表記には苦笑いを禁じ得ない。

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2017年05月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

①年収と住所はどう関係しているのか?
・イノベーション企業を核にして、良いサイクルとなる

②気づき
・製造業の雇用が1件減ると最終的に非製造業の雇用も1.6件減る
・映画「ウォール街」「カンパニーメン」
・製造業の衰退は、グローバル化と技術革新が原因
・上位都市の高卒者は、買いと市の大卒者より、年収が高い
・ラスベガスの高級レストランのウエイターは年収10万ドル
・離婚率が高いのは、経済がよくないところ
・イタリアは定住傾向、米国は移住傾向
・学歴の低い層ほど、地元にとどまる
・大学進学を投資の観点で考えると、利回り15%以上で、低リスク

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2015年11月26日

Posted by ブクログ

読み始めは面白いと思ったのだが、ちょっと冗長かも。
でも、著者が楽しくて、書きたくてしょうがないテーマだったのだということは強く感じる。

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2015年03月27日

Posted by ブクログ

先進国の製造業は復活しない。これからは、イノベーション産業が根付き、栄えるようにすべき。優秀な人が集まり、相互に知識や情報交換が行われ、文化やアートや健康産業が集まる場所。

都市経営や政策立案者には重要な提言。

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2015年05月23日

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