あらすじ
「アベノミクス」の次は「憲法改正」がくる!
いま日本人が読むべき一冊!
第2次安倍政権の誕生、竹島や尖閣諸島などの領土問題の緊迫化、決められない政治への不満などで、憲法改正の機運が高まっている日本。果たして、憲法改正はなされるのか?「国防軍」「天皇制」「首相公選制」「愛国心」「立憲主義等」など国民生活に直結する憲法改正の諸問題を、ハーバード大学で鍛えた本物の憲法学者・小林節博士(慶応大学法学部教授)が、憲法改正の論点を語り尽くす!
さらに、ヤバイと評判の 自由民主党「日本国憲法改正案」についても詳細に説明する。
【目次】
第1章 いざ! 日本国憲法改正[憲法改正の論点]
第2章 いまさら聞けない、「憲法」とは何か?
第3章 改憲論の本丸は、ズバリ、9条改正だ!
第4章 憲法に「愛国心」を入れるのは筋違い
第5章 大統領制を導入すると天皇制がなくなる!?
第6章 一番守られるべきものは13条である
第7章 自由民主党「日本国憲法改正案」は良薬か?毒薬か?
巻末付録 日本国憲法
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
(2013/6/13)
護憲派が圧倒的に多い憲法学者の中にあって、敢えて改憲を唱える著者、
その理由の一つを慶應出身としている。反権力の気風。なるほど。
そして著者の唱える改憲論は極めて妥当。
今の自民の作戦の96条改正には批判的。
どうどうと9条改正で自衛戦争を認めよ、天皇を元首にせよと訴える。
そして一番肝心なのは、憲法は他の法律と違い、
国家権力を管理して国民の人権を保護する目的を持った法だということ。
自民案はどうもそのあたりをはき違え、国民にあーせいこうせいと訴えている。
確かに国にたかる輩は排除すべきだが、それと憲法を一緒にしてはいかんということ。
家族とは何ぞや云々も、気持ちはわかるが国に押し付けられるものではない。
「9条を守るぞー」というシュプレヒコールはおかしい、と著者。守らせるぞーが正解と。
なるほど、学者から見るとそうなる。
このあたり、自然。
私も改憲肯定派。
そもそも旧かなづかいの憲法のままであること自体おかしい。
もっと読みやすく、かつ時代にあった内容にするのは必須。
ただ、著者の地方分権に対する考え方は疑問。
日本でそれをやると国がバラバラになる、と道州制に否定的。
道州制はサービスの向上が目的のはず、と書いているが、それは履き違え。
地域地域が自分の判断で経済を成り立たせることに狙いがあるのは大前師匠の弟子としては当然のこと。
橋下氏もそのために憲法を変えようとしている。
そういうわけで改憲は一筋縄にはいかない。
だがまあ、「とにかく護憲!」という人は少数派になったような気はする。
今はそれで良しとするか。
それにしても既得権益の塊なのか、日本は変わらなさすぎるなぁ、、、これも風土なのか、、、。
第1章 いざ! 日本国憲法改正[憲法改正の論点〕
第2章 いまさら聞けない、「憲法」とは何か?
第3章 改憲論の本丸は、ズバリ、9条改正だ!
第4章 憲法に「愛国心」を入れるのは筋違い
第5章 大統領制を導入すると天皇制がなくなる! ?
第6章 一番守られるべきものは13条である
第7章 自由民主党「日本国憲法改正案」は良薬か?毒薬か?
巻末付録 日本国憲法
それにしてもこのちんけなタイトル、、
Posted by ブクログ
憲法への考え方を改めさせられた。憲法改正は必要な物だと思ってきたが、この筆者の考えはとても論理的であり勉強になった。彼の考え方こそ正統派なのではないだろうか。
Posted by ブクログ
改憲派でありながら第2次安倍内閣が進める憲法解釈を違憲として話題となった小林氏の本。
非常にラフな表現で書かれているわかりやすい本。
たとえば現行憲法については「ぶっ壊れた中古車」「敗戦ごめんなさい憲法」と例え、改正の必要性を説いている。
一方、「憲法9条を守るぞ」という左翼の訴えは根本的な間違いで、正しくは「憲法9条を守らせるぞ」だと指摘。なぜなら憲法は国民が守るものではなく、主権者が権力に守らせるものだから。
9条改正については「侵略戦争は放棄するが、自衛戦争は放棄しない」というシンプルな条文としたうえで、海外派兵については「国会の承認と国連の決議」を条件とすることを提案している。これは、集団的自衛権の濫用を防ぐためだろう。
衆議院・参議院の二院制については「時間と税金の無駄遣い」とバッサリ。
憲法に愛国心を持つ義務を盛り込むことに賛同する人々に対しては「自分たちが主権者なのにわざわざご主人様、しつけてください!と言っているようなもので、ここまで来るとマゾである」と皮肉っている。
また、巻末にはやはり2012年自民党改憲草案の条文に対する意見が書かれているが、全面的に否定しているわけではなく、条文それぞれについて著者のコメントが書かれている。
Posted by ブクログ
なかなかためになった。
「憲法」は、国家権力を管理するマニュアル(手引書)である
9条に対する改正案
・侵略戦争は放棄するが、自衛戦争は放棄しない
・海外派兵の条件は、1:特定の国家からの要請ではなく、国際社会の意思としての国連の決議であること。2:さらには、その前提として、日本国の国会の事前承認が得られること
憲法で道徳を語ると、法学ではなくなってしまう
一番守られるべきものは13条である
Posted by ブクログ
著者は憲法を専門とする法学部教授、所謂憲法学者。最近議論されている憲法改正の論点、そもそも憲法とはどういうものなか、そして民主党の憲法改正案に対して著者が改正だと思う点、改悪だと思う点について論じられている。いずれにしても、憲法について正しく理解した上での議論が重要なのは間違いない。
Posted by ブクログ
口にするのもタブー視されていた頃から憲法改正を訴えていた憲法学者の本。
憲法改正の論点をあげ、それぞれについてわかりやすく説明したあり、素人でも簡単に読めた。
改憲のハードルが高いことや愛国心を憲法に入れることは間違いであることはよく理解できた。
一方、「はじめに」では自民党の改正案の問題点を挙げるとなっているが、正しいところは認めている。
著者は、現行憲法はぶっ壊れた中古車と銘打って、憲法改正には賛成しているというか当たり前と考えている。
9条を楯に空想的なことを言っているようでは、自国を守れない。
人権の本質を守りながら改正する。改正後も監視を続け、憲法論議を絶やさないことが重要と述べている。
まさにそのとおりと思われた。
Posted by ブクログ
懐かしい名前(大学友人にゼミ生がたくさんいた)を本屋で発見したので思わず購入。法学ド素人の自分にも読みやすく、参議院選前にいい勉強になった。コバセツって風貌から恐くて固いという勝手なイメージあったけど、意外とライトな文章を書いていた。
論点を箇条書き。
(1) 戦争の放棄
・空想平和主義の限界
・理想をとるか現実をとるか
(2) 天皇
・国の顔が元首である
(3) 新しい人権
・「環境権」「プライバシー権」「知る権利」
(4) 権利と義務の関係
・利己的な人間が増えたのは、憲法が原因か
(5) 二院制
・時間と税金の無駄遣い
(6) 首相公選制
・決められない政治をどうするか
(7) 憲法裁判所
・官僚的な裁判官に期待するな
(8) 地方自治
・地域主権を認めると日本は解体される
(9) 非常(緊急)事態
・大災害時には独裁体制で構わない
(10) 改正手続き
・「改憲のハードルは高い」は嘘
Posted by ブクログ
現在の日本国憲法はアジア・太平洋戦争敗戦後の日本が、占領統治にあたったGHQに押し付けられた憲法という認識が一般的だ。確かに占領下にありながら、自分たちにとって都合よく、また再び戦争を起こしかねない危険な国の好きなように制定できるはずもなく、今や世界からも称賛される平和憲法は、このGHQの監修により出来上がった。そして以来日本は他国を侵略するような戦争を起こした事はなく、幸いにも日本の領土が戦禍に見舞われたこともない。但し、韓国による竹島占拠を除いてだ。日本国憲法は制定直後から改憲論が存在し、長年改憲派と護憲派による議論が度々なされてきた。私自身、平和な世の中を享受し、それを「平和憲法のおかげである」とそれに明確なる根拠を感じた実感は無いものの、現に平和が続いてきた状況を考えれば、それを変えることにより何かが変わってしまうかも知れないという漠然とした不安はある。だからと言って改憲に反対の立場でもなく、ただ単純に考えることを放棄していると言った方が妥当だろう。なお、自由民主党は結党当時からの目標として、この海外(GHQ)からあてがわれた憲法を廃し、自ら国民の手で憲法を作る、という事を掲げる。よって現在もなお改憲の意思を失わず、近年では安倍総理の時代に大きく話題として取り上げられることが多かった。本書もその様な社会背景で記載されたものである。
本書は30年来改憲を主張してきた憲法学者である小林節氏による、改憲をテーマとした授業形式の様なスタイルで書かれている。憲法改正の大きなテーマである9条だけでなく、天皇制や新しい人権である「環境権」「プライバシー権」「知る権利」など憲法改正が必要とされる理由や日本国が置かれた背景についてわかりやすく示している。何よりも、そもそも憲法というもの、そのものの意義を改めて説明することで、誰のための記述であるかを理解してベースにすることで、その後の筆者の考え方をより理解しやすくしている。法律の話になると途端に難しい言い回しや、回りくどい言い方が出てきて、何となく煙にまかれる事が多いが、憲法が国家権力そのものを監視し統制するという基本的な考え方が頭にあると、確かに読み進めるのが楽になるだろう。
憲法は全ての方の上位に位置する基本的なものであるとした上で(他の法律がその基本的な概念を覆す事ができない点)、余りにも細かい記述は頻繁な改正につながりかねないものの、自衛隊の役割などについては明確化されない事で、却って力の濫用に繋がりかねないリスクを孕む。政府による身勝手な拡大解釈や、本来そう読み取って然るべきところ、野党等による無意味な抵抗などの時間の無駄が生じない様、バランスの取れた改定であれば望ましいのではないかと感じる。
Posted by ブクログ
立憲主義とは国家の統治を憲法に基づき行うという原理である。国家は個人の基本的権利を保障するための機関であり、国家権力は権利保障と権力分立を定めた憲法に従って行使される。それにより政府は憲法の制約下に置かれることになる。憲法の憲の意味は基本的な掟という意味なので日本国憲法は主権者である人民が権力を付託した政府に対し憲法に従って運営するように縛りをかけている。立憲君主制であれば、君主の行動は憲法によって制限をかけられているわけだ。
大日本帝国憲法を作った伊藤博文は主権者である天皇が臣民たちの意見を聴いて合議制で決める、つまり議会制民主主義を立憲主義であるとした。大日本国憲法は代々の天皇の意向で現人神である天皇から日本臣民に下げ渡すと言う建てつけになっていた。臣民からなる政府は縛られるが、その主体は臣民ではないということだ。
アメリカから押し付けられたと言う批判もある日本国憲法だがそれでも主権者は人民なので総意により憲法を変えることはできる。憲法は神聖不可侵、なものと考えるとおかしなことになる。「憲法が主で、私たちのほうが僕であるように思い込んでいるのではなかろうか」時代に合わなくなった部分は主権者である私たちの総意で変えればいいのだが、護憲派-一般には9条を対象としている-は他の部分であれ憲法を変えることができると9条を変えるハードルが下がると反対しているのだろう。
憲法学者であり、改憲派の小林氏からすればそもそも「憲法を守るぞ!」と言ってるのがおかしいとなる。改悪から守る(擁護する)と言う文脈には理解を示しながらも「(国家権力に)憲法を守らせるぞ!」と言わないと主権者と国家権力の立ち位置がわからなくなってくるという事を危惧しているのだ。「(我々は)憲法を守る(遵守する)ぞ!」と刷り込まれないように。六法と一括りにされているが国家が国民を管理するための法律と憲法は同列でもなければ機能も違う。
憲法も法である以上現実を前提に書かれなければならない。そうでなければ機能しないと言うのが小林氏の主張で、憲法には理想を書くべきと言う護憲派とは一線を画す。ただし目標としての理想を掲げることは否定していない。和をもって尊しとする十七条の憲法にはある意味では道徳が書かれているのだがこれが憲法=道徳と全国民に刷り込まれ憲法観が狂わされる現認になっているのではないかと言うことだ。
後半では2012年に発表された自由民主党の改正草案について言及している。視点としては国民的合意が成立しているか、新しい価値観に対応しているか(例えば環境保護、知財権や個人情報保護)など。例えば第十九条「思想及び、良心の自由は保障する。」なんてことのない文に見えるがこれはXだと言う。誰が誰に何を保障するのか?国は国民の権利を侵してはならないでなければならない。
改憲論者の小林氏が厳しく批判するのは第百条の「改正」。改正の条件を過半数に緩和することは硬性憲法の根幹に関わる。改憲論者に条件緩和への賛成者が多いようだが、 自分の意見と異なる方向の改憲に対しても緩和されているということをもっと想像してみるべきだろう。想像してみればいい、鳩山由紀夫が自らの政治信条に基づき憲法を改正したらどうなるかを。
Posted by ブクログ
最近、憲法改正について色々言われているけど、その前に実際憲法と法律の違いなどをある程度理解していないと、議論するうえでかみ合わなかったりすると思うので、定義を確認するうえで良いと思う。この本ではそういう部分から説明されているので、理解できると思う。その上で現行の改正するうえでのハードルが高いかどうかや、自民党が提示した憲法改正草案を著者が良い点や悪い点を指摘しているので、入門書として良いと思う。
Posted by ブクログ
簡潔に纏まっており読みやすかった。
自民党の憲法改正案を元に憲法とは何か、どのようなものなのかを各国の比較を交えながら論じている。
簡単な憲法の本。といったところだろうか。
Posted by ブクログ
自民党改憲案と現行憲法へのダメ出し。
この本を含めて改憲話を聞く中で「現行憲法では○○という問題が生じていて、それは解釈でどうしようもないし、立法では解決できないから改憲」という具体的な話が聞こえてこない中での改憲主張に意味を感じられない。
また憲法は本来国家権力への縛りを与えるものなのに、殊更に国民の義務を強調し、国家の義務部門を狭めたり、具体的な部分がある一方で、「公の秩序」という時の権力者の意図で国民の権利制約が容易になる文言の使用があったり、著者は良点も強調するが、毒の方が多い印象。
さらに国民の憲法教育が進んでいない状態で改憲議論が進むことに何らかの策略めいたものすら感じる。