【感想・ネタバレ】動くとき、動くもののレビュー

あらすじ

緑豊かな自然の中で、日々山が崩れ、河が荒れる――。祖母・幸田文が著した名作『崩れ』の地を再訪。そこで出会った人々と、寡黙だがかけがえのない「砂防」という営み。 「山も川も、人の心も、動かぬものはありません。決別であり、同時にそこからの始まりでもあります」著書の目と心に映る景色を確かな筆致で綴る。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ

晩年に日本各地の崩壊地を訪ね、死後にエッセイ集『崩れ』を刊行した幸田文の孫である著者が、四半世紀の時を経て、祖母の踏んだ地を訪れた感想をつづったエッセイです。

著者のまなざしは、自然の力がひとの営みを凌駕する崇高さとともに、それぞれの地で人びと暮らしを守る防砂という仕事に取り組みつづけてきたひとにも向けられています。この国の自然の豊かさは、「歌枕」のようなかたちで語られることが多いのですが、本書ではじっさいに自然の威容を目にした著者の体験とそれを取り巻く人びとの姿を散文によってていねいにえがいており、詩的な表現によって喚起される瞬発的な感動とは異なる、静かで持続的な感銘が心のうちにひろがっていく感覚をあじわいました。

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2019年08月16日

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