【感想・ネタバレ】授乳のレビュー

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年03月31日

この小説の描写には驚かせられるものがあった。人の所作を無機質にまるで人間ではないロボット、無生物であるかのような描きかたをし、さりながらどこかグロデスクさや官能さも秘めている。あまりの気持ち悪さに思わず何度も本を閉じてしまった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月23日

この本は社会的な禁忌(あってはならぬマイノリティ)を描写していると思う。ぬいぐるみと共に生活する女性や許されることに快感を持つ女性も禁忌として書かれているが、特に先生とゲームをする女の子の描写が秀逸で、受賞も納得の出来だった。先生に乳房を吸わせるシーンは読んでいる側も歪んだ興奮を感じさせてくれた。ま...続きを読むるで、ミロのヴィーナスに性欲を感じるような、社会的には禁忌で甘美で歪曲した興奮であった。このような体験は本書でしか味わえないと強く考える。

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購入済み

授乳ーー真似てはみるが

2023年08月11日

この小説では、大人も模範になれない。
子の行う、母親の真似は、慈愛とは程遠い。
唾液、蛾の体液。血液。(ああ、そして母乳なのか?)
『謎の彼女X』という漫画では、恋人の唾液が絆の状態を
知らせる印として働き、愛は死を乗り越える手段と言えた。
一方、この小説のような、仮借なく描かれた破滅を
目にすると...続きを読む、生き方を問われていると感じる。
周作先生の『深い河』では、女性に対しては「授乳」
どまりの中途半端な交わりが、キリスト教に対しては、
異端とも、ある意味徹底しているとも言える生きざまが
描かれる。

#タメになる #切ない #ダーク

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Posted by ブクログ 2023年02月13日

 靄のかかった様な朧気な「幻」と、彩度の高い鮮明な「現実」の対比が素晴らしく、描写力に惹き込まれた。幻の美しいこと、現実の穢らしいこと。
 どの物語の女性も自分の内面に新しい世界を築き上げていた。今まで自分が言語化できなかった感情を灼然と突き付けられたような感覚。

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Posted by ブクログ 2022年11月11日


ぞわぞわした。

自分が女であることを拒絶したくなった。

村田沙耶香さんを読んで後悔することは一つ。

「人間を嫌いになること」

これは一時的トリップで、あーもうやだ、私は私以外の全てを否定したい。あいつの息はなんだかいつも生臭いし、あの子の髪は朝から作ったって自慢してたお弁当の油の匂いがこび...続きを読むり付いていて嫌い。町ですれ違ったミニスカートの女のそれで男に媚びってるだろっていう歩き方とかトークアプリで一言目に下ネタを送るのが当たり前みたいテンションで絡んでくる男なんて去勢されればいいのにとか体から離れた体毛とか人間から離れた全てが、拒絶対象になる。

まるでずっと生理前の様。
まだきてないのに子宮が重く鈍痛がする気がする。
こんな臓器なかったら、そもそも男にアレがなかったら。生殖行動しない生物同士だったら。なんていいのだろうか。

でもそれは、ただの無機質な物体と変わらないのにね。

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Posted by ブクログ 2024年02月21日

不気味でホラーな感じの世界観で好き。この世界観たまに浸りたくなる、くせになる。どゆこと?という点もあるけど。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年02月21日

ぬいぐるみを恋愛対象とする話は良かったし全部面白くて読んでよかったとは思うけど今の自分には読み進めるのちょいしんどいときあった!

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Posted by ブクログ 2023年09月23日

小説の中みたいに
無機質な部屋をじっくり観察して見たいし、
空気の温度や動き、人の肌の質感、内臓までも
想像力を働かせて観察できたら
感覚が鋭くなって刺激的な場面も
もっと堪能できるのかな。

村田沙耶香さんの本を読んでる間だけしか
この気持ちを味わえないのか…
なんだか寂しいぜ。

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Posted by ブクログ 2023年08月24日

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コンビニ人間を読んだ時は、それほど文章力に惹かれず、粗が取れてより伝わりやすく、まとまった文章が書けるようになったからだと本作を読んで理解に至った。でも個人的にはこっちの方が好き 描写の正確性とか表現の意外性は女性作家らしくも唯一性があって飽きさせない 文体が素晴らしいとかでは特にないけど、...続きを読む扱うテーマは一様なのに200ページ以上読んでいてもういいとか十分とかそういう感情が湧いてこないのは村田沙耶香のすごさだとおもう

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Posted by ブクログ 2023年07月14日

村田沙耶香さんは割と最近の著作から読み始めたせいか、本作はかなり新鮮だった。
授乳や怪我の手当て等、慈悲的な行為と対照的に、自己に従属させることで満足感を得るサディスティックさは一見矛盾しているように見えるが、母性と支配欲が同時に存在するようなものなのかもしれない。ジェンダーやセクシャリティを排除し...続きを読む、無機質な自己の世界を築き籠城する。主人公は総じて強く、彼女らの生命力に励まされる思いがした。

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Posted by ブクログ 2023年07月05日

「授乳」はデビュー作らしい瑞々しさに溢れていた。家庭教師の先生を知り合いの姿で脳内再生させてたら、リアルな描写におっと、ってなった。「コイビト」は読んで朝井リョウさんの「正欲」を思い出した。性の対象がぬいぐるみに向かっている。面白いのは、主人公が美佐子のムータへの行動を見た時、引いてしまうところ。で...続きを読むも美佐子の言うように、それからは逃れられないのかもしれない。「御伽の部屋」はまだ解釈しきれていない

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Posted by ブクログ 2023年02月26日

女性という性に対抗しているのか
常識という規範を無視して自分だけの世界を強く持っているなという印象(村田沙耶香の作品は割とどれもそんな感じ)
この、人の気持ちが分からないサイコみが好きなのよ

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Posted by ブクログ 2023年01月12日

理解できる感情が少ない分、中々主人公達の気持ちがよく分からなかったが、自分自身が見ている世界とは全く異なる為、自然と話に引き込まれた。
面白いというよりも不思議という感覚が強い。

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Posted by ブクログ 2022年09月23日

村田沙耶香さんのデビュー作「授乳」が収録されている短編集。他に「コイビト」「御伽の部屋」も含まれています。個人的には「コイビト」が特に面白かったです。

デビュー時の作品は普通とは何かを問いかけてくるというよりも、思春期の性の複雑さを描いた作品が多いんだなと感じました。ただ、どこか奇妙な独特の世界観...続きを読むは初期の頃から健在していて驚きました。

著者の作品は読んでいてパラレルワールドのようなどこか違う世界にとばされた感覚になり、いつも圧倒されます。

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Posted by ブクログ 2022年08月28日

デビュー作。3本の短編が収録されているが、どの主人公もその周りの人物も、傍から見るとちょっと「普通ではない」価値観の持ち主なんだけど、本人たちは至って真面目というその「ずれ」が面白い。
もちろん作者はそのことをdisっているわけではなく、彼ら彼女らの心の叫びをストレートに読者に届けることによって、異...続きを読む端者の生きづらさのようなものを表現しているのだと思う。

十分楽しめたけどあえてケチをつけるなら、特に表題作で登場人物の行為にあざとさというか、読者受けを狙ったような部分を後の作品と比べて強めに感じたんだけど、まあ大した問題ではないか。
著者の作風は最初から確立されていたんだなあというのがよく分かる一冊。

本編とは関係ないけど、瀧井朝世氏の解説が素晴らしい。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年08月16日

■授乳
2頁目からブックイヤー
「玄関を開けたときから死体のような人だったから、もう奥で死んでるのかもしれない。」
ここ読んでもうこの作品すき、村田紗耶香先生たまらんとなりました
こういった刺さる表現が山のようでため息
父のブリーフと自分のブラジャーを結ぶとことか言葉にならないところも、全編を通して...続きを読む変態かぎりぎり変態じゃない誰にでもあるかもしれない世界
主人公視点からの先生や母を表す言葉も、またすごい作品読めたなと思いました

他2作品についても同様のため息がでる言葉の使い方や組合せがあふれてました

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Posted by ブクログ 2022年01月15日

これがデビュー作ですか…
村田沙耶香の作品は読んでいて嘔吐しそうになるくらいグロテスクで気持ち悪くて、後味悪くて大好きです。
授乳の蛾の描写にゾクゾクしました。

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Posted by ブクログ 2022年01月12日

村田沙耶香は何かを炙り出そうと試みている。
社会や法や規範といった、私たちが疑いもなく信仰して止まない何かを。
本書では、母性や女としての身体と自認、食欲・性欲といった生物としての欲求…そういう世間が漠然と共有する概念と感覚に、敢えて少しだけ行動原理の異なる主人公を当てている。
AといえばB、のよう...続きを読むな暗黙の了解は通用しない。
その違和感を気持ち悪く思うが、そう感じる自分はこの社会のルールに則って生きているんだ、正常なんだと安心もする。その後に残る、気づきと恐ろしさ、、、

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Posted by ブクログ 2023年10月04日

コンビニ人間以来の村田沙耶香さん。3つの短編が入った1番最初の著作。
表題作の「授乳」がデビュー作で賞を取ったらしいですが、これデビュー作って尖りすぎだろ…。
コンビニ人間もなんか気持ち悪い女の話だなぁと思っていたのですが今作は色んな気持ち悪い女が出てきます。
なんでこんなお話が思いつけるのか…顔を...続きを読む顰めてしまうほど残酷だったりエグかったりするお話好きな私でも、エッジがありすぎてドン引きしてしまうレベルのお話3作品かけるってすごいなとなんかクセになりはじめてる自分もいる。

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Posted by ブクログ 2023年09月21日

受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。授業は週に2回。火曜に数学、金曜に英語。私を苛立たせる母と思春期の女の子を逆上させる要素を少しだけ持つ父。その家の中で私と先生は何かを共有し、この部屋だけの特別な空気を閉じ込めたはずだった。「――ねえ、ゲームしようよ」。表題作他2編。(講談社文庫)

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Posted by ブクログ 2023年09月04日

村田沙耶香のデビュー作。村田沙耶香って最初から「村田沙耶香」だったんだな……と感じさせられるような三編だった。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年06月26日

表題作の授乳だけ読んだ。
思春期独特の目線から思春期の悩みとエゴを表現していて、純文学でしか味わえない感覚を味わえた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年04月23日

性に関する近未来の世界の話で、そもそもの発想が自分の想像や常識を超えていて驚愕だった。
文章が引き込まれやすく物語の情景も浮かびやすく、性という主題にも本能的に興味をそそられる小説になっていた。

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Posted by ブクログ 2023年02月21日

『きれいなシワの作り方』以来の村田沙耶香san。

受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。その家の中で私と先生は何かを共有し、この部屋だけの特別な空気を閉じ込めるはずだった。「ーねえ、ゲームしようよ。」。表題作の他に「コイビト」、「御伽の部屋」の2編収録。

遂にデビュー作の本作とご縁が...続きを読むありました。
冒頭で、家に初めて来た先生の印象を「青白い裸足」と表現。これが村田sanの角度!と一気に引き込まれ、ひと言ずつ大切に、噛みしめて読みました。「私」を苛立たせる母に対しても常に冷静で、「母は時折、顔の奥の落とし穴に表情を落っことしてしまったような、がらんどうの顔をする。」と。大好きな形容です。

解説で瀧井朝世sanも書かれていましたが、3編の共通点は三人の女性がそれぞれ、自分独自の世界、自分だけの王国を築いていること だと私も思います。セクシャリティを持たない、無機質さと無抵抗さ。

村田sanの王国がどんどん広がりますように!

【第46回群像新人文学賞優秀賞】

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Posted by ブクログ 2022年12月25日

「確かにその時、母からにょきにょき「母」が生えてきたのだ。」


表題作「授乳」「コイビト」「御伽の部屋」の3遍集

身体の奥底にある塊が溢れ出てしまった女たちの話

男と女の区別が曖昧になってるいま、この塊があるかないかが男と女の違いなんじゃないかと思うくらい、「きっとこれは私にはあって男にはない...続きを読む」と明確に感じた

読んだ後に一瞬感覚が鋭くなるのがわかる

自分に1番フィットする拠り所が1番必要な時にすっと現れるってことなのかな

全然関係ないけど、いやらしいことをいやらしくなく、かつ生々しく書けるって結構大きなポイントなんだろうな
「電車の中でも読めるいやらしさ」は表現力を測る上で大事なのかもしれないと思いました

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年11月23日

3つの作品で構成されている短編集。村田沙也加さんのデビュー作授乳は、中学生の女の子と家庭教師の先生の話。さすが村田沙也加さんなので、よくある先生と生徒の話ではなく、性へのモヤモヤ、母親への嫌悪感、先生への気持ちなどを自分中心に考え、悩む。他の2編は、ぬいぐるみを愛する女性の話と自分に都合のいい男性を...続きを読む見つけ、その部屋で現実とはかけはなれた生活を送ろうとする女性の話。最後の作品では、自分のことなのか、都合のいい男性のことなのか、それともこの女性の主人公はもしかして存在しない男性と生活していたのかと思わせておいて、もう都合の悪くなった男性を自分の中で完璧な状態で復元して自分の中の男性に甘えるという。題名が御伽の部屋のに納得。
現実の女性のモヤモヤを見事にというよりは、荒々しく描いてると感じた短編集だった。

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Posted by ブクログ 2022年11月21日

村田ワールド全開。登場人物全員変な人。変な人の思考のもと理路整然とストーリーが展開していくから、ゾワゾワ。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年10月10日

とにかくなんだか、不思議な気持ちになった。
コンビニ人間を読んでから、授乳を読んだけど、取り上げている内容はだいぶ異なる。

自分の中で、現時点でそこまで共感できる部分はない、というか、共感できてしまうことを、自分が恐れている気もする。目を背けている気はする。

「授乳」については、主人公が母親に対...続きを読むして強い嫌悪感を覚えていて、それに対し、塾講師が求めるかたちでの女性性を生み出すことで、母親へ優越感を覚えているのかと思ってたけど…
最後に母親の中に自分が演じていた、女性らしさ、母親らしさを超えるものを見て、動揺し、最後の最後でその母親の女性らしさ、母親らしさの象徴である、乳を踏みつける…と。

読むタイミングで捉え方もきっと変わるはずだけど、村田さんの作品は胸に突き刺さるものもありながら、今じっくり読み考えることを、少しこわいと思っている自分がいます。

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Posted by ブクログ 2022年07月25日

ここ数年、未読作家を減らそうと意識して読んでいた中でとても気になる作家さんの一人が、村田沙耶香さんです。
“心和む”の対角の様な、偏重的な登場人物を威圧感ある文章で書き上げてくる魅力があります。
三作品の短編集です。それぞれ主人公の女性達が、独自の世界観を持ち、そこに自身の社会を作り上げています。そ...続きを読むの世界観は、他者に理解を乞うものではありません。ただ、そうあるのでしょう。
切れ味鋭かった頃の村上龍氏、世界観に引きずり込まれた安部公房氏等に近い読後感があります。
「御伽の部屋」で、“道徳の授業で5をとる小器用さとそれに感動する才能のなさが両方備わっている”と女性が自分を表現している部分がありましたが、村田さんの作品が、まさにそういう種類の感情を恐ることなく書かれていくのだろうと思います。

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Posted by ブクログ 2022年02月12日

村田さんの作品としては控えめな感じがしました。
子供がこういう風に考えるようになることもあるのかな、と思うとちょっと複雑です。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年01月20日

官能的だけな内容なのかと思いきや、グロテスクで気持ち悪い。
コイビトのラストが不気味で忘れられない。

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