あらすじ
「すべての過去を盤面に穿(うが)ち、鳴り響くのは電光オルゴール」――。世界最年少“アジル”のひとり、無口な少年フウは人の記憶をオルゴールに封じ込める技術を持つ、電光オルゴール創作人。依頼者は、世界が愛する歌姫・ティレジア。栄光を極め、誰の心にも喜びを届けた彼女が、オルゴールに封じ込めたい記憶とは? 連載時におまけとして描き連ねていた『コラム・グルタ島』から、番外編『ダーナ探検隊』、そして後日談にいたるまで、第一期『グルタ島日記』シリーズのすべてをこの一冊に収録。
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Posted by ブクログ
電光術という技術が発達した世界。人の記憶を完全に写し取って、再構築し、投影する、電光オルゴールのお話。基本的には昔の話を再現する話なので、緩やかな滅びと、ちょっとした救いを感じる内容。随所こだわって描かれており、この島や建物があるなら訪れてみたいと思った。ハルタに掲載されていた続編から後追いでたどり着いたのだが、続編のほうも本になることがあれば買いたいと思う。
Posted by ブクログ
本編とコラムで分かれていて,本編のマンガのほうは言葉は少なくて,その絵のひとつひとつが世界観を構成している。
コラムでは登場人物たちや世界の具体的な設定資料だったり,本編では描かれていない話が展開されている。
歴史ある建造物や文化,自然,そして発展し続けてきた「電光技術」の融合した島は19世紀のイギリスを思わせる。
Posted by ブクログ
過去の記憶と向き合う世界の歌姫とそれを体験させるテクノロジーを操る少年。現在と過去の記憶の中との境目が絶妙な曖昧さで表現されている。じっくり読み込むと何か発見がありそうな、単純に仔細に描き込まれたのではない画面。
巻末にあるグルタ島コラムからすると、本編も言葉で表すとなるとかなりの量の設定があるのだろう。でも、作中での明示は必要最小限で、著者の中にある膨大なイメージの一部分を漫画を通して読み手側から見ているようである。