あらすじ
家の近くに、小さな五叉路の交差点がある。信号の名は“蛇崩”。そこに彼はくる。いつも俯いている彼に気づかれないように、歩道を移動して、横断歩道ですれ違う。すれ違う瞬間、いつもときめく。十年来の僕の片想いの相手──あだ名は“マド”。彼の本名はまだ知らない……
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やっと読めました
10年以上前の作品だし、そのうちじっくり読もうと後回しになっていました。
二人の関係だけでなく、街の景色やマドの育った環境に想像力を掻き立てられて、実際ページをゆっくり進めたくなるような静かなのにドラマチックなストーリー。期待以上でした。
Posted by ブクログ
円の家庭事情だとか、もの凄く重たい題材のお話なのにどこまでも詩的で美しい作品。藤たまきさんは痛い、と可愛い、を両立させるのがとても上手い人だと思う。
Posted by ブクログ
良かった~!!!!
藤さんは読んでて上手いなぁと感心してしまう作家さんの一人ですが、今回も上手いなぁと思う一冊でした
龍一はいつも横断歩道ですれ違う“マド”に十年来の片思いをしています
“マド”っていうのはあだ名で、円(まどか)が本名なんだけど、円で“マド”ってすごく良い…!
お話のポイントではないんだけどww
龍一は直接話すまで、偶然耳にしたあだ名しか知らなくて、読んでる方もなんで“マド”?マドってことは…本名は何だろう?ってわくわくしちゃいました
藤さんの作品って、タイトルとかキャラクターの名前とか良いなぁと思う
出てくる小物のチョイスも良い
お話の中で夜に緑道を歩くシーンが印象的
私が大学時代に住んでたアパートの裏にも緑道があったのを思い出して、すごく懐かしい気持ちになりました
藤さんの作品は登場人物が不憫すぎて読んでて辛くなることがありますが、今作は個人的には痛すぎず甘すぎず読みやすかったし、お話の展開も好き
二人が別れるシーン、円が龍一を酷く罵ってしまうのが良かった
中盤は不幸フラグが立ってて不安になったんですがww
ラスト駆け足だったけど、ちゃんと終わってて読後感も良かったからホッとしました
叙事詩のように
強い熱量を抑えつつ描かれた、叙事詩のような内容だった。
紡がれるモノローグも、淡々としているようで、じわりと胸に刺さるところがある。
また読み返す気がするので☆4。
Posted by ブクログ
五叉路で擦れ違うだけの子に10年来の片思いから始まる物語。現実は「擦れ違うだけ」で終わってしまうものを、フィクションであるから物語が動く、と言う醍醐味を満喫。自分にないもの、自分が持ってないものに惹かれるのは「焦がれる」からであり、自分にないものを持っていることへの「憧れ」から生じていると思う。自分の置かれている境遇から救ってくれ、と一方的に望むのは間違っていると思いながら、持ってないモノを持っているから好きなのかもしれない、と疑いながら、それで「好き」を続けて行くのはやっぱり理屈をこねまくらなくても好きだからに違いない。何年も年月を置いていても変わらない、と言う話が好きなんだよなぁ…自分自身、そう言う思いはあっても「忘れられない思い出」にしてしまって、もう一度接点を持とうと行動を起こすことが無いから、ある種の理想なんだよね…
藤たまきさんの『蛇崩、交差点で』読んで寝たんだが、藤作品のリアルとファンタジーの境界線の融合具合はなんと表現したらいいのか、絶妙な味わい。台詞は童話の中の言葉のようなのに、円や龍が口にすると、その言葉は彼らの本心を表す最も適したリアルな言葉なんだ、って思うし。
Posted by ブクログ
どうすることもできない自分の世界、うまくかみ合わない思い、それらを象徴するかのような蓋をされてしまった川・・・・・・。
若い暴走なんだろうけれど、静かだった。
そこがジワジワ切なくて、怖い。
藤たまきさんの世界だなぁって思った。
Posted by ブクログ
高校生2人の甘酸っぱいひと夏のお話。
交差点ですれ違うのを小さい時からこっそり見ていただけの相手と、ひょんな事から知り合いになれてどんどん距離を縮めていけたのに、肝心なところで踏み込めない。
周囲に対する閉塞感、無邪気な残酷さなど、多感な年頃の少年同士のままごとのような恋愛が長続きするはずもなく。
結局、一度は別れてしまう彼らでしたが、月日が経ち成人してから再会し、あの一時をお互いに語り合ってからまた二人で歩もうとするラストには余韻があって、ああやはり藤さんの描かれる男の子たちはいいなあと再確認できました。