あらすじ
大阪の港町で居酒屋を経営する藤太(とうた)の元へ、中学の同級生・秋雄(あきお)が少女ほづみを連れてきた。奇妙な共同生活の中で次第に心を通わせる二人だったが、藤太には、ほづみの母親・いづみに関する二十五年前の陰惨(いんさん)な記憶があった。少女の来訪をきっかけに、過去と現在の哀しい「真実」が明らかにされていく――。絶望と希望の間で懸命に生きる人間を描く、感動の群像劇。
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大阪で居酒屋を営んでる主人公藤太(とうた)の元に、幼馴染の秋雄が少女(ほづみ)を預けに来た
少女の母いずみと藤太と秋雄
過去に何があったのかという話
今の生活と、昔の少年時代と交互に話が展開
ある事件をきっかけに忌まわしい方向へとねじれていく
父親は仕事をせず、酒に酔って子どもを殴り、賭け麻雀をして借金をつくり、子どもを借金のカタに売る
そんな親たちのもとで育つしかなかった藤太たち
藤太 秋雄 いずみ
三人の過ごした時間はかげがえのないものなのに
最低の夏休み それでも最高の日々
蝶の羽化の失敗も
まるで人生の行き詰まりのようで
悲しくてやりきれない
後半の展開はスリリングで
少年時代のトラウマがそれぞれ暴走
主人公は投げやりに生きていたけど
生きると決め
ほづみを守りきった
それだけが救い
Posted by ブクログ
親ガチャ
どうしょうもない生活を強いられた子供たち。
アルコール中毒、バクチ中毒、暴力中毒の下で暮らす子供たち3人の成人後の物語と子供時代の話が交互に語られる。
大阪の下町で曲者相手に営業する汚い居酒屋に幼馴染の弁護士が現れて10歳の少女を置いていく。かつて3人のうちの1人の少女の娘だという。
そこから3人の悲惨な過去が甦る。DV、育児放棄、借金のカタでの強要。その復讐。
意外な過去が追いかけてきて悲惨な結末を迎える。
人は強く生きられるけど脆い。純愛を信じる物語。
面白く、凄い。
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私には「雪の鉄樹」に続く遠田潤子二作目。
どうして主人公はこうなってしまってるのかが気になってぐいぐい引き込まれるところは雪の鉄樹と同じだ。
本当に作者はこういう引き込み方がうまい。
藤太も秋雄もいずみもどこにでもいる中学生なのに、クズな親のせいで歯車が狂って行く。
特にいずみは何も悪くない。なのに理不尽な末路を遂げる。私も坪内のように、最後まで実は生きてるんじゃないかと信じていた。こんなことってある?
だが、全ての人の生きがいであったほずみが飛べる蝶で、ほんの少し救われた気がした。
読んでて膝が痛くなる小説だった。
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暗い、最初からどことなく暗い。
なんでこうなるか、救いがない。
でも止まらなかった。
先が気になるもんで、なんだかんだで読み続けて、一気に近い感じで終わりました。
面白いか、面白くないかで言えば面白いんだけど、そうはいえない内容の苦しさ。
心がじんわりする場面もあるんだよねぇ。
でも、これは読まんと分からんよねぇ。
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重い。
前半は藤太がぐずぐず言っててなかなか進まなかったけど、過去のことが明らかになるにつれて目が離せなくなっていく。
悲しい話。でも最後はなんとか持ち直す方向で終わって良かった。
余談だけど、遠田さんの下ネタはエグくて苦手。蓮の数式は冒頭で挫折した。
[ストーリー]
藤太の営む居酒屋まつに、秋雄が、いづみの子どもだというほづみを預けて失踪する。3人は仲が良かったが、3人の父親たちが焼死した火事の後、中学卒業をしてから25年疎遠だった。
Posted by ブクログ
う~ん。ウ~ン。
小説は本当に起こりそうなことを書くフィクションだというけれど、この小説に出てくる、“酒”“暴力”“ギャンブル”に溺れ、子供を子供とも思わない最低な親は世の中に沢山いるかもしれないが、いずみちゃんほどひどい目に合い続ける子は本当にいるのだろうか。そう思う時点で、私は葉山和美弁護士のように世間知らずなのかもしれない。
舞台は大阪の南のほう。暖簾も壁も何年も掃除していない油ギトギトの場末の居酒屋<まつ>。店主は足を引きずり、客は堅気かどうか分からないような最低の客ばっかり。店主であり主人公の藤太は「どうせこんな店」「自分はいつ死んでもいい」と思いながら、生きるために、ずっと店をやり続けている。
そんなある日、店を閉めてからひと目で“負け”を感じてしまうような、小ぎれいな男が小5くらいの女の子を連れて訪ねて来た。「藤太、久し振りやな。」という。よく見るとそれは、かつて親友であったが25年間一度も会わなかった秋雄であった。
25年前に何かがあって一度も会わなくなったということは、彼らは60歳くらいなのかと思った。だけど「中学卒業以来一度も会っていない」という。そして、連れていた女の子は同じく彼らの同級生で25年間会っていない“いずみ”の子供の“ほずみ”だという。今や少年犯罪の件で有名な弁護士となっていた秋雄は何故かほずみの保護者となっており、「今俺は危ないことに巻き込まれているから、ほずみを預かってくれ」と言ってきた。
たった15歳の時に彼らに何があって25年間も会えなくなったのか。そして、それでも仲間の子供を預かるほどの彼らの絆って何だったのか?
そしてもう一つ謎だったのが、このような店でちょっと場違いに思われるような(失礼)、ドヴォルザークの「新世界より」……それもカレル・アンチェル指揮、チェコ・フィルのが彼らの拠り所になっていて、特に「家族全員がナチの収容所のガス室で虐殺された」というアンチェルの人生がキーワードになっていて、ますます訳が分からなくなった。
舞台は彼らが小5の時に飛び、藤太、秋雄、いずみの父親は麻雀仲間で酒とギャンブルに溺れ、子供に暴力をふるう飛んでもない親たちだった。その共通項で寄り添いあった彼ら三人は親友というより恋人というより家族のような絆で結ばれていた。
彼らとドヴォルザーク交響曲「新世界より」の出会いは、小学校の時の音楽のリコーダーのテストだった。一緒に「遠き山に日は落ちて」(「新世界より」第二楽章)を練習していた彼らは
「“遠き山に”って大阪には山なんかあらへんし、分からへんやん。」
「天保山があるやんか。」
「やっぱり本物聞かな分からんのちゃうかと思て、お母さんのレコード持ってきたわ。」
といずみの持ってきたレコードを秋雄の家のステレオで三人で聴いたのが、カレル・アンチェル指揮、チェコ・フィルのドヴォルザーク交響曲 第9番「新世界より」。
聴きながら、いずみは解説に載っているアンチェルの経歴を読んだ。ユダヤ人であったため、家族全員をナチの収容所で殺されたが、戦後チェコ・フィルの音楽監督となり………。
「すごいな。こんなつらい目に合ってもこんな素晴らしい演奏ができるんやね。」
「俺は、決めた。俺は新世界に行く。あんな親父に<まつ>を任せられへん。おれは、もっと料理を勉強して、店をきれいにして、<まつ>を一流の料亭にするんだ。」
「私も、一緒にやる。」といずみ。
アンチェルの「新世界より」は彼らにとって希望の音楽だった。
でも、まさかそれが彼らを一生苦しめる音楽になるとは…。
ちょっと書きすぎました。
貧しさ、苦しさ、悪い大人、純粋な子供、友情、愛、絆、希望、絶望…そんな色んな要素が“アンチェル”と“蝶”に反映されてうまく盛り込まれていたと思います。けれど、“盛り込まれすぎ”感もありました。あと登場する大人たちがどうしてこうも劣悪非道な者たちばかりなのかという点とその子供たちが良い子過ぎることと、小説を盛り上げるために、登場する子供たちを不幸にし過ぎている感に違和感を感じてしまいました。
Posted by ブクログ
飲み屋を営む藤太の元に中学まで仲の良かった友人、秋雄が少女を連れて訪ねてくる。短い会話の後説明もなく少女を置いて去っていった秋雄。過去に何かあったはずだが最初はまだ明かされない。
ただ生きてるだけ、投げやりな生活を送る藤太。少女と過ごす共同生活を経て少しづつ心に変化がおき少女の為に生き方を改善しようと明確に決意したときは安堵の声が漏れるほど藤太に感情移入していた。
そして少しづつ明かされる過去の凄惨な出来事。
藤太と秋雄といずみ、毒親の元でも3人 心寄せあって生きようとしていたのに、、その父親たちのあまりの人でなしさに言葉を失った。読み終わった後もずっと考え続けてる。なにかもっと救われる方法が他にあったのでは、と。いずみに起こったことは筆舌に尽くし難いほどに惨たらしい。いずみの生涯を思うと読み終わってしばらく経つ今も心が抉られるようです。
何か少し違ってたらまた違う未来があったのかもしれない、とも。
秋雄の最後も辛い。親を手にかけた時から、いやその前から救いきれない傷みをひとり抱えてたのではと、思うといたたまれない。救われて欲しかった。
藤太の打たれ強さが救い。最後はどうとでも取れる幕切れだったけど2人のもとに光が差した、と思いたい。
ちょっと忘れられない読書体験となった。
かなり引きづり感想書くまで時間がかかったし遠田潤子さんの描き出す世界は重くキツいけど、また他の小説も読んでいきたいと思った。
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中学校の同級生、藤太、秋雄、いずみ。それぞれの家庭にある絶望が3人を結びつけて、将来の希望を探していこうとする。作者はこの小説を、一度人生を捨てた男の再生の物語だとしたのこと。暗い重苦しい話は衝撃の結末までどんよりとして晴れないまま、最後の展開は派手だが人生の再生はできたと言えるのか。
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父親が営む居酒屋「まつ」を継ぎ、客とはほとんど口をきかない藤太と、幼なじみで弁護士の秋雄の二人がずっと想いを寄せていた、いづみ。
中学を卒業以来、音信不通だった秋雄が、小学生の少女を連れて現れた。
その少女は、ほづみ。いづみの娘だった。
時代や環境もそうだが、やっぱり子は親を選べない。
いづみは、藤太との淡い思い出だけを大切に辛い環境を生きてきたのかと思うとやりきれなくなる。
ほづみが来てから、まつの常連客も、店の中も何より全てに壁を作ってきた藤太が、少しずつ変わっていくのが良かった。
数年後は、小綺麗になったまつで、忙しく手を動かす藤太と、ハンチングや常連客に、バレエの話を聞かせているほづみが居て欲しい。
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遠田さんの書く主人公て、こうも救われない人ばかりかと言いたくなるくらい破滅型の人が多く。
自暴自棄になって、救われての繰り返しで、読んでて辛くなるが、最後まで読ませちゃうのは、小説としては、素晴らしいのでしょう。
ほずみちゃんがいて、何とか少しは未来が切り拓かれたのが救いですね。
どなたかも書かれてましたが、最後のアクション?みたいなドタバタは余計な気が。
Posted by ブクログ
遠田さんの作品は、本当に登場人物の境遇が激しい。
実際にこういう世界はあるのだろうか?
普通の当たり前の暮らしがいかに幸せか思い知った。
待つだけでは幸せは手に入らない。
あの結末になる前に、動いてほしかった。
読み終わりは悲しい。
Posted by ブクログ
個人的に、雪の鉄樹より好きだった。
はじめ、状況がほとんどわからない状態から始まって、藤太とほづみの危なっかしい関係にハラハラさせられる。
居酒屋「まつ」の客と、ほづみ、藤太の三者が、どんどんいい関係を築いていくのと裏腹に、過去の事実が明らかになっていくのが切なかった。
ラストは息を飲むし、涙も止まらなかった。遠田潤子さんの作品を読むのはまだ2作目だけれど、2冊とも、ちょっと自分には考えられないくらい悲惨な人生を歩んでいる人たちばかりが出てきて、感受性が追いつかないことだけが悔しいし、自分の甘さを思い知る。「それでも」生きていく人間の強さを感じる反面、「それでも」生きるしかない人間の辛さから逃げれない作品。
Posted by ブクログ
ここのところ、本を手にとってみてもあまり盛り上がらず挫折していたが、
久々にヒットだった。
遠田先生は好みの作風だが、これはなかなか良かった(*^-^*)
雪の鉄樹ほどではないが、何も分からない状況から物語が始まり、
次第に全貌が明らかになってくる手法は、そうだと分かっていても期待感が増してくる。
居酒屋「まつ」を経営する藤太の元へ、中学時代の同級生 秋雄 が少女 ほずみ を連れてくるところから物語が始まっていく。
秋雄とは誰なのか?何者なのか?ほずみとはどういう子供なのか?
全く分からないところから物語は少しずつ進んでいく。
過去の回想、現代、次第に解き明かされていく事実。
絶望の中でも、希望を見出していく少年。
痛い描写が苦手な私には、かなり厳しいところもあったが、全体通して飽きることなく読み進められたので★★★★(*^-^*)
暫く読書スランプだったが、また読みだしてみようかという気にさせてくれた。