【感想・ネタバレ】世界出張料理人のレビュー

あらすじ

食材と人との出会いを求め、パリの三ツ星レストランの副料理長から転身、出張料理を始めた著者。口コミが広がり顧客は大統領夫人を始め世界のセレブも名を連ねた。仏、米、カナダ、日本…空飛ぶ女性シェフの奮闘記!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

パリ駐在員のパートナーを持ち、料理教室に通うというのはよく聞くような「外国で学んできました料理研究家の女性」の経歴かと思えば、そんなヌルいものではなかった。コルドンブルーでなぜ食材をこのように切るのか?と考えていると手順が遅くなる、そこはアメリカ人の同期から早い作業の必要性も学ぶ、さらにパリのレストラン、アルページュに掃除係としてもぐりこみ、パイナップルのロースト(とても手がかかる)を成功させデザート係に、というところからですよ、この穏やかな語り口からは想像できないほどの情熱、まず最初に掃除の仕事から入るという、衛生を求められる調理場は、汚れているのは目ではなく匂いで判断されるというのに、目からうろこがぼろぼろ落ちる洞察力。駐在員の奥様だったら掃除係の仕事を選ばないでしょう、これは本気である。
最初は知り合いのホームパーティの手伝いをするうちに、フランスの国民的料理・ラタトゥイユを丁寧につくりメインディッシュにする(全ての野菜を別々に炒めている・これはとても時間がかかる)というその手間隙にぐっとくるし、そのディナーゲストがジャン・ポール・エヴァンが招かれているのに気が付き、デザートにチョコレートを出さなくてよかったと冷や汗をかくが、実のところ、彼女がパリにきたときにエヴァンのチョコレートは本当に素晴らしいと思っていて、2粒を自分のごほうびにとても大事に食べていたというエピソードにさらにぐぐっ!とくるのである。
顧客は壮大なお屋敷に住むセレブリティであったりするが、市場での食材への好奇心、厨房で助けられるメイドに向けるまなざしも優しく、きっと彼女の食材を扱う手は美しいだろう。

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2015年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「近々我が家でもお食事会をする予定があるの。家にも来てこういうご馳走、つくってくれる?」
フミコの出張料理人としてのスタートは、近所のおばちゃん同士のような約束が出発点となる。ただしフミコはパリの一流レストランで3年も修行を積んだ腕を持ち、お食事会を開くのは上流階級のセレブたちだ。フミコが手掛ける料理の味は人々を虜にするのに時間はかからなかった。瞬く間に大人気となり、必要にせまられ、有限会社を設立する。口コミで始めた出張料理人は、気が付けば個人邸宅でのシラク元(仏)大統領夫人を囲んでのランチ会の依頼を受けるまでになっていた。
高級料理を中心に話が進む為、洗練された上流階級の香りが漂う一冊ではあるが、彼女のプロの料理人としての料理へ向き合う姿勢は学ぶべきポイントがいくつもあり、珍事件続出の面白ネタも満載だ。出張料理人は、完璧な料理を出すこと以外にも様々な目的があるのではと暗中模索し、「五感」を使って料理を探究し続けるフミコ。是非、彼女の作る「ミロのスープ」を味わってみたいものだ。

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2014年06月27日

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