あらすじ
「シェール革命時代」のプレーヤーが揃った。まずは、石油・天然ガスともに、シェール革命で国内生産が膨大に増え、エネルギー不安から解放されて沸き返るアメリカ。工業化の進展や、国民生活の向上によってエネルギー需要が増大、世界最大のエネルギー輸入国となり、焦る中国。アフリカでのエネルギー開発など、シェール革命の逆風を受け、欧州離れを模索するロシア。そして、シェール革命による世界エネルギー地図の書き換えによって、エネルギー戦略の見直しが必須となる日本。これらの、4大プレイヤーが、これからの時代にどのように動くかを、各々の持つ事情から探った、日本のエネルギー問題のエキスパートによる一冊である。サブタイトルにもあるように、日本の最も取るべき戦略として、ロシアから天然ガスパイプラインをつなぐことを強く勧める。各国の国益が複雑に絡み合う、過渡期である今のエネルギー世界地図を明快に読み解く。
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Posted by ブクログ
非常にロシア寄りの内容なので、最初は「利害関係者では?」と思ってしまう程だったが、非常に説得力のある内容で提案も具体的。
思えば、一時期メドベージェフが北方領土に上陸して緊張していた二国間関係が、最近はすっかり友好ムード一色で、本書の指摘には頷かざるを得ない。
Posted by ブクログ
シェールガスが世界中の産油国と消費国にもたらす影響を包括的に捉えていて、面白かった。先日読んだ本にあったようなマイクロ・ビューでのバラ色ストーリーばかりではなく、マクロ的見地から見て日本にとって難しい局面になるという印象。LNGの輸送にかかるコストのハンディ、米国の内政重視化、台頭する中国などなど。ロシアからのパイプラインがもたらす戦略的利益は理解できるけれど、それに比重を大きく移すのもちょっと怖い気がする。多難な時代は続きそうです。