【感想・ネタバレ】幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上までのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

#いだてん の影響で読んだけど、あのドラマで描かれなかった裏側にもこんな攻防が…!と知れてとても面白かった。

0
2019年10月13日

Posted by ブクログ

幻の東京オリンピック 1940年大会 招致から返上まで

大会招致ののちに返上となった1940年の幻のオリンピックの招致から返上までの約10年間の記録。1930年、7年前の関東大震災の復興の象徴とするため、そして日本書紀での紀元2600年の記念として、東京市市長の永田秀次郎はオリンピック招致を提唱した。これらに呼応する形で、国際感覚優れるスポーツ系の実力者(嘉納治五郎など)が、近代オリンピックの父であるクーベルタンや、当時同時期のオリンピック招致を計画していたイタリアのムッソリーニなどとの交渉を重ね、東京オリンピックの招致を決める。奇しくも、明日始まろうとしている東京オリンピックと同様に、震災からの復興という位置づけで提唱されている部分が非常に興味深い。1940年の前回大会はベルリンオリンピックであり、それはヒトラーがオリンピックをプロパガンダに変えた瞬間であった。日本の政府としても、アジア初の近代国家としての矜持から、東京大会で日本の姿をしっかりと世界にアピールしたいという思惑があったのであろう。しかし、1939年の日中戦争など、1931年から続いていた中国との争いが泥沼化していく情勢の変化や、満州国を参加国として認めるかという問題など、政治的な問題から、当初政府の思惑とは異なった形で事態は変遷していく。さらに、実際にオリンピックを開催することを検討すると、紀元2600年記念という純粋な日本の事情をどこまでオリンピックに反映させるかという点や、IOCからすれば国家のトップが開会宣言を行うという感覚に対して、現人神である天皇が声を電波に乗せるということが国体の思想上不可能であることなど、日本固有の問題から、開催の現実味が失われていく。さらに、中国と交戦中の日本への反対の意志として、米英が東京オリンピックへのボイコットをちらつかせるなど、状況は悪化していく。
そんな中で、オリンピック招致の立役者であり、当時のIOC会長ラツールとも親交が深い副島道正が、大会返上を進言する。このまま東京オリンピックを開催することが、近代オリンピックの精神を蹂躙し、なおかつ極めて小規模の大会になってしまうことへの懸念や、その悲観的状況の中で、返上の決断を遅らせることへの他国への影響を正確に吟味した上での判断であった。本書、ひいては1940年のオリンピックを語るうえでは、オリンピックについて知り尽くした副島が下した英断が最大のポイントであろう。日本で一番評判の悪い男になる覚悟で進言したと心内を綴る副島こそが、目まぐるしく変わる国際情勢と日本の立ち位置を正確に判断できた日本人としてより評価される必要があるだろう。この返上という英断こそが、1964年の花道を作ったといっても過言ではない。
本日、2021年7月23日は1年延期された東京2020大会の開会式である。コロナ禍における緊急事態宣言下での開催であり、開会式の実行委員会のメンバーの過去の悪行を巡るゴタゴタが毎日ニュースを駆け巡る。今の日本を副島が見たとき、果たしてどのような決断を下すのか。改めて、示唆に富んだ本であった。

0
2021年07月23日

購入済み

五輪への道

大河ドラマ「いだてん」を見た事から、興味を持ち読み始めました。

オリンピック。
国同士やIOCの思惑、国内での各団体の確執、純粋に競技に向き合いたい選手たち。
それらを飲み込みなからも開催を確保した日本。
確かに国民の意識を高揚させるにはうってつけのイベントだ。
ところが気がついたら、戦争と云う更に大きな波にさらわれ、掴みとったものを手放さざるを得なくなる。

読み進むにつれ、リアルタイムでドラマを視聴していた気持ちを追体験しました。

延期が決まり閉塞感が漂う今ではありますが、次に開催される東京オリンピックでは(そこそこ、キナ臭さもありますが)
選手の皆さんが気持ちよく実力を発揮できて楽しめ、運営する皆さん、ボランティアなどで関わる方々にとってもいい大会になることを願ってやまない。
もちろん観戦者である我々にとっても。

0
2022年09月30日

Posted by ブクログ

1964年から56年間の時を超えて、2020年にふたたび東京でオリンピックが開催されます。
しかし、東京がオリンピックの開催地と決まったのは「3回目」。1940年に第12回オリンピックの開催地として決まっていたのです。
当時は日中戦争の真っただ中。国際社会からの孤立を高める中で招致活動にまい進し、厳しい戦局のなかでオリンピック準備に奮闘する組織委員会のメンバーたち。
軍部や政府に翻弄され、幻となったオリンピックの真実。

0
2016年09月02日

Posted by ブクログ

東京オリンピックというと1964年、そしていまから6年後の2020年を思い浮かべるが、実は1940年にも一度開催の予定があったらしい。日本にとって1940年という年は、建国してから2600年という節目の年だった事から、国をあげての記念事業としてオリンピック開催地に立候補したようだ。

ローマとヘルシンキも立候補していたのだが、のちに枢軸国仲間となるヒトラーやムッソリーニの圧力もあり、開催地は東京に決定する。しかし招致活動を先導した東京市と、JOCの前身である大日本体育協会の対立、そして日中戦争の勃発が原因となり、開催を間近に控えた1938年ついに権利を返上してしまう。

もちろん当時から、オリンピックは平和の祭典だったワケだが、戦争や政治に翻弄された暗い時代もあったのだ。その後もミュンヘンのテロや、冷戦によるボイコット合戦など悲しい事件が起きた。今ようやく当たり前のように、オリンピックが開催される平和な時代になったが、我々日本人による不幸な五輪史を決して忘れてはいけないと思う。

0
2014年04月24日

Posted by ブクログ

戦前の1940年に開催される予定だった東京オリンピック。その招致と、準備、そして、開催返上に至る事柄が記されています。

って言うか、直接の開催返上の原因は、日中戦争の拡大ですが、本書を良く読んでみると、大局観の無い行動が散見され、日中戦争が無く、開催に至ったとしても、失敗していたんじゃないかなぁと言う感じがしました。

2020年は、そんなことが無いように願うよ。

0
2014年03月16日

「スポーツ・アウトドア」ランキング