あらすじ
NHKアナウンサー、堀潤が米国留学中に制作したドキュメンタリー映画「変身」は上映禁止となり、堀のNHK退職のきっかけともなった。その問題作を活字で再現。堀がサンタスザーナ、スリーマイル、フクシマで見つけた真実とは? 日米の原発が抱える問題点をスクープした衝撃のドキュメンタリー作品。
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Posted by ブクログ
NHK元アナウンサーの堀潤が同タイトルの映画を作るに至った経緯と取材記録を綴ったルポ作品。映画の補完作品となっている。
マスコミは組織の方針に従って報道をしているというのがよくわかった。またマスコミから提供される情報を自分でよく吟味する必要があることを説いている。
印象的だったのは、アメリカで多くの核実験場や原発跡地が理由もなしに立ち入り禁止になっているということだ。またサンタスザーナ野外実験場にある原子炉がメルトダウンしていたにもかかわらず、2007年になるまで誰にも知られてこなかったことには驚いた。
この地域ではがん発生率が高いようだ。放射能が原因だと考えられるが、因果関係が明確でないとの理由から、政府から補償を受けることができないでいるようだ。
因果関係が明確でないとの理由から、政府から補償を受けることができなかった事例が日本にもある。水俣病の補償では、典型症状が出ていない患者の多くは補償を受けることが出来なかった。今後、福島第一原発事故の補償問題が浮上してくるかもしれない。そのときに同じことが起きないことを願うばかりだ。
本作は映画を観ていなくても十分内容を理解できる。むしろ、本作を読んでから映画を観るとより一層、理解が深まるだろう。マスコミやメディアに興味のある人には、ぜひ読んでほしい作品である。