あらすじ
これが日本なのか、日本人なのか? 徒党を組み集団化することで凶暴化する日本社会、大勢でたった一人をバッシングする容赦なき人々の姿。そんな「日本の現実」へ、重い一石を投じる。2009~2013年に雑誌、新聞、WEBに掲載された原稿を加筆・修正し、書き下ろしを加えて書籍化。
【目次】
第一章 加害者と被害者――加速する厳罰化と発せられる罵声
第二章 無知と無自覚――外なる「悪魔」、内なる「善」という思い込み
第三章 憎悪と報復――加虐的に、とめどなく
第四章 同調圧力――集団は敵を探し、強い管理統制とリーダーを求める
第五章 覚悟――表現するということは
対 談 蓮池透 + 森達也
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Posted by ブクログ
被害者の、被災者の、思いを課題解釈し、誤って解釈し、暴走する民意(クラウド)。それが、“増殖する悪意”。知るべきなのに知らなかったことがいくつか。足利事件で冤罪となった菅家さんを有罪としたDNA鑑定と同じもので有罪となり死刑が執行された事件があること。北野誠の事件についてバーニング周防氏はなんら発言はしていないこと。ノルウェーでは77人を殺害して死刑になってない、という事例があること。タイには「不謹慎」というコトバがないこと。(日本固有のものなのか)岡田克也(当時外相)が天皇陛下の国会開会の辞がいつも同じであることを指摘し、「天皇の政治利用である」と糾弾されたこと。田母神さんの先の戦争を侵略戦争と認めないとする論文のとんちんかんであること。そして、蓮池薫さんとの対談。「救う会」「家族会」が北への経済制裁を煽動する圧力団体と化している。そうさせるのは「家族」野周辺にいる「クラウド」であるということ。いくつもの知るべきことを知らされながら、「クラウド」というタイトルに期待しすぎてしまったのも事実。大津いじめ事件への増殖するいじめなど、悪意を増幅させるのはSNSもその一助を担っている。森さんのぶれない一つの信念、多くの著作はその変奏曲。間違ってないし、正しいと思うけど、単調感も否めません…。