あらすじ
人は集団で仕事をする。しかし集団になると人は怠け、単独で作業を行うよりも一人当たりの努力の量が低下する。これを「社会的手抜き」という。例えば非効率な会議や授業中の問題行動、選挙の低投票率、スポーツの八百長などは「社会的手抜き」の典型である。本書では、このような「手抜き」のメカニズムを、多様な心理学的実験の結果から明らかにしていく。その防止策とは、はたまた功罪とは。リーダー・企業人必読書。
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Posted by ブクログ
・集団になると人は怠け、単独作業より努力の量が低下する。1+1が2にならない
・社会的手抜きを無くすのは難しい
・女性は対人関係指向で人間関係に注意を払う傾向がある
・男性は同調しないことで他者より優位に立つことを考えたり、それができなければ集団から離れたりする
・腐ったリンゴ効果は存在する
・対策としては、リーダーによる働きかけ、監視、社会的手抜きという現象がありそれが現に見られたという情報を与えるなど
Posted by ブクログ
まず、タイトルにある「社会的手抜き」とは何かというと、それは以下の通りであ。
「このように、個人が単独で作業を行った場合にくらべて、集団で作業を行う場合のほうが一人あたりの努力の量(動機づけ)が低下する現象を社会的手抜きという。」(p.11)
例えるなら、運動会の綱引きで、周囲が一生懸命綱を引いている中、顔だけ引きつらせて綱を引くフリをしている、そんな感じでしょうか?
褒められたものではないですね。
でも、そんな褒められたものではない社会的手抜きですが、かのビートルズも社会的手抜きをしていたという研究が紹介されています。
この研究結果が面白い!
「その研究では1963〜70年の作品の中162曲について、曲の良し悪しと、ジョン•レノンとポール•マッカートニーそれぞれの単独作品であるのか、それとも両者の共作であるのかについて調べられ、分析がなされている。(中略)もし共作(とくに1996年以降)のほうが単独作よりも質が悪いということであれば、共作では手抜きをしていたことになる。質の指標として曲がシングルカットされたかどうかということ(出来が良かったものはシングルカットしたと、当人たちが述べている)と、人気投票であるビルボードマガジンのチャートの順位を用いた。分析の結果1967年以前はジョンとポールの単独作品のシングルカット率は37.7%であり、共作は52.9%であった。しかし、67年以降はこの傾向が逆転し、単独作品が21%で共作が15.4%となった。チャートランキングについてもこれと同じような傾向が見られた。『ハロー•グッバイ』という1967年の共作の中に、『君はイエスと言い、
僕はノーと言う。君は止まれと言い、僕は進め進めと言う』という歌詞がある。2人の志向性に違いが生じ、共同作品には単独作品ほどのエネルギーを注がなくなったということかもしれない。」(p4)
恋人同士の別れの曲かと思っていましたが「ハロー•グッバイ」って、そういう意味だったんですね!
そんなビートルズの不仲(?)を曲にして売っちゃうのもどうかと思いますが。
でも、こんな例を元にして、自分の身に置き換えて見たとき、結構思い当たりませんか?社会的手抜き。
私の周囲にもありますし、私自身も恥ずかしながら、そういうところあります。
本書を読むうち、そうやって自覚が芽生え、対策も思いついてきます。
心当たりのある方、一度手にとってみたらいかがでしょうか?