あらすじ
ホームレスの老女が殺され燃やされる、という事件が起こる。犯人の草鹿秀郎は18年引きこもり生活を送り、父親も刺し殺したと自供した。男の人生に、いったい何があったのか。さらに事件を追う刑事、奥貫綾乃は「私もこんなふうに死ぬのかもしれない」と殺された老女に自分の未来を重ね――。『ロスト・ケア』『絶叫』の著者が送る、社会の歪を描いた傑作長編。
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Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった、すごく引き込まれた!私は社会派ミステリーが好きなんだなーと気がついた。
所謂氷河期世代を生きた人々の苦悩が描かれた物語。中学時代はヤンキーが流行って、オタクが好きってだけで犯罪者扱いだったり嫌われてカースト最底辺にされて、大学受験は団塊世代で熾烈な戦い、バブルが弾けて就活、、、就職できてもあの頃はハラスメントなんて言葉なくブラック企業だらけで、、、鬱病に対する理解も全く無いし、苦しい世代だなってしみじみ感じた。
引きこもり視点、両親視点、刑事視点、母親視点、子供視点、、、様々な人生や思いが書かれていて、みんな苦しんでいて、、、
読み終わった後の満足感すごい!
Posted by ブクログ
ホームレスの女性が殺され燃やされた。犯人は長年引きこもりの48歳の男性だった。
彼は自分の父親も殺したと自供する。
同じ世代を生きてきたから彼の境遇もわかる。どんなに努力し真面目に生きても時代のせいで人生が狂ってしまい八方塞がりになってしまうのではないか。
引きこもりや貧困、8050問題は自己責任と片付けていいのだろうか。
誰にでも起こりうることだから、読んでいて切なくなってしまった。
葉真中さんの書く物語はいつも身につまされる。
Posted by ブクログ
秀朗と同じく団塊ジュニア世代の自分、秀朗の生い立ちは途中まで自分の人生を振り返っているようだ。オタクだったし。
そして秀朗の追い込まれていく気持ちもわかる。他人の目、どう思われているか、嫌われている、被害妄想に囚われていくのも憶えがあった。それが極端になってしまったんだ。
他人には絶対に自分を理解出来ない。その通りだと思う。当たり前だ。人一人の歴史なんて軽くない。それでもわかりたいと言う綾乃の思いが秀朗の心を開いていく。
生にしがみつく本能、普段死にたいとか思っていてもやはり思い切れない。これは心当たりがあった。
酷い病気に罹患した時、死にたくないと強く思ったことがあった。
本能って何か超越してるんだ。
読後、左胸の鼓動を秀朗と同じ様に確認してみた。
Posted by ブクログ
生まれた時代が違えば、出会った人たちが違えば、周りの環境が違えば、こんなことにはならなかったと思えて仕方ない話だった。
ヤンキーに絡まれて、好きな子から気持ち悪いと言われ、それが草鹿の自尊心を失わせるきっかけとなり、就職氷河期のせいで苦労した挙句ブラック企業に入社して。
同期が続々辞める中なぜか2年間も頑張ることができたけど結局シゴデキ新人に優しくされたことで惨めになり辞めてしまうという、
うわーーリアル、激ヤバ上司になじられるのは耐えられたのに、シゴデキに優しくされるのは無理って。
ノルマ達成できない自分が親切にされるなんてバカにされてるんだ、という思考がもう心病んでるのよ。
その後バイトを転々として、引きこもりに。
善良な両親に育てられて、勉強もできた草鹿にとって、ふつうに趣味を満喫して、両親を安心させてあげられる仕事をして、恋愛して、結婚してという未来は決して遠くなかったはず。
すべてが少しずつ噛み合わなくてこの未来になってしまったのが切ない。
Posted by ブクログ
氷河期世代の引きこもりと8050問題をテーマとした物語です
主人公は恵まれた家庭に生まれ育ちながらも時代と環境が味方をせず引きこもりになってしまい、最終的には老いた父を殺してしまった40代の男性です
それ自体はとても良かったのですが、もう一方の主人公である女性刑事のバックグラウンドがイマイチな設定すぎて完全なノイズになってしまったのが残念でした
女性刑事の私情は蛇足だったと感じます
娘を愛せなかったエピソードを入れたいのなら別作品でテーマとして取り上げれば良かったのではないのかな、と思いました
女性刑事の過去をこじつけてラストの取り調べシーンに無理やり関連させたような印象を覚えました
そもそもなんで「女性」刑事であることが必要だったのか謎です
むしろ男性の方がしっくり来るエピソードでした
でももしかしたらこの感想は私自身の問題なのかもしれません...葉真中顕作品(というか女性観?)が肌に合わないのかな…あともう一作品読んでから結論を出したいと思います
作者が訴えかけたいテーマ自体はとても良かったです