あらすじ
毎年十万人近い高校生が中退している。彼らの多くは貧しい家庭に育ち、まともに勉強する機会など与えられず底辺校に入学し、やめていく。アルバイトすらできず貧困状態へと落ちていく。いま、貧しい家庭からさらなる貧困が再生産されているのだ。「高校中退」を語らずして貧困問題を語ることはできない。
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Posted by ブクログ
親に資力が無く、酷い状況で高校生活を続けている人がいるのは知っていたけど、ここまで酷いとは思わなかった。高校生なのに「五五」の次の数を言えなかったり、九九を言えなかったり、アルファベットを書けなかったり、本当に凄まじい状況。
いったい、誰の責任でこうなったんだろう。まずは、親かなと思う。ただ、親の責任だけにしたら、この状況はずっと続くだろう。だから、国の責任と見るのが一番だと思う。学力の低いまま、社会に放り出される前に、国が責任をよって一定のレベルまでは保証すべきだ。
そうすることによって、下の層から上の層に行く階段を整備すべきだろう。生まれた瞬間に、下の層で固定化してしまう人生は切ない。
Posted by ブクログ
・「学ぶことは生きること」「貧しいということは選べないということ」
・この本を読んでいて、以前訪れた底辺校の生徒たちを思い出した。目の前にあるのは、確かに救いようがないように感じる現実かもしれない。けれど、私は、この現実に対して行動を起こせる職場を選んだ。そのことを意識して、前を向いて、何をすべきか、考え、行動していきたい。
・自分の両親が離婚しなかったことは、私にとって幸せなことだったのかもしれないと思う。
Posted by ブクログ
埼玉県の高校教師が、高校生が中退する理由、その後の生活などを丁寧にインタビューしてまとめたもの。問題は大概中学時代から始まっていること、親の問題と経済的な事情が大きいことなど良く知られた事実が多いものの、生徒の側に立った視点は◯。
日本で「高校中退率2−3%」と言われているのは1年あたりの中退者数/総数であり、さらに定時制や通信制への転学者は中退とは見なされない(その後の調査もされない)なので、実際は(3年間あるので)8%以上になること、埼玉の県立高の中退率は13%もあることなど、知らなかったことも多い。
ただ、調査が2006-8年くらいのものなので、実態に詳しい人からは、景気が良くなった今では、運転免許さえあれば非正規の仕事を探すのは高校中退でも以前よりはるかに簡単だという指摘があった。階層化は避けられないにせよ、絶対的な生活のレベルはやはり景気に左右されるということなんでしょうね。
実はアメリカでも「中退率」にはいくつか指標があり、立場によってどれを使うかが違ったりします。政府が問題を小さく見せようとするのは万国共通ですね。