あらすじ
どうしてセックスの時、瞳ばかり執拗にキスするんだろう? 角膜移植で視力を取り戻したばかりの高校生・真昼(まひる)。その恋人は、一流商社マンの久野木(くのき)──端整な美貌の大人の男だ。舞い上がる真昼だけど、一方で久野木の不思議な癖が気になっていた。「君の目は本当に綺麗だ」──そう優しく言いながら、時折顔に暗い翳がのぞく。その本心が見えなくて、真昼は次第に不安を募らせてゆき…!?
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Posted by ブクログ
角膜移植で視力を取り戻したばかりの真昼は、青春を謳歌しようとしている高校生。
そんな真昼の前に現れたのが、端正な美貌の大人の男、久野木。
真昼を遊びに連れ出してくれる大人の男に、真昼は次第に夢中になって、久野木と付き合い始める。
けれど、久野木には何か秘密があるようで、笑っていても瞳の奥は笑ってなくて、どこか真昼は不安を抱えていた。
そして、ある日、二人でデートをした帰り道。
突然、久野木が冷たくなった、それきり連絡も取れない久野木に真昼は耐えきれなくて家まで押し掛ける。ところが久野木には冷たく追い返されてしまう。
ショックを受ける真昼だが、それでも諦めきれずにもう一度、久野木の家を訪れると、ついに久野木の口から、久野木が真昼に近づいた本当の理由が明らかにされる。
ちょっとせつない感じの物語。
角膜移植とかって、そこには必ず死んだ人間の存在が付きまとうから。
素直に喜べない部分が、あるんだよね。
その辺のところを題材にしたのはすごいと思う。
結局、久野木も次第に真昼に惹かれていて、二人はくっついてめでたし、めでたしになったんで、無事にハッピーエンドなんですが。
もう一つのお話の方で、久野木に「結婚話」が持ち上がるんですが。
その話の中で、久野木が「心が動かなかったかって言えば嘘になる」って言ってるところが、なんだか、この小説は人間書いてるんだな……って気になりました。
だって、綺麗事に「僕は結婚しない」って書いてしまうのは簡単だけど。
実際は揺れるのが人間だもんね。
そう言う意味ではちゃんと骨のあるいい小説だと思います。