あらすじ
【NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で大反響の元バンカー、初の著書】
「伝説のバンカー」と呼ばれた男がいる。その名は「大櫃(おおひつ)直人」。みずほ銀行の常務を務めた人物だ。
2024年10月18日にNHKで放映された『プロフェッショナル 仕事の流儀』で大反響を呼んだ“リアル半沢直樹”の初の著書。メルカリ、マネーフォワード、タイミー等、日本の名だたるスタートアップと出合い、成長を支援してきた。著者はどのように伸びる企業を見極め、また、経営者から何を学んだのか。その驚きの仕事術を余すところなく公開するとともに、日本の未来像についても語る注目の書。
<目次>
第1章 ダイヤの原石たち
「このままじゃあかん」
茶髪の若者たち
六本木のバーに通う ほか
第2章 人の本質を見抜く
お金の話はしない
「気配値」を読む
圧倒的な情報量が土台に ほか
第3章 「伝説のバンカー」の原点
父への愛憎
自堕落な大学生活
憧れの商社をあきらめ、銀行に ほか
第4章 とにかく、現場主義
重役でも年間1000社を訪問
顧客との接点を増やすことで勝負
若手に背中を見せる ほか
第5章 自分をブランド化する
「おせっかいおばちゃん」を演じる
情報ネットワークの重要性
幻のM&A ほか
第6章 日本の未来を創る仕事
みずほ銀行を去る
「現代版の財閥」の可能性
異色ずくめの経営 ほか
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Posted by ブクログ
ご本人も語っている通り、本書は「再現性の非常に低い成功物語」である。
本書中には、
「みずほの渋谷中央支店の責任者は出資と融資の区別がついていない」
「バカなんですか?リスクとリターンが一致してない」
といった著者に対する評価が登場することからも、常識的な銀行員ならやらないことを「個人的に面白い」というモチベーションで突き進めた結果として花が開いたように映る。
大学時代のエピソードとして、免許停止4回、取消1回、交通事故の示談を泣き落としで乗り切ったことなどが語られており、入社してからも懲戒解雇寸前のインシデントを起こすなど、遵法意識の欠如が散見される。こうした背景を踏まえると、本作は「銀行や企業のルールを大きく逸脱した行動が、時宜に恵まれてうまくいった」という軌跡として読める。
もちろん、大櫃氏自身が圧倒的な熱量と突破力を持った人物であることは間違いない。話術と体力を兼ね備えた驚異的な「ローリング力」を発揮し、1日7件の訪問や、出張先での追加アポ(午前・夜)をこなしている。当初はスタートアップ開拓のために毎週金曜にAwabarへ通い、帰りは自腹でタクシーを使うなど、一般人には真似のできない「ザ・営業マン、ザ・銀行員」の顔も持っている。
一方で、再現性を見出せる実務的な施策もある。
・スタートアップの口座を開きやすくする
・スタートアップ専用の審査ラインを作る
・スタートアップ案件を支店から切り離す(ひっぺがす)
これらは銀行として本来やるべきことではあるものの、どれひとつとっても社内調整のハードルは極めて高く、社外のみならず社内向けのコミュニケーション能力の高さもうかがわせる。
しかし、肝心の審査の基準について「気配値」と、バブル期の「社長の顔を見て融資判断をする」「人相学」といった過剰融資時代を彷彿というか大差ないこと滔々と語ったているあたりを読んでるとバブル時代に尾上縫に貸し付けて営業成績を上げた銀行員と根本的には変わらないようにも思えなくもない。
凄い人というのは衆目の一致するところではあるのだが、時と場が合わなかったら起きなかった再現性の無い成功物語であるのは間違いないだろう。